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カンフル剤投入は吉と出た!? 監督交代で成績が上がったクラブ、下がったクラブを調査

“監督交代ブースト”をかけた監督は? [写真]=Getty Images

 プロスポーツの世界では、毎シーズン必ず起こる“恒例行事”がある。監督の途中交代だ。

 欧州4大リーグ(リーガ・エスパニョーラ、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、セリエA)も例外でなく、今シーズンもすでに各リーグで5クラブ以上が監督交代を実施。セリエAに至っては、全20クラブ中9クラブで“監督交代劇”が起きている。なかでも昇格組のブレシアは、ジェニオ・コリーニ→ファビオ・グロッソ→コリーニ(復帰)→ディエゴ・ロペスと3度の監督交代を決行した。

 一般的には、監督交代が起こるとそれが一種のカンフル剤となって、選手のモチベーションも高くなり、成績が向上すると言われる。あるいは、チームの“確変”を期待して、監督交代が行われる。

 ただ、ブレシアのケースが示すとおり、成功例ばかりではない。不振から抜け出すどころか、泥沼にはまることも珍しくないのだ。

 では、今シーズンの欧州4大リーグで監督交代が吉と出たクラブと、そうでなかったクラブはどこなのか。公式戦1試合あたりの勝ち点を比較してみた。

 今回対象としたのは、直近の監督交代以後、新体制で5試合以上を戦った計20クラブ。セリエAでは、ブレシア、トリノ、SPALの3クラブ、ブンデスリーガではデュッセルドルフの1クラブが対象外となっている。一方でヘルタ・ベルリンは、11日にユルゲン・クリンスマン監督が辞任を発表したばかりで、今季2度目の監督交代となるため、1度目の交代前後の成績を比較した。

 なお、暫定監督が指揮した試合の結果も比較対象からは除外している。ただバイエルンは、暫定的に指揮を執っていたハンジ・フリック監督が正式就任を果たしたため、暫定期間も含めた成績を比較対象に。ウディネーゼについても、ルカ・ゴッティ監督は暫定的な立場だが、昨年11月以来、すでに15試合を指揮しているため、同期間の成績を前体制時のものと比較した。

■“監督交代ブースト”をかけたのは…?

ギズドル

ケルンを蘇らせたギスドル監督(右)[写真]=Bongarts/Getty Images

 調査の結果、監督交代によって1試合平均勝ち点が最も上昇したのはケルンだった。昨年11月に、アヒム・バイアーロルツァー体制からマルク・ギスドル体制に移行すると、平均勝ち点は「0.62→1.78」へ約3倍もアップ。「+1.16」の上げ幅は欧州4大リーグでトップだった。

 ケルンに次いで“V字回復”を果たしたのはレガネスだ。マウリシオ・ペジェグリーノ体制でシーズン開幕を迎えたが、リーグ戦では開幕から9試合連続(2分け7敗)で勝利がなく、同監督は昨年10月に辞任。その後、暫定政権を経て誕生したのがハビエル・アギーレ体制で、元日本代表監督がチームを率いるようになってからは公式戦15試合で5勝(5分け5敗)を挙げるなど、立て直しに成功している。平均勝ち点は「0.22→1.33」と、「+1.11」を記録。リーガ・エスパニョーラでも残留圏まで2ポイント差としており、生き残りの可能性が出てきている。

 3位〜5位のエヴァートン(+0.61ポイント/3位)、エスパニョール(+0.57ポイント/4位)、トッテナム(+0.5ポイント/5位)といったクラブ。それぞれのチームを率いるカルロ・アンチェロッティ監督、アベラルド・フェルナンデス監督、ジョゼ・モウリーニョ監督は期待どおりの手腕を発揮していると言えるだろう。

 その他、ビッグクラブでは、ニコ・コヴァチ体制からフリック体制へ移行したバイエルンが「+0.4ポイント/9位」、マルコ・ジャンパオロ体制からステファノ・ピオリ体制へ移行したミランが「+0.33/11位」を記録。まだシーズン半ばとはいえ、監督交代の効果がある程度でていることが数字からも分かる。

 一方、評価が難しいのは、バルセロナとナポリか。前者は「+0.07ポイント/16位」、後者は「+0.06ポイント/17位」と、数字の上では明らかな改善が見られない。そもそもバルセロナは、リーグ戦で首位に立っていながらエルネスト・バルベルデ監督を解任。ナポリも、チャンピオンズリーグ(CL)で決勝トーナメント進出を果たした直後にアンチェロッティ監督との関係を絶った。試合結果以外にも監督交代を決断させた理由があり、後任を託されたキケ・セティエン監督とジェンナーロ・ガットゥーゾ監督は難しい舵取りを強いられている印象だ。

 奇しくも両クラブは、CL決勝トーナメント1回戦で激突する。ここでの結果によって、明暗が大きく分かれることになり、監督交代の成否にもひとつの答えが出るかもしれない。

 なお、監督交代を経て1試合平均の勝ち点が上昇したのは、20クラブ中18クラブだった。成績が下降したのは、アーセナル(-0.04ポイント/19位)とウェストハム(-0.05ポイント/20位)の2クラブだけ。彼らにしても、ポイントの増減はほとんどなく、横ばいというレベルだった。

