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【コラム】ゼマンらしさ全開で初戦に“爆勝ち”…崖っぷちペスカーラ、奇跡の残留なるか

2017.02.21

ペスカーラの監督に就任し、いきなり結果を残したゼマン氏 [写真]=NurPhoto via Getty Images

 ここまでのセリエAでは2部降格圏の下位3チームが、圧倒的な勝ち点差で離されている。17位のエンポリが22ポイントで、18位のパレルモは勝ち点8差の14ポイント。さらに1ポイントずつ離れてクロトーネ、ペスカーラが続いている。今シーズン4人目の新指揮官が就任したパレルモに続き、ペスカーラもセリエA第24節のトリノ戦後にマッシモ・オッド監督を解任した。首脳陣は残り14試合となって悩み苦しんだ末の決断だった。

 そして新たにベンチで采配を振るうようになったのはゼデネク・ゼマン氏だ。69歳の同氏は監督歴約30年を迎えたイタリア指導者界の大御所。ヘビースモーカーで渋いかすれ気味の声ながら歯に衣着せぬ発言で知られる。「ユヴェントスのスクデットは20回、多くても23回」と言ってのけ、ユヴェントス幹部や関係者をピリピリさせた。これまでフォッジャ、ローマ、ラツィオなどを率いた経験を持つ。

 2012年5月にチームをセリエB優勝に導き、クラブを初めてセリエAに昇格させたペスカーラでは、その復帰が熱く歓迎された。古くはフランチェスコ・トッティ(ローマ)、ペスカーラではマルコ・ヴェラッティ(パリ・サンジェルマン)、ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)、そしてチーロ・インモービレ(ラツィオ)を育てたことでも知られる。4-3-3をベースとした超攻撃的サッカーを得意とするこの名将は、わずか2日の準備期間でホームに16位のジェノアを迎えた。

 結果は5-0の大勝。ゼマン監督らしい派手な試合を見せた。FWジャンルカ・カプラーリの2ゴール、そして194センチの大型センターフォワード、アルベルト・チェッリの20歳セリエA初得点というおまけもついてきた。セリエA経験127試合で同監督が5-0で勝利したのは今回で5回目。1995年のラツィオ時代にはフォッジャに7-1、フィオレンティーナに8-2という“爆勝ち”を収めている。

ペスカーラ

大勝を収めたペスカーラ [写真]=NurPhoto via Getty Images

 前監督のオッド氏が採用してきた4バックはそのままに、中盤とトップのスタイルを変えた同監督は、「以前が全て間違っていたとは言わない。しかし距離感が大きかったようだ。今回はプレスに行けなかった。私は魔法の杖を持っているわけではない。ただ今日はうまくいった」とコメントした。

 それでも最下位であることに変わりはない。「やってみるしかない」と同監督。残り13試合でチームを残留に導けるか。対戦相手としては、強豪ユヴェントスにインテル、また残留争いの直接対決となるクロトーネ戦とパレルモ戦が残っている。崖っぷちのペスカーラが奇跡の逆転残留劇を演じられるかどうか、“ゼマン・マジック”に注目が集まっている。

文=赤星敬子

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