圧倒しての4連覇…ユヴェントス、現地記者・ファンが語る強さの要因は“チーム力”

アッレグリ

4連覇を決め、胴上げで宙を舞ったアッレグリ監督 [写真]=Getty Images

文=赤星敬子

 ユヴェントスの強さだけが目立ったシーズンだった。独走でセリエA終了まで1カ月を残し、4シーズン連続スクデットを決め、チャンピオンズリーグのベスト4にも勝ち残っている。これほどまでに他チームとの差がついたのはどうしてなのか。イタリアサッカーを取材するプロと、長年ユヴェントスを支えてきたファンの1人に話を聞いた。

 まずはチーム力だ。昨シーズンとの大きな違いは、3年連続でチームを優勝に導いていたアントニオ・コンテ現イタリア代表監督からマッシミリアーノ・アッレグリ監督にバトンタッチされた。どのように最強軍団を指揮していくかに注目が集まった。

『コリエレ・デロ・スポルト』のフリオ・フェデーレ記者は次のように指摘する。

「アッレグリは就任してから大きな改革をすることもなく、コンテのユヴェントスをうまくキープした。そして細かい注意力で自分のチームを作り上げた。コンテのテンションの高さに比べると、アッレグリのそれはやや低い。しかし、それが幸いして選手たちに受け入れられた」と、バトンタッチがスムーズにいった功績を称えた。そして「選手たちの力を見極める力も素晴らしい。またカルロス・テベスの“復活”も大きかった」と分析した。

 長年のユヴェンティーノでミラノ在住のマルコ・マッツォーラさんは「今シーズンはメモリアルイヤーとなったね。コンテの欠如を感じさせない1年だったよ。スランプでも選手たちは状況を見つめなおし、集中力で乗り切った。アッレグリは豊富な選手層を活かし、うまく選手起用したと思う」と語った。

 クラブの組織力としてはどうか。

「専用スタジアムを持ち、スカウトたちも優れ、選手たちの管理にも長けている。厳しく緻密なオーガナイズで選手たちをコントロールしている。それで最悪の時期を乗り越えてきた。ユヴェントスは欧州のクラブの中でも独特のスタイルを築きあげたと言える。それが他の国内クラブと大きく異なる点で、差をつけた。ベストの組織力があることが証明された」とフェデーレ記者。そして「序盤に首位争いをしたローマは、ユヴェントスを追いかける展開どころか失速し、ラツィオやナポリとの2位争いに疲弊し、脆弱なところを見せてしまった」と、結果的にはユヴェントスの抜きん出た総合力だけが目立ったという。

 マッツォーラさんも「クラブ専用のスタジアムを所有しているのは、本拠地で戦う選手たちにとって、とても心強いはず」と同様の考えを示す。「クラブは過去の経験を元にして全力で情報収集をしている。選手との契約、新選手の獲得においてはその時期を見極めて、慎重で賢明な判断をしている。次は選手たちの若返りを考慮して、メルカートに望んで欲しい」と願っている。

 また、マッツォーラさんはミラノ在住ということもあって、北の3強といわれたミラン、インテルと比較。「世界の経済危機はサッカークラブにも多大な影響を及ぼした。シルヴィオ・ベルルスコーニやマッシモ・モラッティがポケットマネーで負債を払っていた時代もあったが、それが無理になった。チャンピオンズリーグで勝ち進むには莫大な資金と期間が必要となる。また何百万人のサポーターを惹きつけていくには、結果を出さなければならない。ミラン、インテルはクラブを再構築し、メルカートの過ちを少ない資金でうまく修正する必要がある。まずはそこからだろう」と、第一線に戻るにはまだ時間が掛かるとの見解を示した。

 うまくいったコンテからアッレグリへ切り替え、爆発的な得点力で復活したテベスの相乗効果。そしてルチアーノ・モッジの八百長事件後、セリエB降格というドン底状態からクラブは再生し、より強固な組織力でイタリアの王座をキープし続けている。来シーズン、対等に首位争いをできるクラブは出てくるのか。奮起に期待したい。

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