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「エゴイストにならないといけない」…武藤嘉紀が手にした成長と課題

2017.06.01

武藤嘉紀が渡独2シーズン目を終え、様々な思いを語った

 武藤嘉紀にとって2016-17シーズンは戦いの連続だった。予期せぬ膝の怪我、欧州屈指の強豪、ポジションを争うライバルたち…。多くの壁が行く手を阻み、試練の海外挑戦2年目を終えた。

 それでも、武藤は“次”への課題を見出した。これまでのスタイルから脱却し「エゴイストにならないといけない」と語る理由とは。さらに、復帰を支えた家族、日本代表への思い、そして、新たな武器「NEMEZIZ」について心の内を語ってくれた。

取材協力・写真=アディダスジャパン

ミスを恐れず思い通りのプレーを…ブンデス2年目はメンタルの成長を実感

――今季でマインツに加入して2シーズン目となりました。自身の変化や成長したと感じることは何ですか?

自分で成長したなと思うのは、メンタル面です。色々な考え方を持てるようになった。特にケガをしてコンディションが上がらないときに、「何をやっても自信がない」というプレーをしてしまったり、思い通りのプレーを出せないことがこれまでは多かったんです。そういった中で、ある日突然、「自分のプレーに迷いがあったり、怖さを感じる方が勿体ない」と。「チャンスをもらっている以上、ミスを恐れてプレーするより、ミスをしても自分が思ったプレーを出せた方がプラスになる」と思って。自分が表現したい事を全面に出せるように意識して、コンディションもどんどん上がってきました。

――復調のターニングポイントとなった試合は?

ライプツィヒとの試合(2017年4月5日 第27節)です。その試合は負けたんですけど、0-2で負けている場面で自分は途中から出場しました。そのときは定まったポジションを得られていなかったので、「とにかく出たら必ず点を獲ってやる」と。「誰が何と言おうと、『自分がゴールする』『自分が思い通りにプレーする』」と。その試合でコーナーキックからゴールを決めて、それ以外にも入った直後から良いプレーがあって。「自分が点を獲る」っていう気持ちを全面に出すことができて、そこから先発で試合に出られるようになりました。

――メンタル面が強くなった反面、課題を感じることはありましたか?

ゴール前で落ち着いてプレーすることです。日本人はキーパーとの1対1で緊張してしまう。バタついてしまうということが自分自身もありますし、そういった選手が多いと思います。外国人選手はそういった場面を楽しんでいるんですよね。キーパーとの駆け引きを楽しめる選手になりたいと思いますね。

「来たな!」と感じたフィット感…来季は「NEMEZIZ」とともにゴール量産へ

――これまでアディダスのスパイク「エース」のミッドカットを履いていましたが、今回の「NEMEZIZ」はどこが優れていると感じますか?

やっぱりフィット感ですかね。エースよりも自分の足を包んでくれる感覚がある。あとは、アジリティの動き。中ズレがないので、自分の思い通りの動きができるスパイクだと思います。

――アディダスはこのスパイクの顔は武藤選手だと思ってました。来シーズンはこのスパイクとどう戦っていきたいですか?

本当に自分に合ったスパイクってそんなにないんですけど、NEMEZIZに関しては「来たな!」と。自分のプレーにも合ってるし、自分の足にも合っている。自分の良さが最大限引き出されるスパイクだと実感しているので、今までの自分よりさらにゴールだったり結果を見せたいと思いますね。

――来シーズンこだわるのは、やはりゴールでしょうか?

そうですね。やっぱりフォワードである以上、ゴールの数というのが評価材料になるので、このスパイクで得点を量産できれば良いと思います。

強さの理由は的確な判断力…ドイツ王者は「味方に媚びを売らない」

――リーグではバイエルンとも対戦します。ドイツ王者と対戦して感じたことは何ですか?

