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これを読めばすべてわかる! ブンデスリーガ 16-17シーズン「全クラブ通信簿」(10位~18位編)

2017.06.08

16-17シーズンのブンデスリーガを総括 [写真]=Getty Images

 バイエルンが3試合を残して5連覇を成し遂げた。勝ち点や総得点など様々なレコードを塗り替えた過去4シーズンとは異なり、連続優勝記録を除けば、新たに打ち立てた金字塔は一つもない。それでも2位に勝ち点15差をつける文句なしの圧勝だ。ブンデスリーガの比類なき盟主は、ドイツの国内外に改めて“一強支配”を印象づけた。

 自動降格したチームも大方の予想どおり。どちらも昨シーズンの昇格組であるインゴルシュタットとダルムシュタットがトップリーグに別れを告げた。その両雄との入れ替わりで、来季は名門シュトゥットガルトとハノーファーが1部の舞台に戻ってくる。

 波乱含みだったのは欧州カップ戦の出場権争いだ。トップリーグ初挑戦のライプツィヒと、前シーズンの残留争いに巻き込まれたホッフェンハイムが、見事にチャンピオンズリーグ出場権を獲得。また、ケルンとフライブルクがヨーロッパリーグ行きの切符を勝ち取るなど、意外なクラブが上位に並ぶ形になった。

 背景にあるのは有力クラブの低迷だ。レヴァークーゼンやシャルケが期待を大きく裏切り、ヴォルフスブルクに至っては2部3位とのプレーオフの末に辛うじて残留を決める失態を演じた。また、ドルトムントもノルマのチャンピオンズリーグ出場権を手に入れたとはいえ、スッキリしないシーズンを過ごしたクラブとして挙げられるだろう。


■10位:シャルケ(40点)
 トップ4に返り咲くどころか、ヨーロッパリーグ出場権争いにも絡めない体たらく。大きな期待を寄せられたマルクス・ヴァインツィール監督、マネージャーのクリスティアン・ハイデルは批判を免れないだろう。中長期的な視点に立ち、指揮官交代には踏み切らなかったが、肝心の未来に向けた収穫が多かったかと言えば決してそうではない。
 ハイデルが認めるように、チームには明確な戦術コンセプトがなかった。手数をかけないカウンターもポゼッションによる揺さぶりも冴えていたわけではなく、最後の30メートルで頼りになったのは個の力。ギド・ブルグシュタラ―の決定力、ナビル・ベンタレブのラストパス、レオン・ゴレツカのミドル、セアド・コラシナツのオーバーラップが光る一方で、連動性のある崩しはほとんど見られなかった。
 守備も秩序を欠くシーンが散見された。ボールをどこで奪うのかが曖昧で、マークの受け渡しなどもスムーズではなかった。守護神ラルフ・フェアマンやDFナウドらの奮闘がなければ、失点はもっと増えていたはずだ。攻守に課題が山積みのチームをどう立て直すのか。ビッグクラブ挑戦1年目を終えたヴァインツィールと、ハイデルの手腕が問われる。


■11位:フランクフルト(65点)
 第19節終了時点で3位につける躍進を演じたが、まさかの大失速(後半戦の成績は最下位)で順位を大きく下げてしまった。それでもDFBポカールでファイナルまで勝ち進むなど、ポジティブな印象を残したのは確か。開幕前時点で残留をノルマに掲げていた事実を考えれば、及第点以上の評価はつけられる。
 ニコ・コヴァチ監督が新たに導入した3ー4ー1ー2システムがハマり、確かな組織力が芽生えたチームに唯一欠けていたのは優秀な点取り屋だ。チームのトップスコアラーは攻撃的MFのマルコ・ファビアン(7ゴール)で、アレクサンダー・マイアー、ハリス・セフェロヴィッチ、ブラニミール・フルゴタらストライカー陣は軒並み期待を裏切った。
 一方で、守備は水準以上のクオリティーを示した。リベロとして守備陣を統率した長谷部誠、対人戦で強さを見せたヘスス・バジェホ、高い危機察知能力が光ったオマル・マスカレルとそれぞれが持ち味を発揮。GKルーカス・フラデツキーも好セーブを連発した。ケガで戦線離脱を強いられた長谷部やバジェホがフル稼働していれば、失点数はもっと減っていたはずだ。


