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王者ドイツが黒星発進…メキシコの歴史的勝利を5つのポイントで振り返る

2018.06.18

ドイツ代表が初戦でまさかの黒星を喫した理由とは…… [写真]=Getty Images

 2018 FIFAワールドカップ ロシア・グループステージ第1戦が17日に行われ、ドイツ代表とメキシコ代表が対戦。PSV(オランダ)に所属するイルビング・ロサノのゴールで、メキシコが1-0と勝利した。前回王者がまさかの敗戦を喫した一戦について、イギリス紙『インデペンデント』が5つのトーキングポイントを紹介している。

写真=ゲッティイメージズ

■メキシコはW杯で最高のパフォーマンスを披露

 メキシコがワールドカップに出場するのは7大会連続16回目のこと。しかし、過去6大会連続でベスト16敗退を喫してきた。1994年のアメリカ大会ではPK戦でブルガリアに敗れ、2006年ドイツ大会は延長戦の末にアルゼンチンに屈する。そして前回大会は後半アディショナルタイムにPKで決勝点を奪われて逆転負け。ベスト8進出まであと一歩のところまで迫りながら、“ガラスの天井”を突き破ることができなかった。今大会も同じ結末を迎える可能性はないとは言えない。

 しかし、今回のメキシコは悪いジンクスを破るかもしれない。コロンビア出身のフアン・カルロス・オソリオ監督は意思統一のとれた守備からボールを奪うと、まるでクラブチームのようなスムーズな連携から相手ゴールに迫る好チームを作り上げた。シュートへ至る決断力という点では改善の余地を残したものの、実力の高さは前回王者を破ったことが証明している。

 悲願のベスト8進出には、ドイツを上回ってグループFを首位通過することが望ましいが、その道筋は見えていると言える。

■ドイツは年老いた?

 メキシコとの一戦でドイツが送り出したスタメン11名のうち8名は、28歳を上回っていた。だからか、メキシコのエネルギッシュでスピードあふれるサッカーを前に右往左往していた。特に中盤は、ヨアヒム・レーヴ監督の悩みの種となるだろう。トニ・クロースとサミ・ケディラが組んだダブルボランチはボールを回すものの、相手に奪われると後手を踏み、自陣ゴール前までの侵入を簡単に許していた。

 ドイツがプレーテンポを本来のレベルに戻さなければならないのは言うまでもない。特にGKマヌエル・ノイアーは試合勘を取り戻している最中だ。この先、ドイツと戦う国(スウェーデンと韓国)は確実にメキシコのやり方を真似してくる。右サイドバックのジョシュア・キミッヒが攻め上がった背後のスペース、そしてセンターバックのマッツ・フンメルスがボールに食いつくためにできる中央の穴を狙われるはずだ。

 レーヴ監督はベンチに、体力と運動能力に優れる選手たちを抱えている。アントニオ・リュディガーやレオン・ゴレツカといった選手たちは早急な解決策となりうる。それもまた真実のはずだ。

■サネは間違いなく有効なオプションだった

 レーヴ監督は今シーズン、マンチェスター・Cでリーグ戦32試合に出場して10得点15アシストを記録し、イングランド・プロサッカー選手協会(PFA)が選ぶ最優秀若手賞に選出されていたレロイ・サネを最終メンバーから落とした。指揮官はこの決断を正当化するだろうし、実際に会見でその種のコメントをした。ドイツにとって“最大のスター”は、チームであり、システムなのだ。馴染めない選手は、プラスではなく、マイナスをもたらす可能性がある。サネはクラブで見せるパフォーマンスを代表では一切発揮できていなかった。

 しかし、メキシコが今回披露した速く、激しいアプローチを見れば、サネの驚異的なスピードとゴールに直線的に向かうプレーは、攻守の入れ替えが激しい試合において決定的な武器となったのは避けがたい事実だろう。現に、2列目を形成したユリアン・ドラクスラー、メスト・エジル、トーマス・ミュラーの3選手はボールを我慢強く回すこと意外に方法を持ち合わせていなかった。

■ロサノはエールディビジでの活躍を証明

 素晴らしい決勝ゴールはもちろんのこと、イルビング・ロサノは傑出した働きを見せた。試合開始から66分に交代でベンチに下がるまで、対面するキミッヒが攻め上がった背後のスペースを何度も突いた。ドイツ守備陣のギャップに入り込むと、次々と襲いかかるタックルをかわす。捉えどころのない動きと運動量は最後まで衰えることがなかった。

 判断が悪いという欠点はチームメイトと変わらないが、今シーズン、クラブで残した実績がフロックでないことを証明する活躍だった。昨夏、メキシコのパリューカからオランダのPSVに加入すると、海外挑戦1年目でリーグ戦29試合に出場して17ゴール、8アシストを記録。ロシアW杯後のステップアップは約束されたようなものだ。

■今回のW杯は予測不可能

 今大会ここまで、前評判どおりのパフォーマンスを見せた強豪国はあっただろうか? スペインとポルトガルは3-3というスリリングな試合を見せたが、守備の不安は隠しきれない。フランスとアルゼンチンも、規律だった守備の前で有効的な解決策を披露できなかった。ウルグアイもサイドでのクオリティーを著しく欠いた。

 W杯は初戦の結果ですべてが決まるわけではない。ただ、前回王者ドイツがメキシコ戦のように不安定で活力を欠いたゲームを続け、その他の優勝候補も歯車がかみ合わないままであると、来月15日にモスクワで行われる決勝戦にどの2チームが勝ち上がるのか、最後まで予測がつかないだろう。ただそれは、我々サッカーファンにとっては良いことでしかないはずだ。

(記事/Footmedia)

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