【コラム】優秀な先輩たちに影響を受け、成長を続けるシメオネ・ジュニア

シメオネ

昨シーズンはジェノアで12ゴールを挙げる活躍を見せた [写真]=Getty Images

 首位ユヴェントスを追いかけるナポリの夢を砕いたのはフィオレンティーナのワントップ、ジョバンニ・シメオネだった。4月29日に行われたセリエA第35節で、DFカリドゥ・クリバリの退場処分で10人になったナポリを相手にトリプレッタ(1試合3得点)と大暴れした。

 “ショリート”(小さなショーロ)の愛称を持つジョバンニは、“ショーロ”と呼ばれた元アルゼンチン代表でインテルでもプレーしたディエゴ(現アトレティコ・マドリート監督)を父に持つ。リバープレートで育ち、ジェノアを経て、今シーズンからフィオレンティーナにやってきた。セリエAで成長中の二世選手の一人、フェデリコ・キエーザと共にチームの攻撃面を引っ張っている。ジョバンニもこれで合計13得点とし、昨シーズンを上回るゴール数となった。

 ナポリ戦後、ジョバンニは「ハットトリックを誰に捧げるか」という問いに対し、「祖父と父に捧げる」とキッパリと答えた。彼によると「祖父(カルロス氏)は毎試合、欠かさずテレビ観戦していて、試合後に『お前は何であのシュートを外したんだ。説明しなさい』と電話で言われる」という。また父、ディエゴも厳しい批評とアドバイスを欠かさないそうだ。

 フィオレンティーナにとって、ナポリ戦はヨーロッパ・リーグ出場権をかけてのビッグ・マッチだった。試合前に、ジョバンニはナポリのスクデットを応援する故郷の英雄ディエゴ・マラドーナ氏について、次のように話した。「彼は神話だ。アルゼンチン国内と同じようにナポリで愛されている。でもだからといって、ナポリの夢を考えてはならない。僕たちには僕たちの夢がある」と6位の座をつかみに行く強い意志を口にしていた。

 ジョバンニはステファノ・ピオリ監督からも大きな影響を受けた。「彼のバランスの良い知識には衝撃を受けた。何でも知っていて、広い目で全体を見渡している。すべてを把握している。どんなに困難な状況でもその冷静さを決して失わない」と、サッカーの先人としての凄さに舌を巻いた。フィオレンティーナでアルゼンチン人と言えば、ガブリエル・バティストゥータ氏が忘れてはならない存在だ。ジョバンニも「落ちついて行け。フィレンツェは選手を愛している。毎試合を戦っていけば、きっとゴールは戻ってくるとアドバイスを受けた」とスランプ時のエピソードを打ち明けた。祖父、父、バティストゥータ氏にチームの指揮官と、多くの超優秀な先輩に恵まれているジョバンニ。今後も順調に育っていってほしいものだ。

文=赤星敬子

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