■12位:レヴァークーゼン(20点)
 最も期待を裏切ったチームだ。昨夏の移籍マーケットで戦力値を高め、開幕前にはヘルタのパル・ダルダイ監督から「優勝候補の一角」と警戒された。しかし、他クラブがうらやむポテンシャルを最後まで示せないまま、過去10シーズンで最悪の成績に終わった。
 開幕直後から誤算の連続だった。快足を生かしたチェイシングでプレッシング戦術を支えていたカリム・ベララビが長期離脱、期待の新戦力だったFWケビン・フォラントもなかなかチームに馴染まなかった。頼みのハビエル・エルナンデスは継続性を欠き、好調だったハカン・チャルハノールは過去の移籍案件を巡る違反の発覚で2月から長期の出場停止。生命線のハイプレスがハマらず、第23節終了後にはついにロジャー・シュミット監督が解任された。さらに、2部でもさしたる実績を残せていなかったタイフン・コルクトを新監督に指名した人事も不発。新体制下で2勝4分け5敗と成績はむしろ悪化の一途をたどった。
 来季は新たな監督の下でゼロからの再出発となる。新監督候補にはトゥヘル、マルティン・シュミット(前マインツ)、デイヴィッド・ワグナー(ハダースフィールド)らの名前が報じられている。


■13位:アウクスブルク(60点)
 近年の躍進を支えたヴァインツィール監督がシャルケに去り、チームの弱体化が懸念されたが、最終節に唯一にして最大の目標だった残留を達成。スモールクラブらしい守備重視の割り切ったサッカーでしぶとく勝ち点を稼ぎ、1部生き残りを果たした。
 チームの重心を低い位置に設定して相手の攻撃をはじき返し、攻めに転じた際はロングボールやアーリークロスを多用。テクニックよりフィジカルに特徴をもった選手をピッチに並べる“筋肉質な”サッカーを展開した。ジョナタン・シュミッドや宇佐美貴史ら技巧派が精彩を欠いたのは、そのスタイルに順応しきれなかったからだ。
 お世辞にも第三者を魅了したとは言い難いが、ラウール・ボバディージャやアルフレッド・フィンボガソン、カイウビら昨シーズンまでの主力がケガでフル稼働しなかったにもかかわらず、降格を免れた健闘は称えられてしかるべき。シーズン途中の就任ながら、チームをしっかり束ね上げたマヌエル・バウム監督こそ最大の功労者だろう。


■14位:ハンブルガーSV(40点)
 ブンデスリーガ創設から一度も2部降格を経験していないという伝統は守った。第6節からチームを率いたマルクス・ギスドル監督の要求に応えようと、ハードワークに精を出した選手たちの頑張りは観る者の胸を打った。とはいえ、開幕前に見据えていたのは残留ではなく上位進出。期待を裏切ったシーズンと総括せざるを得ない。
 語弊を恐れずに言えば、サッカー自体のクオリティーは低かった。ビルドアップの段階からミスが散見され、攻撃が機能するかどうかは好不調の波が激しい2列目のアタッカー次第。せっかく得点チャンスを作り出しても、ボビー・ウッドがフィニッシャーとして力不足を露呈し、思うようにネットを揺らせなかった。降格したインゴルシュタットよりゴール数が少なかったのも決して偶然ではない。
 酒井高徳が腕章を託されたように、ギスドル監督は“闘える選手”を重宝。質より量での貢献を求める方針をはっきりと示し、就任時に最下位に沈んでいたチームを残留へと導いた。来シーズンもスタイルを踏襲するかはともかく、今夏の移籍市場では前述のウッドに取って代わるストライカー、そしてブラジル代表歴を持つワラシがフィットしなかったボランチの即戦力確保が求められる。


