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“裏”海外組 中野遼太郎の蹴球奮闘記 第2回「無事にタイ・プレミアリーグデビューしました」

2017.02.17

 タイに来て1カ月が経ちます。ラトビアでは1カ月も滞在すれば「どうも古株です」みたいな顔が出来ましたが、ここタイランドではそうはいきません。色々な物事に追われながら、必死に順応している最中です。

 こっちに来て一番初めに感じるのは、気候。予想はしていましたが、やっぱり、そしてしっかり暑いです。知らない人のために繰り返しますが、タイ、暑いです。タイ人からすると乾季のいまは「すこし肌寒い」らしいですが、これは0℃を「まだ暖かい」と言っていたラトビア人と全く同じ“体感温度”を感じます。

 ちなみにこの濃い顔のおかげで「もう顔的にタイが母国だろ」と言って来る友達があとを絶ちませんが、もう現地のタイ人にも同じようなことを言われ始めているので、きっとそうなんだなと思います。パスポートを開く機会があるたびに、一応だけどNationality(国籍)の欄を確認する僕の気持ち、分かりますかね。

 あとはあれです、タイ、暑いです。

予想はしていましたがタイは暑いです……。

 合流してすぐにキャンプがあって、そこから引っ越し、車、ビザ、電話、銀行口座、保険、免許など、移籍をすると必ずやらなければいけない諸手続きを済ませました。まだ進行中のものもありますが、チームのサポートがあるので、ヨーロッパの時よりも格段に楽だなぁという印象です。

 ラトビアとかポーランドにいるときは「日本人のビザとか取るの初めて。一緒に調べながら取ってこう、な?」って感じで、まぁまぁ丸投げされていました。おかげで移民局のおじさんに顔覚えられるほど通い詰めましたし、それ以外でもアジア人だと部屋が見つからない、口座が作りづらい、車の運転が右側通行、基本はマニュアル車、などなど細かいところで躓いていましたが、タイではだいたいの事が円滑に流れていきます。道を歩いてるだけで「サムラーイ!」と叫ばれることもありません。

 ラトビアの在留邦人は50人程度、タイは40000人以上とのこと。文字通り、桁が違います。随分と日本に近い国に来たんだなと再確認しているところです。

 ちなみにどこか会社に所属していたり代理人と契約していれば、こういった諸手続きの煩わしさは半減します。ここは重要で、自分でやってきたから得られた知識や、精神的にタフになった部分もあると思いますが、もし来世があるなら8歳くらいから全部誰かに任せて生きたいし、特にプロになってからは自分でやればいいって訳じゃないなというのが今の考えです。

 ということで、サッカーに話を戻します。タイ・プレミアリーグ、2月11日に開幕しました。

 結果は2-2。

 しっかりとデビューできたことは嬉しいですが、チームも個人もこれからもっと成熟していけると思っています。

 今季のチョンブリーFCはとても若いチームで「リーダーが必要」ということで僕を獲得してくれました。新しく入ったチーム、全く違う文化、サッカーの中で、自分にとってどんなシーズンになるかは未知数です。手探りもいいところ。合流してから1カ月ですが、既にトライアンドエラーの繰り返しで、正直だいぶエラーが多めです。

 ただ、僕は「チャンスに照れるな」という言葉が好きで、与えられた場所があるなら、恥ずかしがらずに堂々と、自分の出来ることに全力を尽くしたいと思っています。

 フワ~っと消えるくらいなら、嫌われてでもやってやろうという心意気です。嫌われたい訳じゃありません。みんなとめっちゃ仲良くしたいです。でもフワ~は嫌。

 サッカーをやりにきたからにはサッカーで結果を残したいし、ダメダメだったなら隠れることなく「全然ダメダメでした!」って言いたい。そのためにはまず俺の意志で、俺が行動しないと、自分をダメダメにすることもできないのかなぁと思います。

 まだ始まったばかりですが、きっとシーズンはあっという間に終わります。今季の目標は「照れずにやる」ということ以外には、ケガをしないこと、全試合に出場すること。小さなことに拘らないと達成できないと思うので、あっという間の中に拘りを持って精進していけたらなと思います。

 ちなみに開幕戦を前に気合の入っていた僕は、前泊のホテルでチームメイトに頭を刈ってもらったのですが、それはそれは見事に失敗しました。髪をバリバリ立てて威嚇していくスタイルのはずでしたが、やむなくフワ~っとおろすスタイルにしました。

 そうですね、いきなりのフワ~です。フワ〜は嫌、でも髪はフワ~。

フワ~は嫌ですが髪型はフワ~になってしまいました。

 真っ直ぐに刈ってくれって言ったのに…こんなリアス式海岸みたいになることあります?

 それではまた次回。その頃には髪型も修正できるように頑張ります!

【PROFILE】
中野遼太郎(なかの・りょうたろう)
1988年6月13日生まれ。東京都出身。FC東京U-15、U-18時代に各年代で日本代表に選ばれ、早稲田大ではインカレ優勝に貢献。早大卒業後にドイツ6部リーグでプロキャリアをスタートさせた。その後、ポーランド、ドイツを経てラトビアリーグで活躍。2015-16シーズンは同国1部リーグでベストイレブンに選出され、ラトビアカップで優勝。2016-17シーズンはUEFAヨーロッパリーグ予選に出場するなどステップアップ。2016年末の一時帰国時にチョンブリFC(タイ)から破格のオファーを受け、思いがけず戦いの場をアジアへ移すこととなった。正確な両足キックを持つボランチでバランス感覚に長け、中盤の底で見せる展開力とゲームコントロールに定評がある。

“裏”海外組 中野遼太郎の蹴球奮闘記 第1回「ラトビア奮闘記のはずが急転直下、タイ移籍決定」

■オフィシャルブログ
http://globalathlete.jp/ryotaro-nakano/

■Twitter
@traditore15

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