一人ひとりがミスをしないですよね。簡単なミスがない。そして、的確な判断ができる。2つの選択肢があったら必ず良い方を彼らは選べる。だからこそボールも獲れないですし、ほとんどの時間ボールを保持されちゃうんじゃないかと思います。あとは、一人ひとりに自信がある。誰も自分の味方の選手に媚びを売ったりしないですし、自分が思ったことを発言するし、それをプレーで示している。ピッチ内外で仲良いかって言ったら、多分、仲悪いんですよ。けど、それが本当に強い集団なんだなって思います。

――海外の選手は個々の自我の強さが凄いですよね。

凄いですね。外国人選手はそこが違いますね。僕がPKを獲得しても奪いにきますからね。チーム内でキッカーが決まっているということもありますけど、今シーズンは2回PKを獲得して2回とも他の選手に蹴られてしまってますし。そこでチームの規律を乱してでも自分で蹴る。日本人は規律に従ってしまうことがあると思います。そこが良いところでもあるけど、逆に悪いところもでもあると自分は思っています。他人が獲ったPKでも自分が蹴るという意志だったり、外国人選手はそういう結果が評価されるということを分かっているからこそ奪いに来るわけで。「自分もエゴイストにならないといけないのかな」と思います。

――ブンデスリーガで2シーズンプレーして、最も衝撃を受けた選手は誰ですか?

1シーズン目から衝撃を受けたのは、バイエルンのチアゴ・アルカンタラです。まず、自分は大体後ろからボールを奪いにいくんですよ。そこで「獲れる!」と思ったら普通は獲れるんですけど、チアゴ・アルカンタラに関しては、後ろに目が付いているんじゃないかと思うくらい逆を突かれるんですよね。「獲れた!」と思ったところをチアゴに関してはかわされる。あとは、ドリブルの質、パスの質、全部に衝撃を受けましたね。

――6月3日にはUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦が開催されます。武藤選手はユヴェントスとレアル・マドリード、どちらが勝つと思いますか?

難しいなぁ…。非常に難しいです。もしかしたらユヴェントスじゃないかと思いますね。

――その理由は?

守備の堅さと安定感。やっぱり、あれだけ守備が堅いとレアルの攻撃陣はイライラしてくると思いますし、そういった中でユヴェントスは守備が強いだけじゃなくて攻撃力もすごいので。1点を先に獲ってしまったらユヴェントスに分があるんじゃないかと思いますね。

復帰の道のりを支えた家族の存在…結果を残し続けて代表定着を目指す

――今季前半戦の右膝の負傷は想定外のアクシデントだったと思います。長いリハビリ中、重点的に取り組んだことはありますか?

筋トレだったり、復帰した後の自分にプラスになると思ったことは全てやりましたね。

――復帰を果たしたケルン戦(2017年1月22日 第17節)は不安の方が大きかったですか?

不安の方が大きかったです。やっぱり何度も怪我をしているので、不安というのが大きかったですね。

――不安が払拭されるまで、どれくらいかかりましたか?

分からないですけど、大分かかりましたね。完璧に痛みが取れていなかったので。自分が思うようなプレーができるようになってから、徐々に不安や痛みもなくなってきたかな。気が付いたらなくなっていた感じですね。

――昨年は第一子が誕生しましたが、家族のサポートの影響は大きい?

直接プレーにつながるかは分からないですけど、食事の面や自分が怪我したときに支えてくれたのは家族でした。「もし自分が1人だったら立ち直れなかった」と思うことは多々ありました。

――来年はロシア・ワールドカップが開催されます。日本代表に定着するために目標にしていることはありますか?

代表に定着するためには、まず海外で結果を残し続けること。かつ、代表に呼ばれたときに結果を出さないと。呼ばれただけじゃ、引き続き呼ばれることはないと思うので。代表で結果を出すこと。その2つが大事かなと思います。

――最後に海外挑戦するか悩んでいる人へ、その素晴らしさと成長できるポイントを教えてください。

見たことない景色が見られること。自分が感じたことがない世界を見られること。それは日本では絶対味わえないことだと思いますし、上手くいかないことの方が多いと思うんですよ。海外に行って全てが上手く選手なんていないと思いますし、嫌なこと、チームメイトから罵倒されることも多々あるので。でも、そういった逆境を感じられるのも海外の良さ。それを乗り越えたときにメンタル面においても、一サッカー選手としても成長できていると思うので。悩んでいる人がいるなら、絶対に海外に挑戦してほしいと思います。

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