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【コラム】責任は誰に…? ドンナルンマ契約延長騒動、後味の悪さだけが残る結末に

2017.06.22

ミランとの契約を延長しないことが決まったドンナルンマ [写真]=LightRocket via Getty Images

 前回のコラムで「ミランのメルカートのスタートダッシュ」についてお伝えした。今回もミラン関連の話題になってしまうことを申し訳なく思う。しかし、もし「今週のメルカート・ベスト3」などというコーナーがメディアにあったなら、断トツトップはこの一件「ドンナルンマ、ミランとの契約を更新せず…行き先はレアルか」だろう。

 ジャンルイジ・ドンナルンマに関しては、今さら解説を加える必要もない。2015-16シーズン、当時のミラン指揮官、シニシャ・ミハイロヴィッチ氏の抜擢で弱冠16歳にしてセリエAデビューした逸材だ。

 ここ数年、イタリアではジャンルイジ・ブッフォン(ユヴェントス)の後継者として、数々の若手GKの名前が挙がってきた。例えばマッティア・ペリン(ジェノア)、シモーネ・スクッフェト(ウディネーゼ)らだ。しかし、今やその筆頭はドンナルンマだ。彼はこの2年で急成長し、イタリア代表デビューも果たした。

 そんななか、ドンナルンマとの2018年6月末までとなっている契約の延長交渉が空中分解した。中国人オーナーの資金参入とフロントの総入れ替え、そしてチャンピオンズリーグ復帰を目指し、夏のメルカートで早い段階から選手獲得に動いて実際に成果をあげてきた矢先の出来事だった。元オーナー、シルヴィオ・ベルルスコーニ氏の娘、レディBことバルバラ氏も「ドンナルンマを新しいキャプテンに」と熱く語っていた。ミラニスタも5年、10年後のミランを支える屋台骨として、真の生え抜きのカピターノの誕生かと心躍らせた。しかし、“破局”してしまった。

 ミラン側とドンナルンマの代理人、ミノ・ライオラ氏が互いに非難し合うやり取りは日々報じられているので省略させてもらう。一方で、この“破局”が報じられてからミラニスタたちは彼らなりのやり方で怒りをぶちまけ、SNSなどを使って皮肉った。

「ユニフォームにキスをする行為は全く意味がない、特に代理人がライオラである場合は」(ズラタン・イブラヒモヴィッチ、マリオ・バロテッリ、ポール・ポグバ、ドンナルンナマがユニフォームにキスをしている写真に添えられたコメント)

「我々が、新しいミランのバンディエラとなる選手だと期待していた選手が、今の金銭目当てのサッカー界でこんな結末で終わってしまった」

 18歳の選手を取り巻くサッカービジネスを憂う声が悲しくあふれた。

 18日にポーランド・クラコヴィア行われた、U-21欧州選手権のデンマーク対イタリア戦でもドンナルンマはサポーターから激しい非難を浴びた。『ミラン・クラブ・ポーランド』からの抗議横断幕が掲げられ、ゴールネットには印刷された大量の偽ドル紙幣が投げ込まれた。「お前は結局金の亡者なんだな」というように。

 ドンナルンマの兄でGKのアントニオ(アステラス・トリポリス=ギリシャ)は「ジジ(ドンナルンマ)はミランに魂を捧げた。これ以上、弟と我々家族を苦しめるのはやめてほしい」と、周囲からの批判に対しSNSで訴えている。18歳のドンナルンマをめぐる代理人とクラブの攻防には苦い気持ちが残るだけである。

文=赤星敬子

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