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年内出場停止のフランクフルト主将、異議申し立ても…DFBは処分を支持

2019.11.21

アブラーム(中央)はシュトライヒ監督(右)を突き飛ばして退場となった [写真]=Getty Images

 11月10日に行われたブンデスリーガ第11節において、最も印象的なシーンとなってしまったDFダビド・アブラームによる退場劇。フランクフルトの主将を務める同選手には、2万5000ユーロ(約300万円)の罰金処分に加え、7週間の出場停止処分と非常に厳しい判断が下されたが、これに対してフランクフルト側は異議申し立てを行った。19日に行われた審議を、ドイツ誌『kicker』日本語版が20日に伝えた。

 審議は当初、比較的明るい雰囲気の中で行われ、裁判長を務めるロレンツ氏はアブラームに対して、「アルゼンチンでユース代表時代に同僚だったリオネル・メッシが当時から凄い選手だったのか?」と質問するなど、ユーモアも交えた会話が見受けられていた。だが、その1時間半後に下された決断は、それまでの判決を支持する「年内残り全休」のままというものだった。

 いったいどういった経緯で決断が下されたのか? ポイントとなったそれぞれの発言と、ドイツサッカー連盟(DFB)の監理委員会側の見解、そして判決理由とフランクフルト側の反応について見ていこう。

【経緯】
フライブルクが1-0でリードした後半アディショナルタイム、ダビド・アブラームがサイドラインにボールを取りにいった際、相手のクリスティアン・シュトライヒ監督に対して、猛烈な勢いでチャージして突き倒した。その後は両チーム入り乱れての騒動となり、アブラームの顔を掴んだフライブルクのFWヴィンセンツォ・グリフォにも3試合の出場停止処分が言い渡された。

ダビド・アブラームの証言
「フライブルク側のサイドラインにボールを拾いにいった。残りのワンチャンスに賭けることに集中していたし、ボールのことだけを見ていたよ。(ボールは)ベンチから弾かれ、そして不運にもシュトライヒ監督の後ろへと転がってしまった。もちろん、そこで相手監督にチャージすることに意味などない、ただあまりにボールにばかり意識がいって、監督の存在に気づくのが遅すぎた。ピッチ上の時点ですでに謝罪しているし、その後はロッカールームにいって容態について確認にもいった。それにシュトライヒ監督も僕の謝罪を受け入れてくれた」

▼ヴィンセンツォ・グリフォの証言
「監督がピッチに倒されたのを目にすれば、当然カッとなってしまうものだ。特にシュトライヒ監督とは特別な関係性があるわけだから。もうその時には騒動が起こっていて、その中で自分がアブラームの顔を掴んでいるという意識はなかった。決してあれはわざとなんかではないし、殴りかかろうなんて思ってもいなかった。ただ自分の監督があんな目に遭っているということは、初めての経験だった」

ダビド・アブラームの証言
「僕自身は、誰かに顔を掴まれたという感覚は特になかった。あくまで僕の考えだけど、彼はただ距離を取ろうとしていたのだと思う。あえて何かをなすりつけようなんて考えは、僕にはない」

▼フェリックス・ブリッヒ主審の証言
「すでに私は自身の見解として、あれは意図的なチャージであったとの見方を示しています。監督はコーチングゾーンの中に立っていて、アブラームは決して止まることなく、監督の方向へと向かいぶつかっていきました。正直、私はプロのサッカーの世界で、あのような場面を目にしたことはありません」

▼クリスティアン・シュトライヒ監督の証言
「アブラームは非常に早く私の方へと向かってきた。とても熱くなりやすい気質をもった選手であり、実際にあの時は興奮していた。あの時、私はポケットの中に手を突っ込んでいて、ああいうことが起こるとは思わず、特に体に強く力を入れていたということもなかった。ただ、あの後に関しては、できるだけ大事にならないように努めた。アブラームのことはとても評価している。ただあまり自制がきかないところもある」

 しかし、この審議を「作り話もいいところだ」と苛立ちをもって聞いていたのがDFB監理委員会のアントン・ナハライナー氏だ。「馬鹿げている」と語り、改めてグリフォの行為に対して「あれが仲裁に入った行動だったと…?」と疑問視した。そもそも今回のアブラームの出場停止処分の程度についても、ピッチ上かサイドラインで起こったかで刑量が少なくなるということ自体に対して疑問を投げかけている。

 最終的にロレンツ裁判長は、「不注意で済まされることではない」としつつ、「悪意」はなく「早くボールを取ろうとした」にしても、アブラームは「回避を怠った」と判断。これまでの判決をそのまま支持する形で審議を終えた。これに対してフランクフルトのシックハルト弁護士は不満を示しており、クラブ公式日本語版も「アイントラハトは異議申し立てを行いました」と伝えた。なお、フライブルク側は、グリフォへの異議申し立てを取下げている。

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By kicker日本語版

ドイツ最大のサッカー専門誌『kicker』日本語版

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