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これを読めばすべてわかる! ブンデスリーガ 17-18シーズン「全クラブ通信簿」(1位~9位編)

2018.05.22

17-18シーズンのブンデスリーガを総括 [写真]=Getty Images

 新たに導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が大きな話題を呼んだ17-18シーズンのブンデスリーガは結局、バイエルンが改めて一強支配を印象づける1年となった。序盤戦でやや出遅れたものの、政権交代後の歩みは見事で、シーズン後半には最大のライバルと目されたドルトムントを6-0と一蹴。事実上、優勝争いは存在せず、5節を残した時点でバイエルンの6連覇が確定した。絶対王者があまりにも強いゆえ、優勝プレーオフやサラリーキャップ制の導入、大富豪などのクラブ買収を阻んでいる「50+1ルール」の撤廃など、ピッチ外ではリーグ改革案の議論が熱を帯びたほどだった。

 2位以下に目を向ければ、欧州カップ戦の負担がなかったシャルケとレヴァークーゼンが上位に返り咲いたが、昨季のライプツィヒやホッフェンハイムのようなビッグサプライズは1つもなし。むしろ多かったのはネガティブな驚きを提供したチームで、ドルトムント、ハンブルガーSV、ケルンなどの名門が期待を裏切った。冬の移籍市場でピエール・エメリク・オーバメヤンがドルトムントからアーセナルに新天地を求め、白熱した得点王争いが見られなかったのも残念だった。その個人タイトルを手にしたのも大方の予想通り、バイエルンのロベルト・レヴァンドフスキ。29ゴールで2シーズンぶりの栄誉に浴した。

写真=ゲッティイメージズ
文=遠藤孝輔

■優勝:バイエルン 70点

 リーグ連覇のレコードを「6」に更新。カルロ・アンチェロッティ前監督が率いた開幕直後こそエンジンがかからなかったが、ウィリー・サニョル暫定監督を挟み、第8節のフライブルク戦から指揮を執ったユップ・ハインケス新監督の下、本来の圧倒的な強さを取り戻した。ウインターブレイクに入る時点で2位に勝点7差をつけ、最終的には21ポイント差をつける文字通りの独走。第29節終了後に前人未到の6連覇を確定させた。
 ハインケスが非凡だったのは選手のマネジメントだ。一度は監督業を引退し、4年以上に渡って“隠居生活”を送っていたにもかかわらず、持ち前のコミュニケーション能力は健在で、フランク・リベリートーマス・ミュラーアリエン・ロッベンらスターたちの人心を掌握し、一体感のあるチームを作り上げた。前任者のいわば肝煎りで入団したハメス・ロドリゲスも完全復活へと導くなど、豊富な手駒を余すところなく活用。3冠を獲得した当時と同じく、あらゆる選手にハードワークを実践させた手腕も見事だった。
 リーグ得点王に輝いた主砲ロベルト・レヴァンドフスキの存在も頼もしく、一時は3冠達成を期待させたが、チャンピオンズリーグは準決勝、DFBポカールは決勝で敗退。クラブに対する要求レベルが高かったがゆえ、採点は及第点をやや上回る「70点」とした。

■2位:シャルケ 90点

 2位でフィニッシュしたのは、あの“鬼軍曹”フェリックス・マガトが率いていた09-10シーズン以来。ベネディクト・ヘーヴェデス、クラース・ヤン・フンテラール、内田篤人と一時代を築いた功労者たちに別れを告げ、新進気鋭のドメニコ・テデスコ監督とともに新たなスタートを切ったチームは、改革初年度にほぼ非の打ち所のない成績を収めた。しかも、宿敵ドルトムントとのダービーでは1勝1分けと勝ち越し。前線からの激しいプレスが際立った守備も、効率を追求した縦志向の強い攻撃もよく機能していた。
 組織だったプレッシングがハマらなかった時は、センターバック(CB)のナウドと守護神ラルフ・フェアマンが最後の砦として頼もしい存在に。特に前者の充実ぶりは特筆に値する。打点の高いヘディングや対人戦の強さを武器に相手の侵攻を食い止めただけでなく、チーム2位の7ゴールを挙げるなど攻撃面での貢献度も高かった。シーズン真っ只中に来季からのバイエルン加入を発表したMFレオン・ゴレツカがファンの不興を買えば、マックス・マイヤーも新契約の締結を巡るトラブルで物議を醸すなど、ピッチ外では随所にシャルケらしいドタバタ劇が見られたが、ピッチへの悪影響はほとんどなし。選手と密にコミュニケーションを取りながら、チーム力を一段も二段も高めたテデスコ監督が最大の功労者だ。

