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これを読めばすべてわかる! セリエA 17-18シーズン「全クラブ通信簿」(11位~20位編)

2018.05.28

セリエA全クラブ通信簿11位〜20位編 [写真]=Getty Images

 序盤から好調なペースで勝ち点を挙げるナポリがカンピオナートを引っ張ったが、最後は王者ユヴェントスが自力の差をみせ、苦しみながらも前人未到のセリエA7連覇を達成した。知将マウリツィオ・サッリ監督の下、チーム一丸となって28シーズンぶりのスクデットに突き進んだナポリだが、勝ち点91を手にしながらマッシミリアーノ・アッレグリ監督が作り上げた“絶対王者”の強さに屈した。

 チャンピオンズリーグ(CL)争いでは、インテルが最終節でラツィオを下し、7シーズンぶりに出場権を獲得。来シーズンから出場チームが「4」となるUEFAの規約改正にも助けられた。一方、代表の主軸を担うDFレオナルド・ボヌッチを迎え入れて捲土重来を期したミランは、前半戦の躓きが響き、途中から指揮をとったジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の奮闘むなしく、結局、6位に甘んじた。最終節で5チームが降格の可能性を残すというもつれた展開になった残留争いは、結局、クロトーネ、ヴェローナ、ベネヴェントが降格の憂き目をみた。得点王はラツィオのチーロ・インモービレとインテルのマウロ・イカルディが29得点でタイトルを分け合った。

 CLではローマがバルセロナを破る大健闘、ベスト4でもリヴァプールを相手に「あわや」という場面を作った。ユヴェントスはベスト8でレアル・マドリードに惜敗。ヨーロッパリーグ(EL)ではラツィオのベスト8がイタリア勢の最高位だった。また、第27節の直前、イタリア代表DFダヴィデ・アストーリが遠征先のホテルで急死するという不幸な事故もあった。

協力=小川光生(Mitsuo OGAWA)
   ジョヴァンニ・バッティスタ・オリヴェーロ(『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』)
   Giovanni Battista OLIVERO
写真=ゲッティイメージズ

■11位:サッスオーロ 60点

サッスオーロ

 EL出場から残留争いに……。わずか1年足らずでサッスオーロが置かれている現実は、180度転換した。昨夏、セリエAで戦える現在のチームを作り上げた張本人、エウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督がローマへと去り、そこで生じた“ロス”を最後まで埋めきれなかった。
 ペルージャから引き抜いたクリスティアン・ブッキは、15試合で4勝しかできず、その後、ベンチは経験豊富なジュゼッペ・イアキーニに託されることに。イアキーニは、3バックにするなどチームを一変させ、ようやく戦いらしい戦いができるようになった。終盤になってFWマッテオ・ポリターノが覚醒。わすか3カ月で11ゴールを決めてチームを上昇気流に乗せた。また、フランチェスコ・アチェルビに率いられたDF陣も徐々に落ち着きを取り戻し、29節のナポリ戦では引き分け、37節ではサン・シーロでインテルから勝利を得た。序盤は元指揮官とともに夏にチームを去ったロレンツォ・ペッレグリーニグレゴワール・デフレルらが抜けた穴を埋められずにいたが、イアキーニの安定した指導もあり、何とか早期でのA残留を決めた。GKアンドレア・コンシーリが時折みせるスーパーセーブもチームの集中力と動機付けが最後まで持続した一因となった。

■12位:ジェノア 60点

ジェノア

 スタートはスロー、その後急速にギアを上げ、終盤に大失速。ジェノアらしいといえば、それまでだが、イタリア最古のクラブチームは伝統的にそんなヒステリックな1年を過ごすことが多い。
 昨シーズン、就任→解任→復帰→再解任のドタバタを繰り返したイヴァン・ユリッチ監督でシーズンを始めたが、12試合でわずかに1勝。エンリコ・プレツィオージ会長の癇癪が爆発して、ユリッチを解任、ダヴィデ・バッラルディーニがその後を継いだ。バッラルディーニがとった策は、いってみればカテナチオでゴール前を厳重に固め、サイドの俊足選手を中心に速攻を仕掛けるという戦術。これが機能し始め、チームは降格圏内から脱出する。夏にミランからレンタルで獲得したFWジャンルカ・ラパドゥーラの技術と速さがようやく生き始めたのもこのころからだ。2月にはインテルからの勝利を含む3連勝もあり、残留を確定的にする。その後は、今まで張りつめていたものが切れたのか、調子を急落させていったのがなんともジェノアらしい。
 イタリア代表GKマッティア・ペリンのプレーには持ち前の瞬発力だけでなく円熟味が加わってきた(今シーズン終了後、ユヴェントスに移籍か?)。また、彼とともにディエゴ・ラクサールの安定感あるプレーにも拍手を送りたい。一方、ノヴァーラから移籍したブルガリア代表FWアンドレイ・カラビノフは戦前の期待が高かった分、3ゴールという成績にはやや不満が残った。

