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「ワールドカップ経由ヨーロッパ行き」のパイオニア…中田英寿がイタリアで成し遂げた偉業

2018.07.11

W杯出場を機に欧州へ渡った中田は、全盛期のセリエAで確かな足跡を残した

 日本代表のロシア・ワールドカップでのチャレンジはベスト16で終わったが、今大会は乾貴士や柴崎岳、昌子源といった“W杯初出場組”が目覚ましい活躍を見せた。すでにスペインでプレーしている乾と柴崎はもちろん、鹿島アントラーズでプレーする昌子にも欧州の主要クラブからオファーが届くかもしれない。

 思えば、同じくベスト16に進出した2010年の南アフリカ大会後も、内田篤人(鹿島→シャルケ)や長友佑都(FC東京→チェゼーナ)らが欧州への移籍を果たした。W杯という「見本市」で自らの価値を示し、海を渡ってステップアップする。これは今や日本人選手にとって成功への“黄金ルート”となった。

 そんな「W杯経由ヨーロッパ行き」の先駆者と言えるのが中田英寿だ。1998年、日本が初めてW杯に出場したフランス大会で、当時21歳の攻撃的MFはチームの中心的役割を担っていた。日本のW杯デビューは3戦全敗というほろ苦いものとなったが、その中で堂々たるゲームメークを見せ、孤軍奮闘した中田のプレーは多くのスカウトの目に留まった。

日本が初出場した98年のW杯で孤軍奮闘の活躍を見せた中田 [写真]=Getty Images

 中田は大会後に当時、世界最高峰と呼ばれたイタリア・セリエAのペルージャへ移籍。セリエAでのデビュー戦の相手は、ジネディーヌ・ジダンやアレッサンドロ・デル・ピエロらを擁した王者ユヴェントスだった。中田はその一戦でドッピエッタ(1試合2得点)を達成する衝撃デビューを飾り、いきなりイタリアのファンの度肝を抜いた。背筋をピンと伸ばした姿勢のいいドリブルで敵陣を突き進み、味方にキラーパスを通し、時に自らもシュートを狙う。まるで漫画のようなオーバーヘッドを叩き込んだこともあった。

 すぐにペルージャの王様となったジャポネーゼ(日本人)はカルチョの国でも認められ、2000年に名将ファビオ・カペッロ率いるローマへ移籍。イタリアに渡ってからわずか1年半でビッグクラブに引き抜かれた。しかし、当時のローマにはフランチェスコ・トッティという絶対的エースが君臨。当時は外国籍枠の問題もあって、決して満足のいくプレー機会は得られなかった。

 それでも中田はひたむきにプレーを続け、数少ないチャンスを生かした。2000-01シーズンの終盤、トリノで行われたユヴェントス戦での活躍は今も語り草だ。首位の座を争っていたユーヴェとの天王山で、ローマは後半途中までに2点のビハインドを背負っていた。負ければ優勝が遠のくこの場面で、カペッロ監督はトッティに代えて中田を投入。ピッチに送り込まれた背番号8はすぐに大仕事をやってのける。

 試合終了まで10分強。ピッチ中央で相手のボールを奪った中田は、そのままドリブルで突き進み、1点差に詰め寄る強烈なミドルシュートを叩き込んだ。さらにその数分後には、左サイドのヴァンサン・カンデラからパスを受けて再び右足を一閃。名手エドウィン・ファン・デル・サールが弾いたこぼれ球をヴィンチェンツォ・モンテッラが詰めて、敗色濃厚だったローマは試合をドローに持ち込むことに成功した。

ユーヴェとの天王山では反撃の狼煙となるゴールを挙げた [写真]=Enrico Calderoni/AFLO

 最終的にローマは勝ち点2差でユーヴェを抑えて悲願のスクデットを獲得したが、5月の直接対決に負けていれば、おそらく優勝はなかっただろう。こうして18年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した「ナカタ」は、今もロマニスタの心に残る英雄の一人になった。

 その後も、パルマ、ボローニャ、フィオレンティーナとイタリアの名門クラブを渡り歩き、日本代表でも2002年の日韓大会、2006年のドイツ大会と計3度のW杯に出場。2006年のW杯終了後に電撃的に引退を発表するまで、それぞれのチームで司令塔として攻撃のタクトを振るった。29歳という若さでの引退を惜しむ声は多かったが、中田がセリエAで、そして日本サッカー界で残した功績は決して色褪せない。

文=大谷駿

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By サッカーキング編集部

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