■15位:マインツ(45点)
 昨夏にMFユリアン・バウムガルトリンガーとGKロリス・カリウスという二枚看板を失ったチームは、戦前の予想どおり残留争いに巻き込まれた。両雄が抜けた特大の穴を埋めきれなかった事実は、昨シーズン比で13も増えた失点数に表れている。
 ヘルタやフライブルクより多い44ゴールを記録した攻撃に関しても、決して強みになっていたわけではない。シーズン前半に大きな違いを作り出していたユヌス・マリが冬の移籍市場でヴォルフスブルクへ移籍すると、チームの得点力はガクッと下がった。期待以上のパフォーマンスを披露したのは、カウンター発動時に縦への推進力を示したウイングのレビン・エズトゥナリくらいだろう。
 そのエズトゥナリを除き、新戦力が軒並みパッとしなかったのも敗因だ。鳴り物入りで1月に加入したボージャン・クルキッチは適応が遅れ、ヨナス・レッスルはカリウスの、ジャン・ピエール・グバミンはバウムガルトリンガーの後継者として物足りなかった。
 マルティン・シュミット監督の退任が決まり、来シーズンはサンドロ・シュバルツ新監督の下で新たなスタートを切る。監督就任会見で「ユルゲン・クロップやトゥヘルから影響を受けている」と口にした38歳がどんなサッカーを見せるのかに注目だ。


■16位:ヴォルフスブルク(25点)
 昨季のチャンピオンズリーグ準々決勝でレアル・マドリードを敗退間際まで追い詰めたチームが、約1年後に2部3位とプレーオフを戦う醜態を晒すなど、誰も想像できなかったはずだ。各セクションに代表クラスの実力者を抱えながら、その豊富なタレント力を引き出す組織を構築できなかったのが低迷の理由だ。
 フロントが犯した大きな失策は二つ。一つは移籍志願していたユリアン・ドラクスラーを昨夏中に手放さなかったことだ。モチベーションを失った攻撃的MFのパフォーマンスは一向に上がらず、むしろグループの和を乱す不満分子になっていた印象が否めない。そして、もう一つはディーター・ヘッキング監督の後任にヴァレリアン・イスマエルを指名したこと。ブレーメン時代から縁のあるクラウス・アロフスSDの“身贔屓”でセカンドチームから昇格したが、案の定、チームに明確な方向性や戦い方を浸透させられなかった。
 シーズン終盤に突如として覚醒したマリオ・ゴメスが、怒涛のゴールラッシュを披露していなければ、トップリーグに別れを告げていてもおかしくなかった。


■17位:インゴルシュタット(40点)
 2部降格が決まったものの、後味の悪さは残さなかった。第11節から指揮を執ったマイク・ヴァルプルギス監督は、コンパクトでソリッドな組織を構築し、それなりの競争力を備えたチームを作り上げた。実際、後半戦の成績はヘルタやレヴァークーゼンより優秀だった。勝ち点2しか稼げなかった開幕10試合の不出来がとにかく悔やまれる。
 統計サイト『Whoscored.com』によれば、インゴルシュタットの1試合平均シュート数は13.4本。これはバイエルン、ドルトムント、ホッフェンハイムに次ぐリーグ4位の成績だ。この数字が示すとおり、ボールをゴール前まで運ぶ能力は高かったが、ハンブルク同様に決定力不足に泣かされた。FW登録の選手が決めたゴール総数は総得点の3分の1にも満たなかった。
 この課題さえ克服できれば、1年でのトップリーグ復帰は十分に果たせるはず。チャンスメーカーとして機能したMFパスカル・グロス、FWマシュー・レッキーの退団こそ決まったが、その他の主力が残留すれば継続的な発展が期待できる。


■18位:ダルムシュタット(30点)
 超が付くほどの守備的なサッカーは昨シーズンと同様。ウインターブレイク中に就任したトルステン・フリンクス新監督の指導で攻撃意識はやや強まったが、ボール支配にこだわらない受け身の姿勢は変わらず、2試合を残しての降格が決まった。
 フリンクス、そして前監督のノルベルト・マイアーにとって頭痛の種だったのがアウェイゲームでの戦績の悪さ。サポーターの後押しがない敵地では守備の踏ん張りが利かず、相手の勢いに何度となく飲み込まれた。ドルトムントやシャルケから金星を挙げたホームでの健闘が嘘のように、アウェーでは1勝1分け15敗と散々たる成績だった。
 最後の砦として存在感を示したGKミヒャエル・エッサーを除けば、全体的に個のクオリティー不足も感じさせた。中でもストライカー陣は1部のレベルに達していなかったと言える。実績に乏しいアントニオ・チョラクやフェリックス・プラッテら若手はともかく、トップリーグでの経験が豊富なスベン・シップロックの不振は痛かった。

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