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北朝鮮の労働者、1割の報酬でカタールW杯のスタジアム建設に従事

2014.11.11

W杯に向け改修が予定されるハリーファ国際スタジアム [写真]=Getty Images

 2022年に開催されるカタール・ワールドカップのスタジアム建設現場で、北朝鮮の労働者がほとんど給与を支払われることなく、従事させられていることが明らかになった。イギリス紙『ガーディアン』が報じている。

 史上初めて中東で開催されるカタールW杯は、7都市全12会場で行われる。そして12カ所の会場のうち、8つのスタジアムが新設されることになっており、決勝が行われるルサイル・アイコニック・スタジアムなど4会場の建設現場に、北朝鮮からの労働者が派遣されている模様だ。

 ドーハ近郊の高層ビル建設に携わる、北朝鮮のある労働者は「我々のような労働者は、普通は給与を受けとれない。賃金は直接我々には支払われないんだ。我々にはどうすることも出来ない。それは(北朝鮮の労働者派遣)会社の問題なんだ」と語り、建設会社から支払われた給与が、北朝鮮の派遣会社に渡っていることを明かした。さらに、都市開発プロジェクトのマネージャーは「彼らは自分自身のお金を持っていないんだ。だからタバコとかそういう小銭が必要な時は、私たちから借りている」と述べ、労働者1人ひとりは、少額なものすら買えない状況にあることを明かした。

 2005年に北朝鮮から脱北した元陸軍将校のキム・ジュイル氏によると、北朝鮮の政府は、海外労働者の総給与の70%を徴収し、さらにそこから食費、宿泊費などの経費を引かれるため、労働者の手元には全体の10%ほどしか残らないとされている。

 北朝鮮は外貨獲得政策の一環として海外に労働者を派遣しているが、労働者は政府の監視下に置かれているため、逃亡や文句を言うことは出来ず、もしそのような反逆行為を行った場合は、政府の管理下にある預金が取り上げられてしまう。そのため労働者は、黙って政府から支払われる賃金を受け取るしかないようだ。

 ワールドカップ開催に向け、労働需要が高まっているため、労働者が過労死する状況も生まれている。2014年5月には、カタールのタミム・ビン・ハマド・サーニ首長が、労働条件の改善を約束したが、さらなる改善が求められている。

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