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香川真司が語る社会貢献活動 ファーガソンやクロップらとの思い出も「本当に幸せな事」

「スポーツの力を持って社会問題に立ち向かい、スポーツの素晴らしさを世の中に広めること」を目的に、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいる国際組織であるローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団のアンバサダーを2017年から務める香川真司が、新天地ギリシャでのデビュー後にインタビューに応じ、自身が積極的に取り組んでいる社会貢献活動や、これまでの選手としてのキャリアを振り返った。

 以下、実施されたインタビュー。

【スポーツと社会貢献について】

―――スポーツを通じてどのような社会貢献ができると思いますか。

現役選手でいる間に、サッカー以外の活動をするのはなかなか難しいですが、自分自身 30 歳を超えて、15年くらいプロとしてのキャリアを重ねている中で、まずは自分のできることからやっていければいいかなと思うようになりました。シーズンオフが年に 1 回、しかも 2~3 週間くらいしかないので、実際に会える機会を頻繁にというわけにはいきませんが、継続して実施続けていくことに意味があると感じています。

―――『#ShinjiDream Cup』の開催や子供たちとの交流を通して、気付いたことや感じたことは何ですか。

イベントを行うたびに子供たちから逆にパワーをもらっていると感じます。普段ヨーロッパにいて、日本の子供たちとサッカーをする機会がなかなか設けられないので、一緒に触れ合えることは楽しさしかないです。たったの 1~2 時間程度なので、子供たちにとってどれほど意味があるものかということは分からないですが、その瞬間の楽しさはもちろん、1 か月後でも 1 年後でも、ふとした時にこのイベントが何かの気付きになってくれたらいいなと思っています。「今」ではなく「その先」の刺激になったり、色々なことを思い出させてくれたりする、そんな機会を一人でも多くの子供たちに提供できればいいなと思います。

―――「スポーツの力」を感じた瞬間はありますか。

ワールドカップは「日本全体が一つになれる瞬間」を感じやすい場面かなと思います。また、ここ数年日本では2011年の東日本大震災を含め、大きな自然災害が起きています。その中で、2011年になでしこジャパンがワールドカップ優勝を果たした時や、カズさん(三浦知良選手)がチャリティマッチでゴールを決めた瞬間など、当時私はドイツにいてテレビで見ていたのですが、感じるものや心を動かされるものがありました。スポーツを通じて国民に与えられるものがこんなにあるのだと感じられる瞬間でした。

―――ローレウス・スポーツ・フォー・グッドのように、スポーツの力を使った社会貢献活動が日本で広がっていくことについてどのように思いますか。

非常に大事なことだと感じています。ヨーロッパでサッカーをしていると、それをより身近に感じられます。ヨーロッパでは、サッカー選手やスポーツ選手が国民に与える影響力や発信力はとても強いですが、日本ではスポーツ文化というものがまだまだ根付いていないと感じます。日本では芸能人やアーティストなど色々なジャンルの方々が活躍していて、彼らの影響力が強いですが、私はスポーツ選手もそういう立場になれる存在だと信じています。国民や子供たちに向けて発信できるものを考えながら、取り組んでいく必要性を感じます。

―――コロナ禍で様々な支援をされていましたが、アクションを起こすきっかけは何だったのでしょうか。

昨年のコロナ禍では、スペインのサラゴサ市にいたので、まずはこの街に対して何かできることがないか、クラブのスタッフと話しました。その中で、高齢者に食事を届けるサービスの手伝いが必要だと聞いたので、そこへ寄付させていただきました。何か自分もアクション起こしたい、自分でできることを考えてやりたいという思いがあり、自分でできるベストを考えて行動しました。今後も自分ができる範囲の中でのベストを尽くしていくことで、そういった一人一人の力が大きな力になると思っています。一人でやっても微々たるものでしかないですが、それがみんなに伝わっていけば大きな力になっていくと思っています。特に私のようなアスリートが行動を起こすことによって、日本や世界中の人々に与える影響は大きいはずです。

【過去に所属したチームでの出会いについて】

―――ボルシア・ドルトムント時代の指揮官、ユルゲン・クロップ監督との思い出や彼の印象を教えてください。香川選手の成長過程において、ユルゲン・クロップ監督はどのような存在でしたか。

一言で監督のことを表現するなら、選手への愛がある人です。常に選手のことを考えて、自分たち選手がピッチで戦う上で、大事な場面では常にサポートしてくれて、自分たちも何の迷いもなくピッチに出ることができました。あの監督について行けば恐れることは何もないと思わせてくれる、そういう存在でした。ヨーロッパに出て、1 年目にブンデスリーガで優勝、2 年目でまた優勝。サッカーではまだまだ評価の低いアジアの国から、ヨーロッパというトップレベルでプレーし、優勝を勝ち取ることができたというのは、今振り返ると運命的な出会いだなと感じます。ただ、当時は勢いといいますか、挫折を経験していなかったので、もっとやれるという自信しかなかったです。そのあとのキャリアで、甘くない世界であるということはたくさん経験しましたが、当時はそれくらいの勢いで次のステップに行きたいという気持ちしかなかったです。クロップ監督やドルトムントと出会い、あのスタジアムでプレーできたことは、自分にとって本当に幸せな事だったなと感じます。

