2013.06.28

王国ブラジル、世界一厳しいサポーターが導いたコンフェデ決勝

会場となったミネイランは天候に恵まれ、綺麗な夕日がスタジアムを照らした [写真]=兼子 愼一郎

 決勝進出を告げるホイッスルが鳴り響いた瞬間、マルセロはひざまずいて神に祈りを捧げ、ベンチからは控え選手が飛び出して次々に熱い抱擁を交わした。

 前評判は決して芳しくなかったブラジル代表だったが、コンフェデレーションズカップの開催国として、3大会連続での決勝進出を決めた。試合終了間際の得点でウルグアイ代表を2-1で振り切った試合について、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督が歓喜を爆発させたシーンを振り返る。

「最後の瞬間は、ここ10年間、2002年のワールドカップ以降で最も激しく、苦しいものだった」

 そして、スタンドを埋め尽くした大観衆への賛辞を続けた。

「サポーターの存在が非常に重要で、決定的だった。困難をサポーターのおかげで乗り越えられた。選手たちもわかっていると思うが、今日の本当の勝者はサポーターだ。これで我々は決勝に行ける。サポーターがチームを背負って、決勝に導いてくれた」

 10年間というのは、いささか誇張な表現の気もするが、続けた言葉に偽りはないはずである。それほど、5万7483人を飲み込んだエスタジオ・ミネイロンの雰囲気は圧巻だった。

 国歌斉唱では通常通り短縮版が流されながらも、スタンドを埋め尽くした観衆の熱唱は終わらない。スタジアムを震わすほどの大合唱は続き、最後まで国歌を高らかなに歌い上げる。アトレチコ・ミネイロとクルゼイロというブラジル屈指の名門チームを抱えるベロ・オリゾンテでの準決勝は、首都ブラジリアで行われた開幕戦とは、観客が作り出すボルテージが桁外れに違っていた。

 ウルグアイが13分にPKの大チャンスを得ると、キックの直前に笑顔を浮かべたディエゴ・フォルランには耳をつんざくブーイングが浴びせられ、直後に素晴らしいセービングでチームを絶体絶命の危機から救い出したGKジュリオ・セザルには絶叫とも捉えられる喝采が送られた。ブラジルがチャンスをつかむと見るや、スタジアムには地鳴りが響き渡る。実際に観客が足踏みすることで、スタンドから大きな振動が生み出されていた。どこともなく自然発生的にセレソンを後押しする声援が起こると、徐々に観衆の声は膨れ上がっていき、最後はスタジアム全体に波及していく。

 クラブチームの試合ではない。代表チームでの試合で、である。

 ただ、地元のファンが大挙してスタジアムに押し寄せていたことも、また確かであった。

 同点に追いつかれたブラジルが、勝ち越しを狙い1人目の交代カードを切るべく選手を呼び寄せると、スタジアムの熱気は最高潮に達した。走りながらビブスを脱ぎ、スコラーリ監督に駆け寄ったのは、今大会の出場機会はイタリア戦での途中投入だけだったMF。アトレチコ・ミネイロに所属するベルナルジだった。

 昨年11月にA代表デビューを飾った20歳の新鋭は、64分にピッチに入ると、観衆の後押しとともに、一気に流れを引き寄せる。ボールを持てば万雷の喝采が注がれ、背中を押されたベルナルジ自身も右サイドを中心に躍動する。キャプテンを務めるチアゴ・シウヴァのミスから追いつかれたことで動揺の色を隠せなかったブラジルだが、交代策で息を吹き返すと再びウルグアイゴールに襲いかかり、試合終了間際の86分にパウリーニョのヘディングシュートで、ついに待ち望んでいた決勝ゴールが生み出した。

 マン・オブ・ザ・マッチに輝いたジュリオ・セザルは試合後、「国歌斉唱の時にすばらしい声援をもらった」と語り、スコラーリ監督同様にホームでの圧倒的な後押しに感謝を述べた。

 最終的なボール支配率は64パーセントと、ウルグアイを圧倒していたように見えるブラジルだが、序盤にPKに与えたことや終盤までイーブンで持ち込まれたことを考えれば、実際のところウルグアイにペースを握られていたと言えるだろう。ただ、追いつかれて焦燥感が募る中、1試合の出場のみだったベルナルジを観衆に活気をもたらすため、勝負どころで起用したスコラーリ監督や期待に応えたベルナルジ自身をはじめ、ホームでの大観衆をプレッシャーではなく力に変えた監督の采配、選手のプレーぶりは見事であった。

 開幕前には不振が叫ばれたセレソンだが、グループリーグを3連勝で首位突破したことで、国民の支持をつかむことに成功した。準決勝はその後押しを最大限に生かしてウルグアイを退けた。

 ただ、彼らは満足していないはずである。狂乱とも表現できるブラジルサポーターの熱情は、世界一厳しいと言われる視線と表裏一体となっている。勝利以外は許されない中、史上初の大会3連覇まで、残すはあと1勝である。

文●小谷紘友

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