 ならば、「交代させなくてもいいのでは?」といった意見もあるかもしれない。だが、平均して「0.37ポイント」の勝ち点上昇を記録していることからも、監督交代の効果はある程度期待できると言えそうだ。

■監督交代前後の成績(平均勝ち点の上げ幅の順にランク付け)

※データはすべて2月12日時点のもの

1位 ケルン +1.16ポイント
前:アヒム・バイアーロルツァー体制 2勝2分け9敗(15得点29失点)
後:マルクス・ギスドル体制 5勝1分け3敗(17得点15失点)

2位 レガネス +1.11ポイント
前:マウリシオ・ペジェグリーノ体制 0勝2分け7敗(4得点14失点)
後:ハビエル・アギーレ体制 5勝5分け5敗(18得点21失点)

3位 エヴァートン +0.61ポイント
前:マルコ・シウヴァ体制 7勝2分け9敗(24得点29失点)
後:カルロ・アンチェロッティ体制 5勝2分け2敗(14得点10失点)

4位 エスパニョール +0.57ポイント
前:パブロ・マチン体制 4勝3分け8敗(19得点23失点)
後:アベラルド・フェルナンデス体制 3勝2分け2敗(9得点8失点)

5位 トッテナム +0.51ポイント
前:マウリシオ・ポチェッティーノ体制 5勝7分け5敗(31得点26失点)
後:ジョゼ・モウリーニョ体制 10勝4分け5敗(34得点25失点)

6位 ワトフォード +0.5ポイント
前:キケ・サンチェス・フローレス体制 2勝4分け6敗(8得点22失点)
後:ナイジェル・ピアソン体制 4勝4分け4敗(19得点15失点)

7位 セルタ +0.46ポイント
前:フアン・エスクリバ体制 2勝3分け7敗(6得点15失点)
後:オスカル・ガルシア体制 4勝5分け5敗(20得点20失点)

8位 マインツ +0.45ポイント
前:サンドロ・シュバルツ体制 3勝0分け9敗(12得点32失点)
後:アヒム・バイアロルツァー体制 4勝0分け6敗(19得点18失点)

9位 バイエルン +0.4ポイント
前:ニコ・コヴァチ体制 10勝3分け3敗(43得点24失点)
後:ハンジ・フリック体制 12勝1分け2敗(48得点11失点)

10位 ジェノア +0.39ポイント
前:チアゴ・モッタ体制 2勝3分け5敗(11得点17失点)
後:ダヴィデ・ニコラ体制 2勝3分け2敗(8得点9失点)

11位 ミラン +0.33ポイント
前:マルコ・ジャンパオロ体制 3勝0分け4敗(6得点9失点)
後:ステファノ・ピオリ体制 8勝5分け5敗(26得点24失点)

12位 サンプドリア +0.31ポイント
前:エウゼビオ・ディ・フランチェスコ体制 2勝0分け6敗(7得点17失点)
後:クラウディオ・ラニエリ体制 4勝5分け7敗(20得点24失点)

13位 バレンシア +0.27ポイント
前:マルセリーノ・ガルシア体制 1勝1分け1敗(3得点2失点)
後:アルベルト・セラーデス体制 13勝9分け8敗(42得点42失点)

14位 フィオレンティーナ +0.16ポイント
前:ヴィンチェンツォ・モンテッラ体制 6勝5分け8敗(26得点29失点)
後:ジュゼッペ・イアキーニ体制 3勝2分け3敗(8得点9失点)

15位 ヘルタ・ベルリン +0.13ポイント
前:アンテ・チョヴィッチ体制 4勝3分け7敗(25得点29失点)
後:ユルゲン・クリンスマン体制 3勝3分け4敗(10得点15失点)
*クリンスマン監督は11日に辞任を発表

16位 バルセロナ +0.07ポイント
前:エルネスト・バルベルデ体制 16勝6分け4敗(60得点30失点)
後:キケ・セティエン体制 5勝0分け2敗(13得点7失点)

17位 ナポリ +0.06ポイント
前:カルロ・アンチェロッティ体制 8勝9分け4敗(35得点23失点)
後:ジェンナーロ・ガットゥーゾ体制 6勝0分け5敗(16得点15失点)

18位 ウディネーゼ +0.02ポイント
前:イゴール・トゥドール体制 4勝1分け6敗(8得点18失点)
後:ルカ・ゴッティ体制 5勝3分け7敗(19得点23失点)
*ゴッティ監督は暫定指揮

19位 アーセナル -0.04ポイント
前:ウナイ・エメリ体制 8勝8分け4敗(40得点29失点)
後:ミケル・アルテタ体制 3勝5分け1敗(11得点8失点)

20位 ウェストハム -0.05ポイント
前:マヌエル・ペジェグリーニ体制 6勝4分け11敗(23得点36失点)
後:デイヴィッド・モイーズ体制 2勝2分け4敗(11得点12失点)

(記事/Footmedia)

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