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名監督の隣に名参謀あり…注目されにくい優秀アシスタントコーチを紹介

 “名監督”と称される指揮官の隣には優秀なアシスタントコーチがいる。どんなに経験豊富な監督であっても、アシスタントコーチの支えがなければ、トップレベルで戦い続けることは不可能だ。

 しかし良くも悪くもスポットライトが当たる機会の多い監督とは対照的に、アシスタントコーチが注目されることは少ない。

 そこで今回はアシスタントコーチに焦点をあてる。現時点における最優秀アシスタントコーチは誰だろうか。スポーツメディア『Sportskeeda』が選んだ上位5名を紹介する。

[写真]=Getty Images

■ティエリ・アンリ(ベルギー代表)

 2度の監督挑戦は成功せずに終わったが、アシスタントコーチとしてベルギー代表の躍進に一役買っているのがティエリ・アンリ氏だ。現役時代には4度もプレミアリーグ得点王に輝いたアーセナルのレジェンド。フランス代表では1998年ワールドカップとEURO2000でトロフィーを掲げたアンリ氏は、2014年12月にニューヨーク・レッドブルズで現役生活に幕を閉じると、翌月からアーセナルのユースで指導者としてのキャリアをスタート。ロベルト・マルティネス氏がベルギー代表の監督に就任した2016年夏にアシスタントコーチに抜擢され、2018年のワールドカップではチームを3位に導いた。同年10月に古巣モナコで監督業に初挑戦するも、結果を出せないまま3カ月で解任。2019年11月にモントリオールの監督に就任したが、パンデミックの影響もあり、またしても3カ月で退任することになった。

 2021年夏に延期されたEURO2020の期間中は、BBCでコメンテーターを務めることになっていたアンリ氏。しかし大会直前、ベルギー代表にコーチングスタッフとして電撃復帰。離れていた3年間もベルギー代表の動向は追っていたというアンリ氏を選手たちも歓迎した。練習では現役選手も顔負けのテクニックを披露し、FIFAランク1位の選手たちを落ち込ませていたのだとか。EURO2020では優勝したイタリアにベスト8で敗れたベルギー代表。優勝候補の筆頭だと目されている今年のワールドカップではトロフィーを掲げることができるだろうか。

■レネ・マリッチ (ドルトムント)

 “ブログ”がきっかけでプロチームのアシスタントコーチへ。そんな夢のような話を現実のものとしたのがレネ・マリッチ氏だ。10代の半ばでプレーヤーとしてのキャリアを断念したマリッチ氏。17歳の時には地元オーストリアのハンデンベルクで、指導者としての道を歩み始めていたという。現在29歳のマリッチ氏は、2011年に4人の仲間と共にフットボールの戦術について綴るブログを開設。2018年のイギリス紙『ガーディアン』の取材でその理由について、「何かについて考え、それを投げかけ、コメントしてくれる人を見つけるためだった。私の居た場所ではそれが難しかったから」と説明している。

 チームや指導者、それぞれの戦術を徹底的に分析するマニアックな内容は、プロの指導者の目にも留まった。自身のチームに関するレポートを見て、その正確性に感銘を受けたというマインツ監督時代のトーマス・トゥヘル氏は、マリッチ氏を練習に招待。サッカー談義に花を咲かせ、最終的に対戦相手の分析とスカウティングという仕事を任せたという。その後、ザルツブルクでマルコ・ローズ氏のアシスタントに抜擢されたマリッチ氏は、同監督から絶大な信頼を得ることに。2019年からはボルシア・MG、さらに今季からはドルトムントでコンビを継続している。

■ディノ・トップメラー(バイエルン)

 無名選手から名門クラブのアシスタントコーチまで昇り詰めたディノ・トップメラー氏だが、現状に甘んじるつもりはないようだ。現役生活と並行する形で指導者の道に足を踏み入れたトップメラー氏。2016年から監督を務めたルクセンブルクのF91デュドランジュでは、国内リーグ3連覇を成し遂げ、2018-19シーズンには同国史上初となるヨーロッパリーグ(EL)本戦出場も果たした。昨季はブンデスリーガで2位に終わったライプツィヒで、ユリアン・ナーゲルスマン監督のアシスタントコーチを務めると、シーズン終了後に2人揃ってバイエルンに引き抜かれた。将来的には監督業に再挑戦したいと公言しているトップメラー氏は、名門クラブの“ナンバー2”で終わるつもりはないようだ。

