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作戦会議すらできなかった? 五輪敗退のアルゼンチン、原因は協会の機能不全か

2016.08.11

優勝候補のアルゼンチン。まさかのグループステージ敗退が決まった [写真]=Getty Images

 リオデジャネイロ・オリンピックでホンジュラス相手に1-1で引き分けるも、グループステージ敗退が決まったアルゼンチン。大会前から続いた度重なる災難(5日の記事で紹介)を乗り越え、個々の実力は文句ないメンバーで挑んだものの、1勝1分1敗、得点3に失点4という不甲斐ない成績でグループ3位に終わってしまった。

 国内の有力紙『ラ・ナシオン』の代表番記者クリスティアン・グロッソ氏は、同紙に掲載したコラムの中で、この早期敗退の原因はフリオ・オラルティコエチェア監督でも選手たちでもなく「ブエノスアイレスにいる者たち」、つまりAFA(アルゼンチンサッカー協会)関係者であると断言。「AFAにとって五輪代表はどうでもよかった。五輪を嘲笑い、侮辱したのだ」として、協会を真っ向から批判している。

 それもそのはず、オラルティコエチェア監督のチームには、試合の事前準備に不可欠なあるものが不足していたのだ。

 そのものとは何を隠そう、「ビデオ編集ツールを搭載したノートパソコン」。対戦相手の試合を録画し、ポイント部分を選んで編集し、それを選手たちに見せながら作戦会議を行なうために欠かせないものだが、なんと今回のアルゼンチンはそんな基本的なことさえもできない状態にあったというわけだ。

 パソコンがもともとなかったのか、それともリオ入りする前に滞在したメキシコで盗難に遭った際に盗まれたのか、その詳細は明らかにされていないが、現地で調達するだけの金さえなかったという。そこでオラルティコエチェア監督は、選手村でたまたま出会ったアルゼンチンの男子グラスホッケーチームのコーチ陣にそのことを話したところ、彼らが男子サッカーのために編集作業を代行してくれることになったそうだ。

 敗退が決まったあと、アルゼンチン五輪委員会のヘラルド・ウェルテイン委員長は「この結果はAFAとその役員たちのおかげだ」と皮肉たっぷりに語り、五輪代表へのバックアップがほとんどなかったことを遠まわしに批判。チームのエースの1人だったFWアンヘル・コレア(アトレティコ・マドリード/スペイン)も「合宿初日に集まったメンバーはたったの8人だったしね」と言い、準備不足で挑んだことを大いに嘆いていた。

文=藤坂ガルシア千鶴

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