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【コラム】ユーヴェへの敵意をむき出しにしたナインゴラン…蒸し返されたローマとの因縁とは

2017.02.14

ユヴェントスへの爆弾発言が公になってしまったナインゴラン(左) [写真]=Getty Images

 ローマに所属するベルキー代表МFラジャ・ナインゴランが、ユヴェントスを激しく嫌悪する爆弾発言をしたことが話題となった。サポーターが録画したものがイタリア紙『コリエレ・デッロ・スポルト』のサイトにアップされ、“ローマニスタ”と“アンチ・ユーヴェ”が大いに留飲を下げた。直前にはセリエA第23節のユヴェントス対インテル戦で、ニコラ・リッツォーリ主審のジャッジが話題になり、さらに抗議のペナルティーで退場者まで出したインテルは、モヴィオラと呼ばれるリプレービデオを分析して審判団のミスを指摘するほどだった。

 そんな伏線もあって、ナインゴランの爆弾発言につながったのだろう。クラブのオーナーや幹部、関係者らが他のクラブを批判することはそう珍しくはない。しかし、現役選手が試合後以外で、あからさまに他クラブを批判するのは珍しいのではないだろうか。強豪クラブのユヴェントスはサポーターも多いが、その反面で“アンチ・ユーヴェ”のサッカーファンも多い。ナインゴランの「いつも勝つのは審判のPKで」という過激なコメントは、そんな人々の気持ちを代弁していた(※編集部注:2月10日付のイタリアメディア『calciomercato.com』によると、セリエA過去10年でのPK獲得数は、1位ミラン:89、2位ローマ:76、3位ナポリ:73、4位ユヴェントス:61、5位インテル:54と発表されている)。

全身タトゥーと奇抜なモヒカンヘアーが特徴のナインゴラン [写真]=Getty Images

 全身に派手なタトゥーを入れ、金髪のモヒカンヘアーという風貌のナインゴランは、荒くれ者で激しい気性の持ち主。ユヴェントス批判にも「カリアリ時代から憎んでいた。当時はユヴェントス・スタジアムで負けたことがなかった(2011-12シーズン、13-14シーズンはいずれも1-1のドロー)」と誇りをもっている。また、一時はユヴェントスへ移籍する可能性もあったようだが、オファーを断ったいきさつも明らかにした。

ラジャ・ナインゴラン

カリアリ時代にユヴェントスと対戦したナインゴラン(右) [写真]=Getty Images

 ローマユヴェントスの因縁は1981年5月までさかのぼる。スクデット争いをしていた首位ユヴェントスローマの直接対決で、ユヴェントスが退場者を出した後、後半残り15分でローマのマウリツィオ・トゥローネがゴールを決めたかに思われた。だがジュリアーノ・ソンチーニ線審のジャッジはオフサイド。試合はスコアレスドローとなり、シーズンを制覇したのはユヴェントスだった。当時のパオロ・ベルガモ主審は「私は理にかなったゴールだったと見ていた。だがライン際で見ていてジャッジできたのは線審だったから」と振り返っている。

 そして、00-01シーズンにローマへ18年ぶりのスクデットをもたらしたファビオ・カペッロ監督を、2004年に呼び寄せたのもユヴェントスだった。ブラジル代表MFエメルソンを“連れて”のユヴェントス行きに、ローマニスタの怒りと憎悪は頂点に達した。そして、昨夏も同じパターンの悪夢が起こってしまった。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表MFミラレム・ピアニッチが“ジャロ・ロッソ(黄色と赤)”から“ビアンコ・ネーロ(白と黒)”へユニフォームを変えたのだ。

ミラレム・ピアニッチ

ナインゴランの盟友でもあったピアニッチ(右)がユヴェントスへ移籍した。 [写真]=AS Roma via Getty Images

 サポーターの憎悪対象といえば、最初にダービー・マッチを戦うチームが頭に浮かぶが、それだけではない。セリエAのクラブもサポーター同士が異常にライバル意識を持ち、激しい嫌悪感をむき出しにする組み合わせがある。そのあたりはまた、別の機会にでも取り上げたい。

文=赤星敬子

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