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2年間で広がったイラクとの差 手倉森ジャパンの敗退は日本サッカーへの大きな警笛

2014.01.21

イラクに完敗を喫したU-21手倉森ジャパン (Photo by Francois Nel/Getty Images)

文=安藤隆人

まるであの悪夢のリプレイを見ているかのようだった―。

AFCU-22選手権の準々決勝。2016年のリオデジャネイロ五輪を目指す、手倉森誠監督率いるU-21日本代表の初陣となったこの大会で、グループリーグを勝ち上がった日本は、準々決勝でイラクと激突した。

 日本にとって、イラクは因縁の相手だ。2012年11月にUAEで開催されたAFC U-19選手権。ベスト4に入れば、翌年に行われるトルコU-20W杯の出場権を得る大会で、吉田靖監督率いるU-19日本代表は、イラクに1-2で敗れ、3大会連続でU-20W杯出場を逃してしまった。

 逆に勝利したイラクは、U-20W杯でベスト4に進出し、躍進を遂げた。

 あの時以来の再戦。この試合のピッチには、GK櫛引政敏、DF山中亮輔、川口尚紀、植田直通、MF矢島慎也の5人があの悪夢を経験していた。前半の彼らは完全にあの悪夢のリプレイを見ていたに違いない。

 前半はイラクが日本を押し込みハーフコートゲームとなった。自在にパスを回され、ミドルシュートがポストをたたくなど、終始劣勢を強いられた。日本のシュートは前半ロスタイムに、カウンターから鈴木武蔵が放った1本のみとなった。

 最悪だった前半。AFC U-19選手権のイラク戦を現地取材していた私は、前半を見ていて、テレビの前ではあったが、あの時のピッチと同じような悲壮感を感じた。

 後半に入っても、打開策が見当たらない日本。何度もイラクの精度の低いフィニッシュに助けられたが、84分、ついにイラクに先制点を許し、そのまま0-1で敗れた。

 最初から最後までイラクに完全に圧倒されての敗戦。2年前と全く状況は変わっていなかった。いや、むしろその差はさらに開いている。

 この現実に愕然とする一方で、「やっぱりか」という思いもある。2年前の試合でも日本は『完敗』だった。日本が得意としているボールポゼッションですらイラクに太刀打ちできず、巧みなサイドアタックに終始手を焼いた。2年前に感じた『差』は、イラクが世界を経験したことで、さらに広げられてしまった。

 アジアで勝つことが年々難しくなっている。ブラジルW杯を控え、日本サッカーファンの目は世界に向けられているが、足元から見つめ直さないといけない。将来更なる大きな代償を払わないためにも、この現実から目をそらさずしっかりと受け止める必要がある。この試合は、日本サッカー界にとって、大きな警鐘となる一戦であった。

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