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一発を持った気になる男・白川恵士朗(柏U18)から目を離すな

2014.04.17

柏レイソルU-18 【写真】=川端暁彦

文=川端暁彦

 気になる男である。昨年、1年生だった当時に観たとき、「何か変な選手がいるぞ」という感覚があった。

 その男、白川恵士朗の所属する柏レイソルU-18の特長は整然としたポゼッションサッカー。FCバルセロナを一個の理想とする、パスワークで支配率を高めて相手を圧倒するスタイルが特長だ。その中にあって、不思議な異物感のある選手が、この白川だ。プレーの特長はパス……ではない。左利きで高い技術を持った右ウイング。DFとの駆け引きを楽しみながら、常に一発を狙っているような空気感をまとう。

 自身のことを「守備はちょっと苦手ですけど、チャンスのときにボールが来たら仕事ができる」選手だと分析しつつ、「(柏は)パスをつないでいくサッカーですが、そのパスが使えなくなったときに個人技で打開していくようなプレーをできないとダメだと思っている」とも言う。12日に行われた高円宮杯プレミアリーグ第2節・札幌U-18戦も、まさにそんな個性を象徴するような試合だった。1-0で迎えた前半ロスタイム、狙ったのは左足でのロングループ。「シュートを打つとき、ゴールは見ていなかった。感覚で打った」という一発は、札幌の息の根を止めるゴールとなった。「ああいうのは、結構狙っています」。この感性こそが、観ている側に「何か変な選手がいるぞ」という不思議な感覚を与えるのだろう。

 仕掛けの意識が高いゆえに、整然としたパスワークが彼のところでリズムを失うこともある。自身が語るように、守備面での課題もあるだろう。札幌戦にしても、彼が「機能した」と言える場面はそう多くなかった。ただ、一本調子になっていた攻撃が、彼にボールが渡ったところで突然ギアチェンジされるような、そういうシーンは色々な試合で観てきた。下平隆宏監督が白川を買っているのも、恐らくそういう部分だ。「僕は選手にドリブル禁止なんて言ったことはない」と指揮官は言う。パスワークをベースとするチームとしてのやり方はある。ただそれは、異質な判断を認めないということではない。むしろ整然としたチームだからこそ、「変な選手」が輝くという一面もある。

 もしも柏U-18の試合を観る機会があったら、華麗なパスワークへ巧みに絡む他の良い選手のことはすぐに分かるはずだ。素晴らしい選手が大勢いる。だから、背番号24に気を付けたほうがいい。試合の流れなど関係なしに突然活躍するので、そのプレーを見逃しかねない。観戦者にとっての要注意人物である。

 実際、先日の札幌戦、私は彼のゴールシーンを撮り損ねてしまった。

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