■13位:キエーヴォ 50点

キエーヴォ

 最終節での残留決定。それでも人口3000人余りのヴェローナ市の一地区のチームは、今シーズンもまた“指定席”を死守した。2000年のA初昇格以来、16シーズンで15回、残留を成し遂げている。
 監督のローランド・マランを含め昨シーズンとほぼ同じ布陣で戦うことを決め、前半戦を21ポイントで折り返した時には、「今シーズンも残留はかたい」と多くの人が考えた。ところが後半戦に入り、チームは徐々に失速を始める。メンバーの高年齢化はここ数年常に指摘されている弱点だが、ルカ・カンペデッリ会長をはじめ首脳陣はなかなか有効な解決策をみつけられずにいる。財政基盤の脆弱な彼らのようなチームでは、めぼしい若手が出てくると彼らを早い段階で売りさばき資金源にする必要があるからだ。第29節のサンプドリアからの勝利以来、1カ月以上勝ち星から遠ざかり、結局マラン監督を解任。クラブの生え抜きでユース監督だったロレンツォ・ダンナにチームの命運を託した。その後、36節ボローニャ、37節クロトーネとのゲームで勝ち星が転がり込み、何とか今シーズンも任務を果たしたキエーヴォだが、今後の課題は多い。冬にナポリからレンタルで加入した元イタリア代表のエマヌエレ・ジャッケリーニ、キャプテンとして常に同僚を鼓舞し続けたGKステファノ・ソレンティーノの存在が大きかった。

■14位:ウディネーゼ 45点

ウディネーゼ

 3人の監督、多くの敗戦、その後の連勝……。ウディネーゼにとって2017-18シーズンは、“世にも奇妙な9カ月”だった。
 昨シーズン途中就任でチームを残留に導いたルイージ・デルネーリ監督だったが、今シーズンは彼のクラシカルな「4-4-2」サッカーが機能せず、わずか13試合で解任。しかし、後をついだマッシモ・オッド監督が、第14節から第18節までチームを5連勝に導き救世主となる。ただ、その新監督の神通力も長くは続かず、第24節のトリノ戦から今度はまさかの11連敗。クラブワースト記録でオッド監督は解任となり、ガラタサライに解雇された後、休職中だった元ユヴェントスのDFイゴール・トゥドルが最後の4試合を任されるというまさに“ドタバタのシーズン”となった。それでも残留を決められたのは、前半戦の5連勝と最後の粘り腰があったからだろう。頭角を現した若手をすぐに売りに出し独自のスカウティング・システムと整備された下部組織でまた新たなスターを生み出すのがこのクラブの経営方針。今夏のメルカートの主役は、チェコの俊足FWアントニン・バラク、12ゴールを記録したFWケヴィン・ラザーニャあたりか。

