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したたかなドイツの戦いぶりは、優勝するためには欠かせない要素

ベンゼマ(奥)と競り合うフンメルス(手前) [写真]=Getty Images

 マラカナンを埋めた7万4000人超の大観衆、そしてテレビの前で試合を観ていた数億人のサッカーファンは、拍子抜けしたことだろう。

 フランスvsドイツ。1986年以来となるヨーロッパのサッカー大国同士の戦いは、当然、激戦が予想された。フランスはグループリーグの3試合を、ホンジュラス戦(3-0)、スイス戦(5-2)、エクアドル戦(0-0)と2勝1分とし、余裕を持って決勝ラウンド進出。そして臨んだラウンド16のナイジェリア戦も、終盤までスコアレスと苦しみはしたものの、結局、2-0で勝利し、準々決勝まで上がってきた。

 一方のドイツも、グループリーグは、ポルトガル戦(4-0)、ガーナ戦(2-2)、アメリカ戦(1-0)と同じく2勝1分で1位突破。ラウンド16では伏兵アルジェリア相手に、延長までもつれ込むという予想外の苦戦を強いられるが、延長で2得点を挙げて(2-1)何とかベスト8進出を果たした。

 どちらもラウンド16では苦しんだものの、堅い守備に加え、得点を量産していることから、点を取り合っての激戦が予想された。しかし、結果は1-0でドイツが勝利。前半13分にマッツ・フンメルスが挙げたドイツが、その1点を守りきって勝利を収めた。

 シュート数はフランスが13本、ドイツが7本と、ほとんどの時間で追いかける状況だったフランスが上回ったものの、決定機と呼べるシーンはほとんどなし。カリム・ベンゼマも積極的にシュートを放つも、ドイツGKマヌエル・ノイアーを脅かすことはついにできなかった。スコアこそ、最少得点差ではあるが、両者の力の差は明らかだった。フランスはドイツを必死にすることすらできずに、ブラジルを去ることになった。

 この一戦を迎えるにあたり、ラウンド16を発熱のため休んだフンメルスをはじめ、ドイツの選手間で風邪(インフルエンザ?)が蔓延しているという情報があり、実際、ドイツの選手たちの立ち上がりの動きはかなり重かったように見えた。

 その苦しい状況を救ったのは、この日のマン・オブ・ザ・マッチにも輝いたフンメルスだろう。セットプレーからのヘディングにより唯一のゴールを挙げただけでなく、ラウンド16のアルジェリア戦ではスピードのある相手に対する対応のまずさを露呈した守備陣を、ディフェンスラインを絶妙にコントロールすることで対応。カバーリングも含めて、獅子奮迅と言えるプレーを見せた。

 また、今大会、ここまでは中盤の底で起用されていたフィリップ・ラームを、本職の右サイドバックに戻したことも功を奏した。ラームが入ったことにより、ビルドアップもスムーズになり、背後のスペースを使われる回数も劇的に減った。加えて、ラームを右サイドバックに回したことで、サミ・ケディラバスティアン・シュヴァインシュタイガーのダブルボランチでこの一戦に臨んだのだが、この布陣も見事にハマり、中盤でことごとくフランスの攻撃の芽を摘むことに成功。

 とはいえ、この試合のドイツは全般的に動きが悪かったのも事実だ。ただ、その状態でも、フランスの攻撃を巧みにいなしつつ、トーマス・ミュラートニ・クロースメスト・エジルといった2列目の選手たちが常に背後を脅かし、フランスを前がかりにさせなかった戦いぶりは見事としか言いようがない。

 この勝利により、ドイツは4大会連続となるベスト4進出を果たした(ちなみに、4大会連続のベスト4はワールドカップ史上初の快挙)。単に勝利しただけでなく、90分でしっかり試合を終え、しかも省エネ気味に戦えたことは、頂点を目指す上で大きなプラス材料だ。決勝までの6試合のうち、こういうしたたかな試合をきっちりできることは、優勝するために欠かせない要素だろう。

 準決勝の対戦相手は、優勝候補筆頭の開催国ブラジル。事実上の決勝戦と言われている一戦は、おそらく、非常に堅い試合になるだろう。優勝が至上命題のブラジルはもちろん、ドイツも1990年以来の優勝を国民に熱望されている。マラカナンの決勝に駒を進めるのは果たしてどちらになるのか。運命の決戦は、7月8日25時(日本時間)、ベロ・オリゾンテにて行われる。

文=岩本義弘

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