番記者歴20年の現地記者が分析、香川が新監督の信頼を勝ち取った理由

香川真司

香川(右)は開幕から2戦連続で先発起用された [写真]=Bongarts/Getty Images

「監督はシンジと会った瞬間から特別なものを感じていた」

 ドイツ誌『キッカー』の番記者として20年以上ドルトムントを追い続けるトーマス・ヘンネッケ氏は、日本代表MF香川真司が開幕戦からスタメンに抜擢された理由をこう分析した。

 プレシーズンに熾烈なレギュラー争いを予想しながらも、「シンジのようなグッドプレーヤーであれば、どの監督の下でも上手くやれるはず。(トーマス)トゥヘルの下でシンジが大きな役割を担うようになると確信している」と語っていた、ヘンネッケ氏の“予言”がまさに的中した。

 今シーズン、香川はスタートダッシュに成功。15日のブンデスリーガ開幕戦でドイツ代表MFマルコ・ロイスのゴールをアシストすると、20日に行われたヨーロッパリーグ予選プレーオフ・ファーストレグのオッド戦では1ゴール1アシストの活躍を見せた。そして23日のブンデス第2節インゴルシュタット戦では、待望の今季リーグ戦初ゴールを記録。相手DFの股を抜く技ありシュートだった。

 ドイツの地元紙『Westdeutsche Allgemeine』が「シンジがピッチ上に魔法をかけた」とインゴルシュタット戦での活躍を絶賛すると、『キッカー』誌は第2節のベストイレブンに選出した。

 リーグ連覇を達成した2010-11、2011-12シーズンもドルトムントに密着していたヘンネッケ氏は、「今シーズン、シンジが良いスタートを切ったのは間違いないね。彼は試合ごとに改善している。同時に、彼がドルトムントを去った2012年までに見せてくれたプレーができているね」と香川の復調を手放しで喜んだ。

「運動量が豊富で、見事なパスを出し、シュートもうまい。まだ伸びしろがあるし、再びブンデスリーガのスターになるだけのポテンシャルがある」と本来の能力を認めていた同氏。その能力を取り戻したことが、今シーズンから指揮を執るトゥヘル監督の信頼を勝ち得た要因だと語る。

「トゥヘルはシンジと会った瞬間から彼に特別なものを感じていた。トゥヘルは、シンジのテクニック、動き、戦術的な規律を高く評価しているんだ。加えて、シンジの得点能力とチャンス演出能力が戻ってきている。それこそ、彼がとても重要な選手である理由だよ」

 チームもまた、好循環に入っている。ボルシアMGとの開幕戦を4-0で制し、反撃の狼煙を上げると、続くインゴルシュタット戦は4-0で快勝して首位に立った。トゥヘル監督の下で見事に返り咲いた香川が、チームの好調を支えているのは間違いない。ドルトムントは、27日にEL予選プレーオフ・セカンドレグのオッド戦、30日にはヘルタ・ベルリン戦を迎える。過密日程が続く中でも結果を残せるか。完全復活に向けて、香川の真価が試される。

モバイルバージョンを終了