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【ユーロ制覇の条件】ベルギー代表&ポルトガル代表:ユーロ初制覇へ今大会が最大のチャンス

2016.06.13

ユーロ初優勝を目指すベルギー代表(上)とポルトガル代表(下)[写真]=Getty Images

 24カ国によって行われるEURO2016で注目される優勝争い。大会2連覇中のスペイン、ブラジル・ワールドカップ優勝のドイツ、4大会ぶりの欧州制覇を目指す開催国フランス、堅守を誇るイタリアなど、過去に優勝経験のある国に加えて、豊富なタレントが揃い躍進著しいベルギー、エースのFWクリスティアーノ・ロナウドを擁し、多くの若手が台頭しているポルトガルを優勝候補にあげる声も少なくない。

 特にベルギーはブラジルW杯でベスト8に進出し、ここ数年の成績から一時はFIFAランキングの1位に輝くなど注目度が増している。要因は選手育成が実り、タレント力がかつてないほど充実してきたこと。そして個性的なタレントを元ベルギー代表キャプテンでもあるマルク・ヴィルモッツ監督が戦う集団にまとめあげたことだ。不安要素はこうした大会での優勝経験が無いこと、精神的な支柱でもあったDFリーダーのヴァンサン・コンパニが負傷で欠場となったことだ。

 そのコンパニの代役として期待されたニコラス・ロンバーツも直前の負傷で選外となり、バルセロナで出場機会が少なかったトーマス・ヴェルマーレンと20歳のジェイソン・デナイヤーが慣れないセンターバックコンビを組むのか、代表チームでは主に右サイドバックで起用されるトビー・アルデルヴァイレルトをセンターバックに回すのか、ヴィルモッツ監督としても悩みどころだ。ただ、ベルギーは左サイドバックのヤン・ヴェルトンゲンも含め“4枚の壁”と形容できるほどDFラインの守備力は高く、強度は十分に維持されている。ポイントは90分を通して安定感を維持できるかどうかだ。

 逆の意味でヴィルモッツ監督が頭を悩ませるのが豪華な攻撃陣だ。中盤はアクセル・ヴィツェル、ラジャ・ナインゴラン、ケヴィン・デ・ブライネという技術、強度、機動力をハイレベルに兼ね備えたトライアングルがレギュラーのセットとなるが、マルアン・フェライニとムサ・デンベレも十分にスタメンを担える実力者だ。大会が進むと最も体力が厳しくなるポジションだけに、勝ち進めば彼らがスタメンで起用される試合が出てくる可能性はかなり高い。

International Friendly - "Belgium v Norway"

 3トップはエースのアザールが左、中央に屈強なFWロメル・ルカク、右にアトレティコ・マドリードで大ブレイクしたヤニック・フェレイラ・カラスコが並ぶ。エデン・アザールには攻撃の中心としての働きに期待がかかるが、コンパニの代わりに託されたキャプテンの重圧を背負い過ぎるとパフォーマンスに影響してしまう危険があるため、周囲のサポートも重要になってきそうだ。個人で違いを生み出せる選手が揃うが、グループリーグからイタリア、アイルランド、スウェーデンと守備の堅い相手が続く中で、ボールを持っていない選手の動き出しの質も求められる。

 もっとも、ベルギーは彼ら3人の他にもクリスティアン・ベンテケ、ディヴォック・オリジ、ミヒー・バチュアイ、ドリース・メルテンスといったビッグクラブ所属のタレントが揃う。出場チャンスを得れば主役に躍り出る資質を持つ選手たちをヴィルモッツ監督がどう使っていくのか。闘将の勝負所の見極めも重要になって来る。短期決戦なので、結果を出した選手をそのまま出し続ける選択も有効だが、チームのマネジメントを含めたベンチワークはベルギーが躍進するための肝になる部分だろう。

 ポルトガルの優勝は大エースのクリスティアーノ・ロナウドに全てかかっていると言っても過言ではない。ベスト4まで勝ち進んだ前回は組み立てから仕掛け、フィニッシュの全てに絡み、時に献身的な守備も見せる大車輪の働きを見せながら3得点を記録した。それから4年が経ち31歳となった現在、卓越した得点感覚は健在ながら、運動量や体力の回復力には限界がある。フェルナンド・サントス監督もそうした事情を理解してか、ロナウドをなるべく前線に張らせて、なるべくフィニッシュワークに専念させようとしている。

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 そのロナウドに点を取らせるためには周囲の選手がしっかりチャンスメークできないとチームが機能せず、結局はロナウドが多大な負担を強いられることになる。4−3−3を採用した場合は右にナニ、中央にロナウド、左にリカルド・クアレスマと経験豊富な3人が並び、中盤から司令塔のジョアン・モウチーニョ、攻守の要を担う24歳のウィリアム・カルバーリョ、機動力の高い23歳のジョアン・マリオが支える構成となる。また22歳の強烈なミドルシュートを備える長身MFアンドレ・ゴメスも調子を上げており、スタメン出場もあるかもしれない。

ポルトガルは主力の平均年齢が高いがベンチには23歳の俊英ラファ・シウバ、運動量が抜群の左サイドバックラファエル・ゲレイロなど気鋭の若手が揃うだけに、決勝まで7試合を戦う今大会において、サントス監督がどこで主力選手を休ませていくか、出場チャンスを得た選手が大舞台でしっかり結果が出せるかなども重要なカギを握る。その中でも最大の得点源であるロナウドはできる限り起用し続けたいところだろうが、周囲のバックアップが生命線となるだろう。

■ベルギー代表

By 河治良幸

サッカージャーナリスト。プレー分析を中心に、Jリーグから日本代表、海外サッカーまで幅広くカバー。

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