盤石バイエルンが新たな武器を手に…95億円投資した育成施設を新設へ

育成施設の説明をするホプフナー会長 [写真]=Bongarts/Getty Images

 ブンデスリーガ2015-16シーズンで開幕9連勝を達成し、リーグ新記録を樹立したバイエルン。しかし彼らの野望はとどまるところを知らない。

 ドイツ紙『ビルト』など複数メディアが報じたところによると、バイエルンは下部組織の強化プロジェクトをスタート。本拠地アリアンツ・アレーナの西側、インゴルシュテッター通りにある30ヘクタールの土地に、7000万ユーロ(約95億円)ものコストをかけて育成センターを作り上げていくという。

 そして16日午前11時、その土地に1つ目の基礎部分が埋め込まれ、着工式が盛大に行われた。そこには同クラブの首脳陣をはじめ、脱税の罪で会長職を辞任し刑務所での生活を終えた後、現在育成部門のスタッフとして働いているウリ・ヘーネス氏(※ミュンヘンの地元紙『TZ』は「育成部門の実質的トップはヘーネス氏」としている)や、バイエルンファンを公言するミュンヘン市のディーター・ライター市長も出席。同市長は「ミュンヘンとFCバイエルンにとって素晴らしい1日だ」と、建設スタートにご満悦の様子だった。

 バイエルンの最高権力者であり、このプロジェクトの責任者でもあるカール・ホプフナー会長は今回の件について、こう話している。

「我々の望みは、世界基準でトップになることだ。ここでユースの選手にとってベストの環境を用意していく。もちろんサッカー面だけではなく、人間的にも成熟した選手を育てていきたい」

 東京ドーム6.4個分にあたるこの広大な土地には、ユース年代がホームゲームを行う際に使う2500人収容可能の屋根付き天然芝スタジアムをはじめ、サッカーグラウンドが計7面、クラブハウス、ファンショップ、U-9からU-19まで育成選手の寄宿舎、陸上トラック、屋外バスケットボールコート、ビーチサッカー場、ミニサッカーコート2面など、ありとあらゆるものが揃えられるそうだ。

 欧州でも指折りの下部組織といえば、やはりFCバルセロナの“ラ・マシア”が挙げられるが、くしくも現在バイエルンの指揮官を務めているジョゼップ・グアルディオラ監督は、そこで育った1人。育成の重要性をよく知る同監督も「下部組織の施設が強化されるというのは、このクラブにとって最高のニュースだ。若手への投資は、世界トップクラスの選手を2人獲得するよりもはるかに意味のあることだからね」と、この巨額投資に太鼓判を押している。

 現在バイエルンに所属している選手ではフィリップ・ラーム、トーマス・ミュラー、ホルガー・バトシュトゥバー、ダヴィド・アラバなどが、そしてすでにチームを離れた選手ではバスティアン・シュヴァインシュタイガー、トニ・クロースなど、同クラブの育成部はこれまでにも優れた選手を輩出してきた。2017-18シーズン開幕とともにオープン予定であるこの巨大育成センターからは、今後さらに多くのスター選手が誕生することになるだろう。

文=鈴木智貴

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