―――マンチェスター・ユナイテッド時代の指揮官、アレックス・ファーガソン監督の印象を教えてください。

“サー・アレックス・ファーガソン”は誰もが知る監督で、誰もがリスペクトする監督だったので、そんな名将の下でプレーできるチャンスがあると聞いた時には迷いはなかったです。移籍する前にマンチェスターのホテルでお会いした時は、そのオーラや人柄に圧倒されました。存在感は思っていた以上で、当時70歳くらいでしたが、断然若く感じ、背筋もピンと立っていて、身長も高く、その時の印象が強く残っています。結局1年しか監督とは過ごせなかったですが、監督“サー・アレックス”がハーフタイムに怒鳴っているときに、ウェイン・ルーニーやライアン・ギグス、ポール・スコールズが何も言い返せないのを見て、この人はとても偉大な人なのだなと感じました。彼は私たち若手よりも、経験ある選手に対して強い要求をしていたイメージがあり、チームをまとめ上げる際に、彼はこういうマネジメントをするのだなと印象深く残っています。ハーフタイムで怒鳴り散らかして顔が真っ赤になるという有名な話は、本当だったのだなと体感しました(笑)ファーガソン監督だからこそやれることなのだと思います。

―――マンチェスター・ユナイテッド時代のチームメイト、ウェイン・ルーニー氏との思い出を教えてください。

ユナイテッドに入って一番誰とプレーしたいかと言われたら、ウェイン・ルーニーでした。ただ、すごくやんちゃでクレイジーなイメージがあったので、最初はどういう人なのか分からなかったです。でも、ピッチで一緒に練習していくなかで、誰よりも戦っていたし、誰よりもチームメイトを大事にしていて、まさにチームプレイヤーみたいなものを彼からは感じました。ユナイテッドでたくさんの素晴らしいプレイヤーとプレーしましたが、ウェイン・ルーニーはベストな選手であったと今でも感じます。一緒にプレーできたことは自分のキャリアにとって、素晴らしい経験でした。

―――ウェイン・ルーニー氏は今後指揮官としてどのような活躍を見せると期待しますか。

世界トップのリーグなので、結果がすぐに出なければ、監督が先に首を切られてしまうため、予想はなかなか難しいです。ただ、いずれユナイテッドを率いて欲しいと思っています。彼は間違いなくそれだけのパーソナリティーと実績、経験を持っていると思います。現役時代に一緒にプレーをしたスティーヴン・ジェラードやフランク・ランパード、ライアン・ギグスなど、彼らが今後プレミアリーグのチームの監督として見られる日が近付いているということは非常に楽しみです。ルーニーは、今はダービー・カウンティの監督ですが、近い将来必ず(監督として)プレミアリーグのチームで、またサクセスストーリーを作っていくと思います。

【ギリシャスーパーリーグや今後のキャリアについて】

―――ギリシャスーパーリーグにはどのような印象をお持ちですか。リーグ内で、今後の対戦が楽しみな選手はいますか。

ギリシャのチームとは何度かドルトムントとユナイテッドの時に対戦していて、サポーターも熱く、非常に手強いチーム、守備の堅いチームという印象でした。実際にギリシャでプレーをしてみて、レベルの差は上位チームと下位チームとでは多少ありますが、オリンピアコスなど、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場しているクラブもあります。リーグが終われば上位 6 チームによるプレーオフが行われ、非常にタフな戦いになると感じています。まずは新しいチームと新しい環境で、色々とパワーを使ってしまうところがあるので、しっかりと自分をコントロールして、毎試合自分のベストを調整していきたいです。ドルトムント時代のチームメイトで、オリンピアコスのソクラティス・パパスタソプーロス選手とは実際に電話をして、近況を報告しあっているので、一緒にピッチに立てる日を楽しみにしています。

―――ギリシャスーパーリーグを選んだ決め手を教えてください。

まずは、クラブや監督が自分のことをしっかりと評価してくれていました。それが一番大きな決め手です。10月にフリーになってから、自分の中で期限を1月と決めていました。そのタイミングで決まったチームが自分にとって運命のチームであり、自分がチャレンジするチームだと決めていたので、何の迷いもなかったです。(新クラブを)決断した時に、自分の中で湧いた感情がすごく前向きにこの挑戦を受け入れていたので、それが自分の答えであると強く感じました。ここでまた自分のキャリアを築いていくだけだなという気持ちです。

―――海外でプレーし始めて5か国目、10年を超えました。世界各国でプレーする中で常に心掛けていることは何ですか。

若い時はとりあえず行けるところにチャレンジし、常にその時のベストなチャレンジをしてきました。ヨーロッパでは30歳を超えると評価がシビアになるので、その中でどう戦っていくか、本当に色々なチャレンジを求められると思います。だからこそ大事にしなくてはならないのは、周りではなく、自分自身の信念や自分がどうなっていきたいのかであると感じています。結果というのは二の次、三の次。もちろん、その結果を高めるためのプロセスにすべてを注ぎますが、そんな簡単に結果が得られるほど甘くない世界です。結果はコントロールできないので、そのプロセスやどうやって向き合っていくかがすごく大事だと思います。その上で、自分がオープンになり、日々前向きにこのチャレンジと向き合いながらやっていきたいと思っています。

―――まもなく32歳を迎える香川選手ですが、今の目標や夢を教えてください。

毎日ベストを尽くすだけです。もちろん夢や目標もありますが、一旦それらは脇に置き、ここでの日々にすべての意識を持っていくことが何よりも大事だと思います。それは簡単ではなく、非常に難しいことです。色々な自分が現れてしまうので、そういった時にでも、常に自分の意識をここでの日々に持っていけるように戦い続けていきたいと思います。

■Laureus(ローレウス)とは
「スポーツの力を持って社会問題に立ち向かい、スポーツの素晴らしさを世の中に広めること」を目的に、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいる国際組織。各国のトップアスリート、レジェンドアスリートから成るローレウス・アンバサダーやローレウス・アカデミーメンバーなどともに、現在は40を超える国と地域にて200以上のプロジェクトの支援を行っている。ローレウス・アンバサダーは200名を超える世界中の現役アスリートや近年引退したアスリートたちによって構成され、スポーツを通じた社会貢献活動に取り組むローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団の活動を支援している。

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