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セリエA“一強時代”の終焉へ…L・マルティネス「彼らの9連覇を阻止できる」

2019.11.24

インタビューに応じたラウタロ・マルティネス [写真]=Getty Images

 11月15日に発売となった雑誌『SOCCER KING』12月号では、「異変だらけの序盤戦、36のなぜ?」と題し、各国の序盤戦で生まれた36の疑問に迫っている。そんな雑誌『SOCCER KING』12月号から、一部コンテンツを公開! 今回はイタリアの名門・インテル復活のキーマン、ラウタロ・マルティネスのインタビューをお届けする。

 長らく続いたユヴェントスの一強時代に、ついに終止符が打たれるかもしれない。開幕6連勝と好スタートを切ったインテルは、そんな期待を抱かせる。しかし同時に、多くのインテリスタがこう思っている。今シーズンこそは信じていいのだろうか? 彼は言う。「今シーズンのインテルは一味違う」と。

インタビュー・文=セルヒオ・レビンスキー Text by Sergio Levinsky
翻訳=井川洋一 Translation by Yoichi Igawa
写真=ゲッティ イメージズ Photo by Getty Images

コンテ監督の就任で「すべてが変わった」

──君にとって2年目となる今シーズンのインテルは、アントニオ・コンテ新監督のもとで良いチームになっているようだ。先日のチャンピオンズリーグのバルセロナとのアウェー戦は(このインタビューは10月15日に行われた)、惜しくも1-2で逆転負けを喫したけれど、ポジティブな印象を残したと思う。

「僕もそう思うよ。昨シーズンから、すべてが変わったんだ。新たに就任したコンテ監督はチーム全体を向上させている。彼は文字通り、フットボールとともに生きており、あらゆるディテールを突き詰める指揮官だ。僕は今までに、彼ほどこだわりを持った監督に会ったことがない」

──ディテールとは? 具体的に教えてくれるかな。

「練習ではとにかくインテンシティにこだわる。気の抜けたプレーは一切許されないんだ。トレーニングと試合への準備もすごい。相手を徹底的に研究し、自分たちがやるべきことを事細かに伝えてくれる。それから、選手たちが口にするものにも、的確な指導をしてくれるんだ。インテルには専属の栄養士がいて、選手の体の回復や改善に適した食事法を提案してくれる。それぞれのエキスパートの力を借りて、監督はチームや選手が今どんな状態にあり、何が必要なのかを常に考えている。だから、全体も個人も成長できているんだと思う」

──インテルのフットボールはどう変化した?

「まず、メンタリティーが変わったと思う。今季のチームはすごく攻撃的である一方で、いかなる状況にも慌てることがない。おそらくそれは監督の影響だけでなく、新加入のベテランDFディエゴ・ゴディンの存在も大きい。ウルグアイ代表やアトレティコ・マドリードなどで、長年ディフェンスの要だった彼はこれまでに培った経験をチームメートに伝え、安心感をもたらしてくれるんだ。攻撃陣の新加入選手にも、ロメル(・ルカク)やアレクシス・サンチェスら、各国の代表選手がいる。的確な補強で隙のない陣容ができた今のインテルは、コンテ監督の指導と采配のもと、どんな相手の戦術にも対応できるようになったと思う」

「今季こそ僕らがスクデットを…」

──では今季こそ、リーグのタイトル争いは白熱しそうかな? ユヴェントスが8連覇を達成したように、セリエAでは長らく1強体制が続いているけど……。

「確かにユヴェントスの支配体制は続いているし、彼らは今季もすごく強い。でも、インテルも今季は一味違う。ユヴェントスの後ろにぴったりとつけているし、最後は彼らの9連覇を阻止できると信じている。きっとファンも、今季こそ僕らがスクデットを取ると信じているはずだ。それはイタリアのカルチョ全体にとって、良いことだと思う」

──今シーズンのインテルはここまで、全公式戦で2敗しかしていない。相手はバルセロナとユヴェントスだった。これはチームの成長とも言えるが、やはり真のビッグクラブとのレベルの差は感じたかな?

「確かに負けはしたけれど、どちらも1-2の接戦だった。幸運にも僕は両試合でゴールを奪えたこともあり、前向きに試合を終えられたよ。それにコンテはいつもこう言っている。『タイトルを獲得したいからといって、そこだけを見るのではなく、目の前の一戦一戦に集中することが大事だ』と。だから、僕は敗戦後もネガティブな感情を引きずらないようにしている。逆にいくつかの重要な勝利の後には、自信が深まった。まだまだシーズンは長いけど、ユヴェントスにプレッシャーをかけることができていると思う」

──かつてセリエAは世界一のリーグと謳われていたけど、いまやその座をイングランドやスペインに奪われて久しい。チャンピオンズリーグでは2010年のインテル以降、イタリアから優勝チームが出ていない。実際にプレーして、君はどう感じている?

「僕はまだセリエAで1年と少ししかプレーしていないけど、レベルはすごく高いと感じているよ。国外のクラブと対戦しても、うちが劣っているとは思わないし、一流の選手たちも集まってきている。ユヴェントスは頭ひとつ抜けているかもしれないけど、ナポリやアタランタ、ローマ、そして僕らインテルなど、上位陣の実力は伯仲している。クラブの練習施設やスタジアムの状態も素晴らしい。僕はアルゼンチンとここしか知らないけど、イタリア勢がスペインやイングランド、ドイツなどのチームに、著しく劣っているとは思わないな」

──では最近、バルセロナが君の獲得を狙っていると報じられたけど、スペインでプレーしたいとは思わない?

「現時点では、全く思わないよ。ここでのサッカーに完全に集中しているし、生活に何も不自由はないからね。今はインテルで成功したいと思っている。とはいえ、先々のことはわからない。リオネル・メッシとともにプレーできるチャンスが訪れれば、それを喜ばない人はいないだろうね」

<<後編へ続く>>

『SOCCER KING』2019年12月号

What’s Going On? 異変だらけの序盤戦、36の「なぜ?」

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