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FIFA委員のV・バステン氏、オフサイド廃止の改革案…ヴェンゲル監督は反対

2017.01.20

ファン・バステン氏(右)がオフサイド廃止などの試案を披露 [写真]=Corbis via Getty Images

 FIFA(国際サッカー連盟)の技術委員を務める元オランダ代表のマルコ・ファン・バステン氏が、サッカーのルール変更に関する試案を明らかにした。イギリス紙『デイリーメール』など複数メディアが18日に報じている。

 同紙によると、V・バステン氏は世界で最も人気のあるスポーツとしての地位を維持するため、ルールや試合数などの制度変更の試案を明らかにした。提案されたのは、主に以下の7点。

▼オフサイドの廃止
オフサイドルールを廃止することで、サッカーが視覚的にも魅力的なものになるとV・バステン氏は語っている。「オフサイドのない試合を観戦することは非常に面白いのではないか。サッカーは今、9~10人のDFを抱えるハンドボールのように見える。小さなスペースで何かを想像するのは非常に難しく、得点を決めることが困難だ。オフサイドがなければ、ゴールが決まる可能性は増す」

▼シン・ビン制度の導入
イエローカードとレッドカードの“中間点”が不在であるという発想から、「オレンジカード」という新制度が提唱された。「レッドカードを受けるほどは重くないファウルを犯した場合、選手が試合から10分間離脱する」というものだ。

▼年間試合数を55~60程度に制限
V・バステン氏は「数ではなく、質を向上させる必要がある。今はあまりにも多くの試合が行われている。選手はフレッシュな状態ではないし、彼らを守る必要がある」と語り、ワールドカップ開催年にクラブと代表でともに成功を収めた場合(勝ち上がった場合)、75試合もの公式戦に臨む可能性がある現状を危惧。55~60試合程度に制限すべきと明かした。

▼各国カップ戦の合理化
イングランドやフランスのように、国内リーグ戦と欧州カップ戦と並行して国内で2つのカップ戦を行っている国についてV・バステン氏は「面白い議論になるはず」とコメント。カップ戦の合理化を断行すべきとの考えを示唆した。

▼クオーター制の導入
現在は45分ハーフ(15分のハーフタイム)で実施されているが、「試合を良い形で発展させるためにサポートしたい」と話すV・バステン氏は「ダイナミックな試合をするために」クオーター制の導入を提案。1試合の競技時間を4分割にすることで、監督が選手に指示を与える回数が3回に増え、より魅力的な試合が展開されると示唆されている。

▼カップ戦での延長廃止
「どの選手も、120分を戦った後はかなりの疲労度を抱えている」と言うV・バステン氏。カップ戦の試合で90分間では決着がつかなかった場合、延長戦を行わずにPK戦へ移行すべきとした。

▼ペナルティー・シュートアウト
ペナルティースポットからシュートを放つ従来のPK戦とは方式を変更。キッカーがゴールから25メートルの地点からドリブルをして、GKとの1対1に挑む形が提案されている。メジャーリーグ・サッカー(MLS)で過去に取り入れられていた制度で、キッカーはドリブル開始から8秒以内であれば、好きなタイミングでシュートを放つことができる。GKがシュートコースを限定するために飛び出すことも可能。

 各国のメディアに報じられ、議論の的となっているV・バステン氏の提案。とりわけ「オフサイドの廃止」の是非については物議を醸すこととなったが、アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督は19日、反対意見を表明した。大手メディア『ESPN』によれば、同監督は「改革自体ではなく、改善や向上が本来の目的だ。提案の中には議論する価値のあるものもあるが、あまり関心のないものもある」と前置きし、以下のように続けた。

「オフサイドをなくすことが面白いとは思えない。オフサイドは賢明なルールで、試合に残すことが重要だ」

「サッカーの向上により、あまりにもタイトでコンパクトになっていると人々は言うが、サッカーというものは常にそうだった。守備は相手の攻撃に問題を与え、攻撃はそれに対する解決策を見出すんだ」

 V・バステン氏の提案により、今後も各国で議論が提起されることだろう。サッカーのルールを捉え直す、良い機会になるかもしれない。選手や監督の反応にも注目だ。

By サッカーキング編集部

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