■3位:ホッフェンハイム 80点

 前半戦はヨーロッパリーグ初参戦に伴う過密日程に苦しんだ。パフォーマンスレベルの低下は火を見るよりも明らかで、EL直後のリーグ戦では1勝2分け3敗。ちなみに、ブレーメンに敗れたDFBポカール2回戦の3日後に行われた一戦も落としている。ただ、同じEL参戦組のケルンやヘルタ・ベルリンのように低迷したわけではない。厳しいスケジュールの中で、智将ユリアン・ナーゲルスマンは下部組織上がりのデニス・ガイガーシュテファン・ポッシュら無名の若手も抜擢しながら、チームを巧みに操舵。生命線だったビルドアップに拘泥せず、より結果を意識したサッカーで勝点をしぶとく稼いだ。
 過密日程から解放された後半戦は、リーグ2位の39得点をマーク。点取り屋のマルク・ウート、マルチアタッカーのアンドレイ・クラマリッチ、ドリブラーのセルジュ・ニャブリがそれぞれ二桁得点を挙げ、3位躍進の原動力となった。このうち、ウートとニャブリの退団が決定(前者はシャルケに完全移籍、後者はレンタル元のバイエルンに復帰予定)。セバスティアン・ルディとニクラス・ズーレを引き抜かれた昨夏に続き、ナーゲルスマン監督は今夏も難しいチーム作りを余儀なくされそうだ。

■4位:ドルトムント 40点

 出だしは完璧に近かった。オランダ人指揮官のピーター・ボスが標榜した攻撃的なサッカーでリーグを席巻。6勝1分けとロケットスタートを切り、覇権奪回への期待を膨らませた。しかし、攻守のバランスに著しく欠けたチームは、相手のハイプレスに脆いという弱点も突かれ、第8節から8戦未勝利と大スランプに陥った。それ以上に悲惨だったのがチャンピオンズリーグでの出来。レアル・マドリードとトッテナムに計4敗しただけでなく、格下のAPOELからも勝利を収められなかったのだ。ウインターブレイクを待たずして、フロントがボスの解任(12月10日)に踏み切ったのは当然だった。
 巻き返しを託されたのはペーター・シュテーガー。理想を追い求めた前任者とは対照的に、攻守のバランスを重視した現実的なサッカーを好むこの指揮官を招聘した効果はすぐに表れ、チームは第16節から12戦無敗と息を吹き返した。その好調を支えたのが1月の加入直後から貴重なゴールを連発したFWミシー・バチュアイと、長期の負傷離脱から復帰したマルコ・ロイスだ。しかし――。第28節の“デア・クラシカー”で、またしても歯車が狂う。0-6というショッキングな大敗を喫し、完全に自信を消失。ラスト5試合で3敗を喫し、危うくチャンピオンズリーグの出場権を逃すところだった。

■5位:レヴァークーゼン 70点

 伸び盛りの若手が中心となり、躍動感あふれるサッカーを披露。最低ノルマのヨーロッパリーグ出場権を獲得した。MVP級の働きを見せたのはジャマイカ生まれの快足アタッカーで、開幕直前に20歳になったばかりのレオン・ベイリーだ。シーズン終盤に調子を落としたものの、左ウイングバックや左右のウインガーとして異彩を放ち、9ゴール・7アシストを記録した。スピードに乗ったドリブルで敵陣を幾度となく切り裂くなど、相手に与えたインパクトはその数字以上だったかもしれない。この新星の活躍に触発されるかのように、1歳年上のユリアン・ブラントもキャリアハイの9得点を叩き出した。
 主にチャンスメイクで貢献したMFカイ・ハフェルツ(18歳)を含め、若きアタッカーたちが躍動できたのは、後方を支えた中堅どころの奮闘があればこそ。ボランチと右SBを務めたラースとCBスヴェンのベンダー兄弟、ボランチのチャルレス・アランギス(いずれも29歳)に加え、26歳ながら実績はベテラン並みのGKベルント・レノらが要所を締めるプレーを連発し、若手の良き手本となっていた。ヤングタレント主体のチーム編成ゆえに、好不調の波は大きかったものの、来シーズン以降に期待を抱かせる1年になった。

■6位:ライプツィヒ 70点

 2位でフィニッシュした昨シーズンの躍進がフロックではない事実を証明した。クラブ史上初参戦となったチャンピオンズリーグではグループ3位に終わったものの、ヨーロッパリーグでは強豪ナポリや曲者ゼニトを打ち破り、堂々とベスト8に進出。持ち前のハイプレス&ハイスピードサッカーを武器に、ヨーロッパ戦線に確かな爪痕を残した。
 国内リーグでの歩みも決して悪くなかった。過密日程や主力の負傷離脱(エミル・フォルスベリマルツェル・ハルステンベルク)に苦しみながらも、第22節終了時には2位に浮上。フィニッシュだけでなく、崩しの局面でも大きな違いを作り出したエースのティモ・ヴェルナーを牽引車に、バイエルンに次ぐ第二グループの中で存在感を放った。
 減点材料を挙げるなら、格下からの取りこぼしが多かったこと。特に後半戦はフライブルク、ケルン、マインツに白星を献上し、波に乗り切れなかった。とはいえ、第27節にはバイエルンを撃破し、最終節には今季最多の6ゴールでヘルタ・ベルリンを一蹴するなど、識者をアッと言わせたゲームも少なくない。なお、ラルフ・ラングニックSDとの意見相違から、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督の今季限りでの退任が決まっている。

