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2014東京国際ユースで躍動した岩手県トレセン選抜、高橋監督「経験だけではダメ」

2014.05.07

表彰式、フェアプレー賞を受け取って弾ける岩手の選手たち【写真】=川端暁彦

文=川端暁彦

 5月2日から5日にかけて、2014東京国際ユース(U-14)サッカー大会が駒沢オリンピック公園を舞台に開催された。世界各地から精鋭の集った同大会は、決勝でパルメイラス(ブラジル)を破ったボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)の優勝で幕を閉じた。

 この大会、日本勢は東京都の3チーム(トレセン選抜、FC東京深川、東京ヴェルディ)に加えて、東日本大震災の復興支援として被害の大きかった4県(岩手、宮城、福島、茨城)のトレセン選抜が参加している。今年は、大会を観ながらちょっと気になるチームがあった。岩手県トレセン選抜である。

 岩手はこの大会の1次ラウンド、ベルリン選抜、ソウル選抜、そしてカイロ選抜と同居する国際色豊かなグループに入った。ちょっと気後れしてしまいそうなものだが、このチームのテンションは一貫して高かった。「優勝するつもりで来ましたから」と高橋走監督が豪語したように、ベルリンとの初戦からエンジン全開。攻守でアグレッシブな姿勢を見せて相手を押し込むと、3-1で快勝。ソウルとの第2戦ではCKから失点するも、後半に猛烈な逆襲を見せて2-1と逆転勝利。カイロとの第3戦こそ惜しくも0-1で敗れて準決勝進出は逃したものの、その勇戦ぶりは際立っていた。

「僕らは全部費用も出してもらってここに来て、こんなに良い経験をさせてもらっている。だからこそ『経験させてもらいました』で終わってはダメ。岩手はこの大会、これまで1度も勝てていない。『負けて勉強して帰りました』がルーティンのようになってきていたけれど、それじゃあダメなんです。良い経験になるからこそ、勝ちに来ました」と高橋監督は言う。その意味では、最終戦となった東京Vジュニアユースとの7位決定戦が象徴的な内容だったかもしれない。前半にリードを奪われながらも、後半から主導権を握ると取って取られての大激戦。最後はMF佐藤大雅の目の覚めるようなミドルシュートによるロスタイムゴールで3-2と逆転勝ちを収めてみせた。まさに「勝ちに行く」姿勢で上回ったゲームだった。

「“個”はいると思っている」と指揮官が胸を張ったように、各ポジションに光る個性もいた好チームは大会フェアプレー賞も受賞。この世代は地元開催となる2年後の国体で軸となる。それを見据えて遠征を重ねるなど、「刺激を入れてきた」(高橋監督)成果は着実に見えた。厳しい組み合わせの中で、タフに戦い抜いて最後は劇的に勝って終わったこの経験。大きな財産となりそうだ。

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