 なお、同氏の父は、2001-02シーズンにレヴァークーゼンをCL準優勝に導いたクラウス・トップメラー氏。指導者としての優秀な遺伝子は受け継がれたようだが、性格は正反対のようだ。「私は自分のチームが得点すればピッチを駆け回って喜んでいたが、ディノはいつだって落ち着いていた」と明かすクラウス氏。「彼は本当に地に足が着いている。母親譲りだろうね」と分析している。ちなみに、“ディノ”という名前は元イタリア代表の名手、ディノ・ゾフ氏にちなんで名付けたとのことだが、昨年10月にドイツメディア『スカイスポーツ』でクラウス氏は、「今は息子のことをマヌエルと呼んでいる」と衝撃発言。「マヌエル・ノイアーほどボール扱いが上手いGKを見たことがないから」という理由だそうだ!

■ペップ・リンダース(リヴァプール)

 17年間もユルゲン・クロップ監督に付き添ったジェリコ・ブヴァチ氏が突如リヴァプールを去ったのは、2018年4月のこと。長年の“ブレイン”を失ったクロップ監督が、次のアシスタントとして選んだのはペップ・リンダース氏だった。PSVの下部組織で指導者の道をスタートしたオランダ人コーチは、2006年から7年間ポルトで下積みを重ね、2014年にU-16チームのコーチとしてリヴァプールの一員に。翌年、ブレンダン・ロジャーズ率いるトップチームに昇格した。シーズン途中に就任したユルゲン・クロップ監督の戦術を吸収し、2018年1月にNEC(当時オランダ2部)で監督に初挑戦。しかし昇格を果たすことができず、半年足らずで解任の憂き目に遭った。

 そんなリンダース氏にすぐに声をかけたのが、半年前に別れを告げたばかりのリヴァプールだった。「非常に貴重な経験を積んで戻って来てくれた」とクロップ監督は同氏の復帰を大歓迎した。リンダース氏をアシスタントコーチに据えたリヴァプールは、2018-19シーズンにCLを制覇すると、翌年には30年ぶりのトップリーグ優勝を果たした。ブヴァチ氏の穴を補って余りある仕事ぶりを見せているリンダース氏は、今週39歳の誕生日を迎えたばかり。将来が楽しみな若手コーチの一人だ。

■フアン・マヌエル・リージョ(マンチェスター・C)

 自らの師匠をアシスタントコーチとして招聘したのは、マンチェスター・Cのジョゼップ・グアルディオラ監督だ。バルセロナでプレーをしていた現役時代、フアン・マヌエル・リージョ氏が率いるレアル・オビエドのポゼッションフットボールに感銘を受けたグアルディオラ監督。キャリア終盤には同氏の下でプレーをするためにメキシコのドラドス・シナロアと契約。引退までの半年間、同氏のメソッドを熱心に学んだという。その後、世界を代表する名将に成長したグアルディオラ監督。プレミアリーグ三連覇を逃した2019-20シーズンの終了後、自らのアシスタントとしてリージョ氏を迎え入れた。

 ヴィッセル神戸の監督も務めたリージョ氏が加わった効果はすぐに発揮された。2020-21シーズンのプレミアリーグを制した後、「ファンマ(・リージョ)には私には見えないものが見えている。それが私にとって重要なんだ」とリージョ氏の偉大さについて語ったグアルディオラ監督。さらに「監督は多くのプレッシャーに付きまとわれているが、フアンマには大いに助けられている。私や選手に適切なタイミングで適切な言葉を言ってくれるんだ」と感謝の言葉を口にした。常日頃からスタッフへの労いの言葉を欠かさないグアルディオラ監督だが、若い頃には戦術を伝授され、今では精神面でも支えてくれるリージョ氏に対しては並々ならぬ思いがあるようだ。

(記事/Footmedia)

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