■15位:ボローニャ 60点

ボローニャ

 前半の19試合を24ポイントで折り返した時には、残留をすでにポケットに収めたかに思えた。ただ、後半戦は苦しい戦い(15ポイント)が続き、最後にはその熱しやすさはイタリアでも随一のボローニャのティフォージが大規模な抗議運動を起こすという混乱状態が続いた。もしスピードとクオリティを併せ持ち、プロ入り初の1シーズン二桁得点(10)を記録したシモーネ・ヴェルディが冬のメルカートでナポリに引き抜かれていたら……状況はさらに複雑になっていたことだろう。ゴールだけでなく前線のタメの作り役としても今シーズンのヴェルディはMVP級の活躍を見せた。
 夏冬の両メルカートでも今シーズンのボローニャは話題をさらった。ミラン、インテルから加入したMFアンドレア・ポーリとFWロドリゴ・パラシオは「最高級の」という形容詞は言い過ぎだろうが、それぞれそこそこの活躍をみせた。一方、冬のメルカートで出戻ったブレリム・ジェマイリだが、復帰2日後のゴール以外はめぼしい働きはほとんどなし。(今シーズンもまた?)ファンからの手厳しい批判にさらされたロベルト・ドナドーニ監督だが、DFフィリップ・へランデル、FWフェデリコ・ディ・フランセチェスコなど平均的な選手の起用法は巧みで、その手腕はもう少し評価されてもよい。「たら・れば」は禁物だが、もしもうひとり中盤に存在感を示せる選手がいたらさらに上位を狙えるチームではあった。

■16位:カリアリ 55点

カリアリ

 前半戦での獲得ポイントは「20」、後半戦は「19」。一見安定しているように見えるが実際は常に“低空飛行”の状態に近かった。それでもホーム、アウェイで同じような配分(21対18)で可もなく不可もなくポイントを積み上げたサルデーニャ島の雄は、今シーズンもまたA残留という目標をクリアしてみせた。
 夏の移籍市場で、昨シーズンの残留に決定的な働き(16ゴール)をしたマルコ・ボリエッロをSPALに放出。ボンバー不在の状態から脱したのは、終盤になってようやくレオナルド・パヴォレッティのシュートがゴールに吸い込まれるようになってからだ。開幕8試合で6ポイントしか手にできず、8節終了後、15年夏から指揮をとっていたマッシモ・ラステッリが監督を解任。カリアリの往年の名DFでウルグアイ出身のディエゴ・ロペスが後を継ぎ残留への歩みを少しだけ速めた。
 97年生まれのMFニコロ・パレッラは小柄ながら技術があり、来シーズン以降楽しみな存在。ただ、ファウルが多いのが気がかりだが……。その他、GKアレッシオ・クラーニョ、MFルカ・チガリーニ、MFシモーネ・パドイン、DFフィリッポ・ロマーニャなどの健闘・躍進が目立った。“北朝鮮のメッシ”と呼ばれユヴェントスからも獲得オファーがあったFWハン・グァンソンは、セリエAの壁はまだ厚く結局、無得点(出場7試合)で今シーズンを終えた。

■17位:SPAL 65点

SPAL

 実に49年ぶりにセリエAを戦った古豪SPALにとって、最後の最後であったとはいえA残留を果たしたことは、大成功のシーズンだったといえる。技術的な面からみれば(特にDF陣と中盤は)、彼らは間違いなく今シーズンのセリエAのワースト3に入るレベルだった。
 序盤、新しい環境への順応を辛抱強く続けた結果、後半戦にはセリエAの強豪相手にいくつかの貴重な勝利を手にするにいたった。むしろ「負けないゲームができるようになった」という表現のほうが適切かもしれない。夏のメルカートでアルベルト・パロスキ、ボリエッロという2人の有力FWを獲得。昨シーズンの昇格の立役者、ミルコ・アンテヌッチ、セルジオ・フロッカリとの“4人体制”となり、特にシーズン序盤は混乱を招いた。
 一方、ブラジル生まれのポーランド代表、チアゴ・チョネクの加入でDF陣は昨シーズンよりも少し落ち着いた感があった。中盤には、フェデリコ・ヴィヴィアーニ、パスクアレ・スキアッタレッラ、エヴェルトン・ルイスというタイプの違う3人のレジスタがいて、質的には物足りない部分もあったが、時折、敵を欺くようなサッカーを仕掛けていけるチームだった。A初采配となった監督のレオナルド・センプリチも自身の機知に富んだサッカーがAの舞台でも十分通用することを示した。MVPは、主将でもあったアンテヌッチ。初のセリエAで11ゴールを挙げたことはもちろん、不屈の闘志で最後までチームを引っ張る姿が印象的だった。

