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F・トーレス、W杯で失態のスペイン代表を叱咤「内輪揉めは何も生まない」

2018.07.12

ロシアW杯のスペイン代表に言及したF・トーレス [写真]=Getty Images

 アトレティコ・マドリードを退団し、新天地としてサガン鳥栖を選んだ元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスが、2018 FIFA ワールドカップ ロシア(W杯)で失意を味わった代表チームを叱咤激励した。

 2大会ぶりの優勝を目指した今回のW杯では、ポルトガル代表、モロッコ代表、イラン代表と同居したグループステージこそ辛くも首位通過したものの、開催国のロシア代表と対戦した決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に大会から姿を消したスペイン。失態を演じたチームに多くの非難が飛ぶ中、F・トーレスはそういった声に耳を傾けることから始める必要があるとの考えを示した。

「批判を受け入れることは重要だ。それを生かして前進することができるし、刺激になることもある。内輪揉めは何も生み出さない」

 トーレスが「内輪揉め」と称したのは、ユーロ2016で敗退してから2年間無敗だったチームに水を差した、大会直前の指揮官騒動に他ならない。開幕まで2日と迫った先月12日、フレン・ロペテギ監督が大会終了後にレアル・マドリードの指揮官に就任することが突如発表されると、この一方的かつ非常識な行為にRFEF(スペインサッカー連盟)が激怒。翌13日にロペテギ監督を解任し、スポーツ・ディレクターのフェルナンド・イエロ氏を新指揮官に据えた。だが、嫌な流れを断ち切れなかったチームは、格下のイランを何とか1-0で振り切った一戦でしか勝利を収めることができなかった。

 2008年のユーロ、2010年のW杯、2012年のユーロと国際主要大会3連覇を果たしたチームのメンバーであるF・トーレスは、当時の代表を取り巻く環境は現在とは正反対であったことを説明した。

「代表が機能していた時は、組織に関わる全員が一枚岩になっていた。2008年から2012年にかけてスペインが偉業を達成できたのは、とてつもない団結力があったからだ。代表、クラブ、メディア、ファンの間にリスペクトがあった。皆が落ち着いて仕事に取り組めてこそ、成功は収められるものだ」

 とはいえ、国際大会で勝ち切れなかった時代を知るF・トーレスは、地道な積み重ねにより代表が復権することに期待を寄せた。

「そうは言っても、以前の代表にはそういった雰囲気はなかった。勝利を重ねることで少しずつ変わっていき、それが結実したのが2008年だった。そういった好循環が再び訪れることが必要だし、そうなることを切に願っているよ」

 レアル・マドリードとバルセロナによる国内の覇権争いが代表にも影響を及ぼすとも言われるスペイン。新たに代表を率いることとなったルイス・エンリケ監督は両クラブでプレーした経験を持つが、指揮官も務めたバルセロナに大きく寄った人物とみなされているうえ、メディアとの関係も良好とは言い難い。

 F・トーレスが求める“一枚岩の集団”は復活するのか。「私はもう48歳。今さら自分を変えるのは難しい」との態度に固持する一方、「代表監督になれた幸せを前に、野望と意欲にあふれている」と前向きな姿勢を見せる新指揮官の手腕に注目が集まる。

文=北村敦

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