【コラム】怒涛の追い上げ続くミラン…見えてきたインテルの背中とCL出場権

ミラン

好調を維持しているミラン [写真]=Getty Images

 ユヴェントスが首位に返り咲いたセリエA第28節だった。上位対決のインテル対ナポリ戦がスコアレスドローに終わり、ユヴェントスが単独トップに浮上したのだ。トッテナムとのチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦セカンドレグではFWゴンサロ・イグアインとFWパウロ・ディバラ、そして12日のウディネーゼ戦ではディバラの2ゴールと、さすがにこのアルゼンチン人FW2人が点を取り出すと、手堅く安定感のあるチームとなる。延期されているアタランタ戦(14日)の結果次第では、さらに2位ナポリとの勝ち点差を広げられる可能性も出てきた。

 そして先週、天国と地獄を味わったのがミランだ。8日に行われたヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント2回戦ファーストレグでは、本拠地サン・シーロでアーセナルに0-2で敗戦。スコア以上に力の差を見せつけられた。ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督も「イタリアとヨーロッパのサッカーの差に苦しんだ。テクニック的なミスも多かったし、チームに“穴”ができてしまっていた。もっとやれたはずという思いだ」と後悔のコメントばかりが口をついた。

 一方、そんな“ショック療法”が効いたのか、12日のジェノア戦では後半アディショナルタイムにFWアンドレ・シルヴァが劇的なヘディングシュートでミランを勝利に導いた。これで、勝ち点52で5位のインテルとは、その差を5ポイントまで縮めた。また、サンプドリアが負けたため6位に浮上した。フィオレンティーナの主将DFダヴィデ・アストーリの急死で延期された“ミラノ・ダービー”が、例年以上に重要な一戦となりそうだ。3位ローマ(勝ち点56)、4位ラツィオ(同53)、インテル(同52)、ミラン(同47)と、9ポイント差に4チームがひしめき、CL争いが一層激しさを増している。

 2018年に入ってからのガットゥーゾ・ミランの躍進ぶりは目をみはるばかりだ。2017年末の第19節終了時は勝ち点25で10位に沈んでいた。この時点でCL出場圏内の4位で並んでいたローマとラツィオとの差は15ポイントあった。それが今では、4位ラツィオまで6ポイント差に縮まっている。

 宿敵インテルとの差も明らかだ。インテルが最近12試合でわずか2勝、勝ち点13しか稼げていないのに対し、ミランは年明け8試合で勝ち点22と、1試合平均2.75ポイントを取ってきたことになる。しかも直近では4試合連続失点ゼロだ。

 ジェノア戦後、ガットゥーゾ監督は「アーセナルに敗れた後、今日の試合の心配をしていたが、その必要なかった。私が間違えていたよ。切り替えてうまくいくことができた」と勝利を噛み締めた。街中のバールなどでも、人々がジェノア戦について「フィジカル的な問題があるのでは」と噂していたのを耳にしたというが、「今日は95分間やり遂げた」と胸を張っていた。ELセカンドレグでの巻き返しは非情に難しい。しかし、敗退した場合はセリエAだけに集中することができるとも考えられるだろう。

 シーズン終盤、名門復活を期すミランの戦いから目が離せない。

文=赤星敬子

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