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三菱養和のエース・ディサロ燦シルヴァーノ、2ゴールは強烈な自己主張

2014.04.09

ディサロ燦シルヴァーノ【写真】=安藤隆人

 本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。

文=安藤隆人

高円宮杯U-18プレミアリーグイースト開幕戦の三菱養和SCユース対東京Vユースの一戦で、大きな存在感を放ったのが、三菱養和FWディサロ燦(あきら)シルヴァーノだ。

3-4-2-1の1トップに君臨するディサロは、0-0で迎えた前半終了間際、右FKを得るとMF瀬古樹のキックが放たれた瞬間、「池田なら絶対に競り勝ってくれると思った」と、守備陣が左に飛んでいくボールに目が行く中、ゴール右にポジションを取る。DF池田樹雷人が高い打点のヘッドで中に折り返すと、膝下の高さのボールをダイビングヘッドで、がら空きのゴールに押し込んだ。

さらに77分、東京Vユースの猛攻に劣勢を強いられていたチームを救う追加点をあげる。左サイドを駆け上がったMF鯨井広夢のクロスを、181㎝の相手CB2枚の間にタイミングよく入り込んで、強烈なヘッドをお見舞いした。

エースの責務を果たす2ゴール。エースとしての“意地”を見せた、強烈な自己主張だった。

昨年までディサロは身体能力、スピード、テクニックは高かったが、『2番手』の存在だった。三菱養和SCユースにおいて、1トップに君臨するのはチームの絶対的エース。これまで田中輝希(大分)、田鍋陵太(名古屋)らが君臨し、昨年までは木村陸人(新潟経営大)がその座に就いていた。

「昨年はいつもラスト10分、15分くらいしか出られず、ベンチから(木村)陸人くんのプレーを見つめるときが続いた。『来年こそ』とずっと思っていた」

我慢の末についに巡ってきたチャンス。エースの座に就いても慢心することなく、相当な覚悟でピッチに立っている。

「目標はプロになること。僕にとって、今年はもう3年生で、良くも悪くも(高校)最後の1年。絶対にプロになりたいので、常に90分間の中で自分が何を残せるのかを考えています。勝負の1年だと思っています」

もう3年生。プロになるために残された期間は短い。開幕戦の2ゴールは決意の表れであった。イタリア人の父と日本人の母を持つエースの目は、早くも次の試合に向けられていた。

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