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バス爆破事件後にCEOと溝? 加熱するドルト監督問題…選手から匿名で不満も

2017.05.09

ドルトムントのヴァツケCEO(左)とトゥヘル監督(右) [写真]=Borussia Dortmund/Getty Images

 最近のドルトムントでは、トーマス・トゥヘル監督に関する問題がさらにヒートアップしてきているという。ドイツ誌『kicker』日本語版が報じている。

 6日に行われたブンデスリーガ第32節のホッフェンハイム戦後には、ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOがトーマス・トゥヘル監督との「意見の相違」について認めており、さらにラインハルト・ラウバル会長は同CEOを支持。また匿名ながら、選手からの監督に対する不満の声が噴き出しているようだ。

 来シーズンも引き続き、トゥヘル監督が同チームの指揮官を務めるかどうかに注目が集まっているが、その決断はシーズン終了後に行われる見込み。ヴァツケCEOは「いつも通りに分析を行うことになるし、基本的には戦術面やコミュニケーション、信頼といった様々なテーマについて話し合うよ」とコメントするにとどまった。しかしここ数日の動きをみると、そのような流れにはならない可能性も出てきている。

 4カ月前から同CEOとトゥヘル監督との間には、ギクシャクした関係があったようだ。さらに、チャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグのモナコ戦の試合開始前にチームバスが爆発物によって襲われながら、翌日開催となったことについても意見の食い違いが発生。開催の意義を主張したヴァツケCEOとは異なり、トゥヘル監督はむしろ批判を述べ、「無力さ」を感じると発言していた。

 この件について、ホッフェンハイム戦の開始前にヴァツケCEOは「意見の相違があった」ことを正式に認めた。決断にあたっては「3つの選択肢しか残されていなかった。すぐに試合を行うか、試合を放棄し0-3という結果にして次の試合を行うか、それとも大会を辞退するのか」と説明しており、さらに「そして後者2つの選択肢についても熟慮したのだが、一人だけでそれを決断するにはあまりにも大きな問題だから。でも後者を希望する声はどこからも聞かれなかった、もちろんその翌日にもね」と明かしている。

「朝のミーティングで、選手それぞれが出場について決断してもいい、とも話した。そこではプレーできないという話は出なかったし、午後にだって言うことはできただろう」。

「当然それは監督自身でも判断できたはずさ。そこに疑問などない。しかしそういったことは、一度もなかったんだ」と、「無力感」を訴えたトゥヘル監督の発言に対する反論を展開した。

 一方のトゥヘル監督は、この件について質問を受けると「こんなに大切な日の、非常に大切なテーマだよね」と皮肉まじりに返答。自身の正当性についてあえて訴えるようなことはしなかったが、同監督の代理人は「我々の希望はドルトムントに残ること。そして状況の沈静化を図ることです。これによりトーマスがダメージを受けないことが大切。彼は物事を非常にはっきりというタイプですが、“意見の相違”をうまく解決したいと思います」と話した。

 しかしホッフェンハイム戦の翌日には、ラウバル会長がヴァツケCEOの「全面支持」を表明。「彼はいかなる困難な時でも数年にわたり、自分のことではなくクラブ第一で取り組んでくれた人物。彼に対して信頼を抱くべきだ」との考えを見せている。

 それに加え、匿名ながら、南ドイツ新聞はドルトムントの選手が「たとえ称賛を受けても、次節のベンチ外も覚悟しておかなくてはならない」と語ったことを伝えている。さらに「1試合のうちに何度もシステムを変えたり、45分の間に2度も戦術を変えたり、普通はそんなことはありえないよ」との発言も掲載。チーム内に生じる不協和音が不安視されている。

By kicker日本語版

ドイツ最大のサッカー専門誌『kicker』日本語版

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