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五輪未勝利に戸惑うブラジル国民…SNSではあえての「自虐ネタ」が飛び交う

2016.08.09

オーバーエイジ枠で出場しているネイマール(左)は2試合連続で無得点に終わった [写真]=LatinContent/Getty Images

 リオデジャネイロ・オリンピックのグループステージ初戦(対南アフリカ)に続いて、イラク戦でも無得点のドローに甘んじてしまったホスト国ブラジル。次のデンマーク戦で敗れ、南アフリカとイラクのどちらかが勝った場合は敗退が決まってしまうという瀬戸際に追い込まれている。

 開催国のプライドを懸けて金メダルを狙い、先のコパ・アメリカにネイマールを出場させず、五輪のために温存するという気合の入れ様だったが、苦戦を強いられるまさかの展開に国民も戸惑いの色を隠せない。

 とはいえ、やはりそこはブラジル人。お隣の国アルゼンチン同様、こういう時にはあえて容赦のない「自嘲」の行為に出る。イラク戦の直後から、ツイッター上には「全然得点できない不調のブラジル五輪代表」をブラジル人自ら嘲笑う、様々な「自虐ネタ」が飛び交った。

 まずは、コパ・アメリカでの不振を理由に五輪直前に代表監督を解雇されたドゥンガが不敵な笑みを浮かべている写真が出回った。今の状況を一番堪能しているのはドゥンガだろうという皮肉である。

 なかなかゴールが決まらない状況に業を煮やしたファンは、「今回の五輪でブラジルの得点を待っているところ」というコメントと一緒に、パソコンの前で白骨化したサポーター(?)の画像を掲載。

 そして、ブラジル女子サッカーのスター、マルタがサッカー教室を開くという画像も。生徒が全てネイマールになっているところに、彼が国民の期待を一身に背負っている現実が表れている。

 女子サッカー代表との痛烈な比較をするのはファンだけではない。スポーツ専門メディア「プラカール」も、得点に喜ぶ女子と嘆く男子の写真を並べて「ゴールが欲しいの? こっちには余ってるわよ」とコメント。

 過去のセレソンのスター選手たちの写真を並べ、「子どもたちよ、信じ難いことかもしれないけど、ついこの間までブラジルはサッカーの国だったのだよ」というフレーズとともに、ジョークでありながら国民の戸惑いを素直に表した風刺も登場した。2014年ブラジル・ワールドカップでのショックから抜け出せない状態のまま、翌年のコパ・アメリカでも今年のコパでも不振に終わったことで、社会全体が「勝てないセレソン」にトラウマを感じ始めている兆候がうかがえる。

文=藤坂ガルシア千鶴

By 藤坂ガルシア千鶴

1989年よりブエノスアイレス在住。サッカー専門誌、スポーツ誌等にアルゼンチンと南米の情報を執筆。

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