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カルチョ大好き“3人衆”がセリエA全20クラブに言いたい放題!(3)

2020.06.19

[サッカーキング No.012(2020年4・5月合併号)掲載]

 せっかくカルチョを特集するのだから、セリエAの全20クラブを取り上げたい! そんな編集部からの無茶振りに、“いつもの”3人衆が応えてくれました。

カルチョ
【登場人物】
北川義隆/フリーアナウンサー(中央)
DAZNでセリエAの実況を担当。現地の情報や選手の小ネタを含んだ“雑談実況”がセリエファンの人気を集める。生粋のロマニスタで、ローマに1999年から10年間移住した。
 
伊東聡志/元サッカーキング統括編集長(右)
三浦知良の影響で、高校卒業後にイタリアへ留学。帰国後はサッカー番組の制作やWebサイト、雑誌編集に携わる。推しはフィオレンティーナ。今回は02-03シーズンのユニで登場。
 
細江克弥/サッカーライター(左)
サッカー専門誌の編集部を経て2009年に独立。インタビューや記事執筆だけでなく、雑誌や書籍の編集、企画&構成なども手がける。公にはしていないが心のクラブはユヴェントス。

伊東(以下I)――えっとですね、皆さん。今回は「セリエAの20クラブについて、おもしろおかしく自由に話してください」という編集部からのオーダーでして。
北川(以下K)――20クラブ! かー!
細江(以下H)――原稿書くの誰ですか?
I――細江さんです。
H――かー!
K――こりゃ大変だ。
I――というわけで、時間ないからどんどんやりましょう! アルファベット順!
H――オッケーです。
K――やりましょう!

>>第1話(アタランタ/ボローニャ/ブレシア/カリアリ/フィオレンティーナ)
>>第2話(ジェノア/インテル/ユヴェントス/ラツィオ/レッチェ)

MILAN ミラン/7位
切るべきはどっち?
またオフに荒れるかも……

H――まだまだ問題は多いですけど、ミランは何より、サン・シーロにお客さんが入るようになったことがうれしくて。
K――間違いなく、ズラタン・イブラヒモヴィッチのおかげですよね。すべてのデータが、明らかに良くなっていますから。それなのに、イヴァン・ガジディスCEOは1年前に「イブラヒモヴィッチはいらない」と明言してますからね。まったく困ったもんです。
I――ミラニスタにとっては、どんな感じなんでしょうね。「アンドレス・イニエスタが来た!」みたいな感じなのかな(笑)。
H――マジでそれくらいの存在感だと思いますよ。だって、スタジアムの空気感が全然違うもん。

細江克弥

「やっぱイブラはすげーよ」と唸る細江さん


K――でも、今フロントが揉めてるでしょ? 強化部門の責任者として頑張ってきたズヴォニミール・ボバンもパオロ・マルディーニも、おそらく辞めることになる。あの2人がいなくなるということは、半年契約しか結んでいないイブラヒモヴィッチもミランを去ることになると思うんです。そうしたら、ミランはどうするんですか? ヤバいですよね。せっかく作った最高の雰囲気を、また自分たちでぶち壊そうとしているんですから。
I――切るべきはどっちなんだという話ですよね。
H――またそうなっちゃうのか……。で、新監督候補の最有力は、なんとあのラルフ・ラングニック。ボバン&マルディーニが去ったあとの強化部門トップも兼任するという話になっているみたいですけど。
K――ミランも外国籍監督は難しいと思いますよ。成功した人がほとんどいない。そういうクラブなんです。「インターナショナル」を掲げるインテルとは、毛色が違うんですから。

NAPOLI ナポリ/6位
ガットゥーゾ戦術で復活!
でも来シーズンは別の監督?

I――ついにナポリが息を吹き返しつつありますね。
H――アンチェロッティからジェンナーロ・ガットゥーゾに監督が替わって、思い切り守備重視の戦術に切り替えたらそれがハマって、一気に“生気”を取り戻したというか。

ガットゥーゾ

リーグ中断中、ガットゥーゾは4月分の給与受け取りを延期。その分をスタッフへの支払いに充てるという男気を見せた


K――ターニングポイントはコッパ・イタリアのラツィオ戦ですよね。選手と監督、それからサポーターの一体感はすごかった。
H――アンチェロッティ時代はアウレリオ・デ・ラウレンティス会長からの「合宿命令」に振り回されまくってましたもんね。サポーターも賛否が分かれちゃって。
K――そうそう。で、あのラツィオ戦で守りに守って、1-0で勝って、「これは潮目が変わるかもしれない」という雰囲気はありましたから。システムを4-1-4-1に変えて、冬のマーケットで獲得したディエゴ・デンメをアンカーに据えて。
H――デンメはいいですよね。かなり戦術的な指示を受けているんだと思いますけど、とにかく守備面の貢献度が素晴らしい。どんと真ん中に構えていて。
I――どのクラブも獲得を狙っていたタレントですからね。
H――もしヨーロッパリーグの出場権でも取ろうものなら、やっぱりガットゥーゾは続投なのかな。
K――いやあ、どうでしょうね……。
I――ガスペリーニに再アタック?
H――でも、ガスペリーニは「マンチェスター・ユナイテッドのファーガソンみたいに」と言ってましたよ。
I――でもまあ、ガスペリーニじゃないにしても監督が替わる可能性があるのか……。ガットゥーゾ、ちょっとかわいそう。昨シーズンのミランでもそんな感じだったのに。
H――それでも大ピンチを救ったことは間違いないから、ガットゥーゾ自身の株は上がるでしょうね。あとは、オラオラ系会長の代表格であるデ・ラウレンティスさんが、どういう判断をするか……。間違いなく終盤戦のカギを握るチームだと思いますよ。ナポリは。