■18位:クロトーネ 50点

クロトーネ

 昨シーズン、最終節で逆転残留を果たしたクロトーネだが、2シーズン連続で奇跡が起こることはなかった。彼らにとって、セリエAはやはり苦しく困難なリーグだった。そんな中、彼らは昨シーズン同様の一定の粘りはみせたように思う。しかし、B降格が不運のたまものであったかといえば、そうは思わない。今シーズンもまた(というべきだろうが)その戦いには持続性というものが感じられなかった。また、残留争いをしていたチームとの直接対決で勝てなかったのがなによりの痛手であった。
 昨シーズンの奇跡の創造主、ダヴィデ・ニコーラ監督をわずか15試合で解任。12月の頭から、元代表の名GKワルテル・ゼンガ監督を後釜にすえた。2月にはインテルと、4月にはユヴェントスと引き分けそれぞれ貴重な勝ち点1をつかむが、第26節ではホームでSPALに敗れるなど、下位クラブとの決戦で勝負弱さを露呈した。最後はゲンをかついだのか昨シーズン終盤に奇跡を演出したメンバーをレギュラーに戻し背水の陣を敷いたものの結局思うようにはいかず、わずか2年でセリエBに逆戻りということになった。GKアレックス・コルダス、MFロランド・マンドラゴラ、ユヴェントス戦でオーバーヘッドからゴールを決めたナイジェリア人FWシミーあたりの活躍が印象に残った。一方、ディフェンスリーダーのマルコ・カプアーノからは昨シーズンみられた堅実さが消え失せていた。

■19位:ヴェローナ 30点

ヴェローナ

 カルチョの名門のひとつ“エラス”にとって今シーズンは開幕から終幕までほとんど良いところのないシーズンだった。前兆は開幕前からあった。チーム編成には計画性というものがまったく感じられず、高い技術を要した何人かのタレントにチームの命運を託すという、いきあたりばったりの姿勢が目立った。
 ラファエル・ベニテスの元アシスタントとはいえ、監督としてはセリエBでの采配経験しかないファビオ・ペッキアをベンチに座らせた時点で、苦難のシーズンになることはある程度予想できた。夏場にアントニオ・カッサーノを獲得し、ジャンパオロ・パッツィーニと往年の名コンビが復活したと喜んだのもつかの間、カッサーノはサマーキャンプ中に突然、退団を発表。パッツィーニも冬のメルカートでスペインへと移籍していった。ペッキアは残ったベテランFWアレッシオ・チェルチに前線を託すも結局、周囲のサポートが得られずわずか2ゴールという平凡な成績に終わった。冬場、キャプテンのロムロなど一部の選手の奮闘がありやや復調の兆しをみせたが、それも一時的なものに。明るい話題は、ユヴェントスから冬のメルカートで移籍した、“バロテッリ2世”の呼び声も高いイタリア生まれの黒人FWモイーズ・ケーンが頭角を現したことくらいだった。

■20位:ベネヴェント 50点

ベネヴェント

 開幕前、史上初のセリエA昇格でファンのボルテージは最高潮であったが、開幕からまさかの14連敗と一時はセリエAの厳しさに打ちひしがれる。ところが、12月3日、ホーム・スタディオ・ヴィゴリーノでのミラン戦で奇跡が起こる。1-2のビハインドで迎えた後半アディショナルタイム、ゴール前に上がったGKアルベルト・ブリニョーリのヘディングシュートが決まり2-2の同点に。セリエAで初めてのポイントをつかんだのだ。そこから流れが変わり、19節にはキエーヴォから初勝利。フロントも選手の頑張りに応え、冬のメルカートでFWシェイク・ディアバテ、MFサンドロ、DFバカリ・サニャ、GKクリスティアン・プッジョーニなど有効な戦力を次々に獲得。昨シーズン史上初のセリエA昇格を果たしたマルコ・バローニ解任後、チームを立て直したロベルト・デ・ゼルビ監督の采配も機能し、34節のミラン戦では1-0で勝利。ユヴェントスとインテル相手の4試合は全敗ながらいずれも相手をてこずらせるなど、最後まで諦めない彼らの姿勢に、地元のファンだけでなくイタリア中から賞賛の声があがった。
 結局、序盤の躓きで受けたダメージを補いきれずに再下位でB降格が決まったが、彼らの奮闘はカルチョ界に一陣のベネヴェント(イタリア語で「良い風」の意味)を吹かせた。中盤の底でチーム全体のプレーを組み立て後半の躍進の立役者となったサンドロにチームMVPをあげたい。

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