「バルサのカンテラを手本に」…NBAのレブロン、腐敗する米大学バスケ界に提言

レブロン、メッシ

メッシ(右)らを輩出したバルサの下部組織を手本にすべきだと、レブロン(左)が提言した [写真]=Getty Images

 NBAを代表するスター選手であるレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)が、汚職事件に揺れる母国アメリカの大学バスケットボール界に対し、バルセロナのカンテラ(下部組織)を参考にするよう提言した。

 アメリカでは昨年秋、FBI(連邦捜査局)による数年間に及ぶ調査により、大学バスケットボール界を揺るがす汚職事件が発覚。NCAA(全米大学体育協会)男子バスケットボール・トーナメントにおける、高校生のリクルーティングに係る贈賄等の不正で、大学の指導者、スポーツ用品メーカーの幹部、選手を抱えるエージェントの役員など、多数の関係者が起訴された。そして、これを受けて調査を開始したNCAAは先月21日、強豪ルイビル大学から2013年のタイトルを剥奪することを決定した。

 この由々しき事態を前に、スポーツ専門チャンネル『ESPN』のインタビューに応じたレブロンは、「NCAAは腐敗している」と嘆く一方で、解決を困難とする根深い問題があることを示唆した。

「申し訳ないが、僕がこんな発言をすれば、紙面を飾ってしまうことだろう。だが、NCAAが腐敗していることは皆が知っている。打開策があるのかどうか分からないし、ないようにすら思える。これは何年、何十年にも渡って起こり続けてきたことだからだ。どのように解決して行くべきか、自分には正直分からない」

 大学には進学せずに高校から直接、NBA入りした経緯を持つレブロンだが、自身の経験や知識をもとにNCAAの問題点を指摘した。

「自分も高校生の頃、大学の関係者から『選手には無償の教育プログラムを提供している』と何度も聞かされたが、実際に連れて行かれたのは教養を深めるためのキャンパスではなく、ファイナル・フォー(準決勝および決勝)やトーナメントの試合だった。自分は大学に進学しなかったけど、大学のコーチがどれだけ稼いでいるか、大学がどれだけ高校生に貢いでいるかは知っている。こういった仕組みには終止符が打たれなければならない」

 レブロンはその一方で、フットボール界屈指のスターであるアルゼンチン代表FWリオネル・メッシを育成したバルセロナのカンテラが、全米の有力な高校生選手が進むNCAAの指針になり得るとの持論を展開した。

「メッシがバルセロナで披露している言動は素晴らしい。彼らには僕たちが手本にできるシステムがある。実際にそうなるかどうかは分からないが、期待して見ていきたいね」

 メッシと親交があるとはいえ、レブロンがバルセロナのカンテラを熟知しているとは言い難い。しかし、若手育成システムの優秀さを自負しているバルセロナとしては、NBAの看板選手からの思わぬ称賛にまんざらではないだろう。

文=北村敦

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