PARMA パルマ/9位
いつも問題ばかりだけれど
今シーズンは絶好調

H――ジェルヴィーニョって、何やらかしたんですか?
I――冬のマーケットで移籍することが決まってたんですよね。中東に。でも最後の最後で決まらなかったんですよ。だからチームに戻ってきて、ロベルト・ダヴェルサ監督に謝罪して、ようやくベンチに入れるようになった。復帰戦になったサッスオーロ戦でさっそく決勝ゴールを決めましたけど。
H――パルマはめちゃくちゃ調子が良くていい順位にいますけど、ここもベテランがおもしろいですよね。僕が大好きなのはブルーノ・アウヴェス。38 歳だけど契約更新しました。
I――いいですねえ。あれ? パルマってオーナー企業どこでしたっけ?
K――中国の企業です。2017 年からだったかな。我々の感覚では、パルマと言えばいまだに「PARMALAT」を思い出しちゃいますけれどね。
H――タンツィ・ファミリー!
I――食品会社で、パルマの黄金時代を作ったんですけどね。その後、経営破綻してパルマも苦しい時代を過ごしました。
K――パルマラットの倒産については、イタリアで映画になりましたからね。粉飾決算をドキュメンタリータッチで描いたなかなかの作品です。タイトルはね……そうそう、『至宝 ある巨大企業の犯罪』。日本語字幕で見られる映画なので、カルチョファンの皆さんはぜひ検索してみてください。

ROMA ローマ/5位
イタリアのサッカーは
ヨーロッパとは違うんです!

北川義隆

北川さん、ローマに物申す!


K――ローマはもう、監督を替えたほうがいいですね。パウロ・フォンセカは厳しいです。彼がやりたいサッカーと、今のローマにとってやれるサッカーのギャップが激しすぎて。そもそも外国籍監督でうまくいった人なんて、ほとんどいないんですよ。成功したのは、1983年にスクデットを獲得したニルス・リードホルムさんと、2013年から3年間指揮したリュディ・ガルシアさん(現リヨン監督)だけ。だって、あの名将カルロス・ビアンチだって失敗しているんですよ。フランチェスコ・トッティを冷遇しちゃって(笑)。ルイス・エンリケもダメ。ゼーマンもダメ。だからダメなんです。外国籍監督は!

 そもそもね、イタリアのサッカーはやっぱり“ヨーロッパ”のそれとは別モノだと思うんですよ。だからヨーロッパのどこかで大成功したからといって、必ずしもイタリアで成功するとは限らない。いや、ほとんど成功しない。フォンセカさんもそうですよね。ウクライナのシャフタールでどれだけ素晴らしい結果を残して、しかも最新鋭の理論や戦術を持っているからといって、それがすんなりとイタリアに当てはまるわけがない。最近のグローバリズムはむしろ弊害です。やれスペインだ、やれフランスだと流行に流されて、イタリアの、いやローマのアイデンティティはどこに行ってしまったのかと。だから、僕はコンテのサッカーなんてすごく好きですよ。イタリアらしくていいじゃないですか。はっきりと守る。カウンターを狙う。それでいいんです。イタリアなんだから。本人にそれを伝えるとムッとするらしいですけどね(笑)。

 まあ、近日中にオーナーが代わりますから、クラブがまた変わるでしょうね。つまり、外に出してしまった“ローマの魂”を戻すことができる。ファンを盛り上げるためにも、おそらくまずはダニエレ・デ・ロッシを呼び戻すでしょうね。トッティは新しい事業を始めているので、少し様子を見る。で、仮に彼をトップチームのアシスタントコーチに据えるとしたら、監督は誰がいいと思いますか?

 やっぱり、クラウディオ・ラニエリさんでしょうね。どんなボロの生地でもそれなりのスーツに仕立ててくれる人ですから、現状を考えると適任なんです。そこでデ・ロッシを勉強させて、将来に備える。もう、それしかないなあ。本当にそれしかない。

SAMPDORIA サンプドリア/16位
日本人のTwitterに「いいね」
それが会長の魅力です

H――サンプねえ……。
K――サンプねえ……。
I――サンプねえ……(笑)。難しいですね。今シーズンは。結果的には、やっぱりマルコ・ジャンパオロ元監督をミランに引き抜かれちゃったことが大きいですよね。
K――エウゼビオ・ディ・フランチェスコを監督にして“ローマライン”で何とかしようと思ったのかもしれないけれど。
H――マッシモ・フェレーロ会長がロマニスタですからね。
K――フェレーロさんも相変わらずおもしろいですね。みんなが奇人扱いしている(笑)。少年院に入っていたこともあるし、いろんな仕事をしているんですよね。超たたき上げ。
I――本も出版しましたよね。僕がTwitterでコメントしたら、本人から「いいね」をもらいましたから。

伊東聡志

ドヤッ!!!


HK――すげー!
H――頑張ってほしいなあ。吉田麻也も入りましたし。

※この記事はサッカーキング No.012(2020年4・5月合併号)に掲載された記事を再編集したものです。そのほかのクラブも順次公開していきます。お楽しみに!
第1話:アタランタ/ボローニャ/ブレシア/カリアリ/フィオレンティーナ
第2話:ジェノア/インテル/ユヴェントス/ラツィオ/レッチェ
6月20日(土)公開予定:サッスオーロ/スパル/トリノ/ウディネーゼ/ヴェローナ

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By 細江克弥

1979年生まれ。神奈川県出身。サッカー専門誌編集部を経てフリーランスに。サッカーを軸とするスポーツライター・編集者として活動する。近年はセリエAの試合解説などでもおなじみ。

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