2017.08.26

【現地記者に聞く】内田篤人の評価と移籍経緯とは?「ウニオンには手が届かない選手」

内田篤人
ウニオン・ベルリンに移籍した内田篤人。現地番記者の評価も高いようだ [写真]=City-Press GbR
ベルリンの大学でドイツ文学部を卒業後、サッカーが繋いでくれた縁によりスポーツレポーターおよび翻訳家としてドイツ国内で活動中。

 DF内田篤人は今夏、7年間在籍したシャルケに別れを告げ、ウニオン・ベルリンに移籍した。右ひざ負傷の影響でこの2シーズンを棒に振った内田が、完全復活に向けて活躍の場を求めたのはブンデスリーガ2部だった。新天地ベルリンの現地記者は、内田の移籍をどう見ているのだろうか。ドイツ誌『kicker』でウニオン・ベルリンを含むドイツ北東部担当のアンドレアス・フンツィンガー記者と、2000年から地元紙『Berliner Kurier』で同クラブの番記者を務めるマティアス・ブンクス記者に、移籍の経緯や内田の評価などを聞いた。

取材に応じてくれたフンツィンガー記者(左)とブンクス記者(右)。それぞれ自社紙を持参し、アピールを忘れなかった

■ウニオン・ベルリンが“トップクラス”の内田を獲得した理由

——ウニオンが内田選手の獲得に動いた理由はなんでしょうか?

フンツィンガー記者:ウニオンは各ポジションに2人ずつ選手を欲しいと思っていました。まずは右サイドバックの二番手の補強です。それに加えて、おそらく内田が両サイドプレーできると考えているからでしょう。両サイドのバックアップとして計算できる選手としての評価です。左サイドのDFクリスティアン・ペーダーセンはデンマーク代表で若く、評価の高い選手です。現在ブンデスリーガのクラブが獲得に動いているので、彼が移籍する可能性も考慮していると思いますね。ただ、まずはDFクリスタファー・トリンメルしかいない右サイドバックの二番手が欲しかったというのが、第一の理由です。

内田自身がシャルケで長期のケガを負って、ポジションを失っていたこともありますね。もし、万全の状態だったら、ウニオンにとってシャルケの選手は間違いなく高すぎます。彼が長期離脱から復帰したという特別な状態でなければ、この移籍は成功しなかったでしょう。内田はコンディションさえ良ければ、チャンピオンズリーグでもプレーできる選手です。ウニオンにとって、間違いなくいい補強となるでしょう。

——電撃移籍でしたが、ウニオンはすでに内田選手を前もってリストアップしていたのですか?

ブンクス記者:いや、クラブ自体は内田をチェックしていたわけではありません。イェンス・ケラー監督が内田を指揮したことがあったので、彼のことを知ったのです。そして、マネージャーの(ヘルムート・)シュールテも以前、シャルケで育成部長を務めていました。そのこともあって、シャルケのことを知っていて、内田の移籍は可能かどうか確認したようです。

内田に移籍を打診し、「プレーできるか?」と聞いたところ、彼はすぐに「プレーすることはイメージできる。ウニオンは2部でも好きなチームだし、なんとしても昇格したいという目標を持っている。僕自身も、なんとしても再びサッカーをしたい」と返答したようです。シャルケの方も年俸や移籍金など、ウニオンが支払える程度までにだいぶ歩み寄り、助けました。そうでなければ、ウニオンに内田のようなトップクラスの選手の年俸は払えませんからね。

■高い内田の評価、完全復活にも期待

内田篤人

シャルケで活躍していた内田を高く評価する両記者。それだけに完全復活への期待も高い [写真]=Bongarts/Getty Images

——ケラー監督は内田選手について何か言っていましたか?

フンツィンガー記者:加入会見はシュールテだけが同席していました。彼は内田の「サッカー選手としての能力、ボールを確実に扱い、ボールを持っても慌てずに落ち着いたプレーができること。彼が右サイドの低い位置でボールを持ったときに、ボールを落ち着けられれば、チームには大きな助けになる」というようなことを言っていました。とにかく、素晴らしい選手だと評価していましたね。

——内田選手の獲得をどう見ていますか?

ブンクス記者:名前だけを見れば絶対的な補強です。ただ、彼が本当に身体的にフィットしていれば、の話です。彼本来の能力ならば、2部の上位チームでも手が届かない選手です。ウニオンは「今シーズンなんとしても昇格するぞ」というシグナルを出そうとしているので、今回は12カ月契約というリスキーなものにもかかわらず、獲得を決めたんです。彼がもしフィットしなければ、12カ月間はトライ・アンド・エラー、いいチャレンジだったと言えますが、それ以上でもありません。しかし、本来の力を取り戻せるようであれば、シーズンの終了までに内田自身もクラブも今後の契約について考えなければならなくなるでしょう。彼がフィットすれば、明らかに優れた補強になります。チームは「昇格するためなら何でもする」というシグナルを出すことには成功したと言えるでしょう。

フンツィンガー記者:同感ですね。彼がシャルケ時代のフォームを取り戻せれば、右サイドでも左サイドでも、大きな補強になるでしょう。この2年間、彼はリーグ戦から遠ざかっています。トレーニングや練習試合ではプレーしていますが、彼は18歳ではなく、すでに29歳の選手です。まずは、様子を見てみなければなりません。評価はもう少し待つべきですね。彼のコンディションがしっかりと上がってきて、本来の能力を発揮できるようなら、ウニオンは間違いなく良くなるでしょう。日本代表で実績を積んで、シャルケで主力として活躍していた選手ですからね。通常なら、ウニオンには手が届かないワンランク上の選手です。

ーー内田のデビューについて

ブンクス記者:彼のコンディションは十分にフィットしているか、という私の質問に彼は「JA(はい)」と言っていましたよ。彼はシャルケでプレシーズンのトレーニングや試合も全て参加できていました。本人は「日曜(27日)の試合に出られればベストだ」と言っていましたが、メンバー入りこそすれ、実際に出るかどうかは難しいところですね。ケラー監督が獲得してすぐの選手を使うとは考えづらい。代表ウィークの休暇を使ってからの起用のほうが現実的でしょう。まずはベンチに座って、他のチームメイトのことをしっかりと理解することのほうが意義はあるでしょう。

フンツィンガー記者:我々のドイツ語の「メンバー入りする準備はできているか」という問いに「JA(はい)」と即答していましたよ。

ブンクス記者:彼は礼儀正しく、正確に日本語で答えるために通訳を用意していましたが、ドイツ語の質問も理解して「JA」と答えていましたね。内田は、今日(23日)すぐにトレーニングしました。今日は右サイドバックで使われていましたが、「左サイドでも行けるのか?」と聞かれると左でもプレーできると答えていましたよ。その意味では、ドイツなら、(元ドイツ代表DF)フィリップ・ラームと比べても良いでしょう。

取材・翻訳=鈴木達朗

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