■7位:シュトゥットガルト 70点

 シーズン前半と後半でまったく別のチームだった。36歳のハネス・ヴォルフ監督が率いた第20節までは3-4-2-1システムをベースに、守備に重きを置くサッカーを展開。しかし、2部得点王のCF(センターフォワード)シモン・テロッデがトップリーグの壁にぶち当たった影響もあり、ディフェンスはまずまずでも攻撃のクオリティーが高まらなかった。しかも、1分け9敗とアウェイで大苦戦。14位に沈み込んだところで、フロントは監督交代に踏み切った。
 白眉だったのは、低迷打破を託されたタイフン・コルクト新監督だ。すぐさま基本システムを4-4-2に変えた指揮官は、前任者からさほど信頼を得ていなかった中堅・ベテラン(ダニエル・ギンチェクデニス・アオゴら)を重用するなど、次々と新機軸を打ち出し、チームに良い意味での刺激と勢いをもたらした。特に大きかったのが、個々の役割を明確化させたこと。攻守分業型のサッカーと言っても過言ではなく、例えば、冬の新戦力であるマリオ・ゴメスはほぼ攻撃に専念し、期待通りにゴールを量産した。
 前任者よりベテラン・中堅を重用した一方で、ティモ・バウムガルトルベンジャマン・パヴァールサンティアゴ・アスカシバルエリク・トミーら若手も使いこなしたコルクトの下で、チームは9勝3分け1敗の快進撃を披露。奇跡的なV字回復を果たした。

■8位:フランクフルト 80点

 リーグ戦の順位だけで判断すれば、60~70点が妥当かもしれない。それより高い評価をつけたのは、DFBポカールを制覇したからだ。4試合でわずか1失点と文字通りの堅牢を築き上げ、2シーズン連続となるファイナルへの進出を決めると、その大舞台でバイエルンを3-1で撃破。実に30シーズンぶり5度目となる国内カップ優勝を成し遂げたのだ。
 来シーズンからバイエルンを率いるニコ・コヴァチ監督が作り上げたのは、まさに“闘える”集団だ。テクニックやパスワークの水準は決して高くなかったが、1対1の強さやセカンドボールへの反応、選手たちの骨身を惜しまないハードワークが際立ち、質より量で相手を圧倒する試合が少なくなかった。シンプルなサイドアタックと縦志向の強い速攻もよく機能し、指揮官の同胞であるアンテ・レビッチルカ・ヨビッチが躍動。リベロの長谷部誠が統率した3バックの安定感も抜群で、守護神ルーカス・フラデツキーの存在も頼もしかった。激しい運動量を要するサッカーを展開したゆえ、シーズン終盤に息切れしたのが悔やまれるが、ポカール制覇で有終の美を飾ったのは確か。ヨーロッパリーグに臨む来季は、隣国スイスで名を揚げたオーストリア人のアドルフ・ヒュッターを新監督に迎え、新たなスタートを切る。

■9位:ボルシアMG 50点

 複数のシステムを使い分けるチームが増えた中で、ディーター・ヘッキング監督はほぼ一貫して4-4-2を採用。守護神のヤン・ゾマーや新戦力のCBマティアス・ギンターからしっかりボールを繋ぎ、アタッキングサードでは主将ラース・シュティンドルと“マエストロ”ラファエウの創造性とテクニック、連携を駆使した崩しで相手ゴールに迫った。
 この攻撃にアクセントを加えていたのが、主に左サイドハーフを務めたトルガン・アザールとボランチのデニス・ザカリアだ。後者はブンデスリーガでは初となる二桁ゴールを挙げ、後者は3列目からの機を見た飛び出しで中央突破に厚みをもたらした。ギンターに加え、CBヤニク・ヴェステルゴーアがターゲットだったセットプレーも猛威を振るい、こと攻撃に関しては昨シーズン以上によく機能していた。決定力に難があったシュティンドルが決めるべき場面で決めていれば、ゴール数はもっと増えたはずだ。
 もう一つ悔やまれるのは格上との戦いぶり。真っ向勝負を挑んだ結果、ドルトムントに6失点、バイエルンとレヴァークーゼンに5失点とディフェンスが崩壊した。アタッカー陣の守備での貢献度が高かったとも言い難く、総失点は降格したハンブルクより1少ない52。目標のヨーロッパカップ戦出場権を逃している。

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