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光り輝く19歳の“新エース”…充実の陣容で新生アトレティコが新シーズンへ

2019.08.18

[写真]=Getty Images

 アトレティコ・マドリードは昨シーズン、首位バルセロナには11ポイント離されたものの、3位レアル・マドリードには8ポイントの差を付け、2シーズン連続で地元ライバルを制して2位に入った。7シーズン連続で3位以内を記録するチームは、名実ともに3強の一角を形成している。その一方で、2013-14シーズンおよび2015-16シーズンと決勝進出を果たしたチャンピオンズリーグではベスト16止まり。2シーズン連続で不本意な結果に終わり、緩やかに下降線を辿っているとの指摘もあった。

攻守の要はチームを去ったが…

グリーズマン、ゴディンらがチームを去ったが、大型補強で次々と即戦力を迎え入れた [写真]=Getty Images


 そんな中、ディエゴ・シメオネ監督が8年目を迎えた今シーズンは、大きな転換期を迎えている。まず、フランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンにウルグアイ代表DFディエゴ・ゴディンと、チームを牽引してきた攻守の要が移籍。最大の武器である守備陣では、レギュラーのブラジル代表DFフィリペ・ルイスと元スペイン代表DFフアンフランに加え、バックアッパーのフランス代表DFリュカ・エルナンデスまで退団した。また、中盤で最もテクニックに秀でたスペイン代表MFロドリゴ・エルナンデスもチームを去った。

 当然ながら、クラブは夏のマーケットでは、レギュラー4選手のうち3選手が退団したDFラインを中心に積極的な動きを見せた。まずセンターバックには、エスパニョールからスペイン代表DFマリオ・エルモソ、ポルトからブラジル代表DFフェリペをそれぞれ獲得。サイドバックには、トッテナムからイングランド代表DFキーラン・トリッピアー、アトレチコ・パラナエンセからブラジル人DFレナン・ロディを補強した。また中盤には、宿敵レアル・マドリードからスペイン人MFマルコス・ジョレンテを引き抜いたうえ、ポルトからメキシコ代表MFエクトル・エレーラを迎え入れた。そして前線には、クラブ史上最高額となる1億2600万ユーロ(約148億7000万円)もの大金を投じて、ベンフィカからポルトガル代表FWジョアン・フェリックスを獲得した。

完璧に近いプレシーズンを過ごし開幕へ

プレシーズンでは、レアル・マドリード、ユヴェントスを撃破するなど好調をキープ。 [写真]=Getty Images


 とはいえ、1億2000万ユーロ(約141億6000万円)の移籍金を手にしたグリーズマンを筆頭に、多くの選手を高額で売却することに成功したクラブは、収支面で7000万ユーロ(約82億6000万円)ものプラスを計上。レアル・マドリードのコロンビア代表MFハメス・ロドリゲスなど、さらなる大物選手の補強も囁かれている。

 大幅な戦力の入れ替わりによる影響が不安視されたチームだが、ヌマンシア、グアダラハラ、レアル・マドリード、MLSオールスターズ、アトレティコ・サンルイス、ユヴェントスとそれぞれ対戦したプレシーズンマッチでは、5勝1分と完璧に近い成績を収めた。とりわけ、レアル・マドリードには7ゴールを浴びせて圧勝するなど、攻撃力の向上が目を引いている。

 世代交代が進んだチームには、現地でも軒並み好意的な意見が並ぶ。その1つである『マルカ』紙は、「素晴らしい適合」との見出しを打ち、新加入選手の存在感の大きさに注目している。

「アトレティコでは、シメオネ監督の要求がフィジカル面でも戦術面でも極めて高く、新加入選手がチームにフィットできずに挫折することも多い。だが、今シーズンの新戦力は一味違う。殆どの選手がスタメンを狙える位置におり、高いチーム内競争を生み出している」

存在感を放つ19歳の新エース

好調なチームの中で一際存在感を放っているのが、クラブ史上最高額で加入したジョアン・フェリックスだ [写真]=Getty Images


 その中でもフェリックスの存在感は非常に大きく、早くもグリーズマンに代わるエースの風格を漂わせている。『アス』紙も、ここ数シーズン不振に陥っている元スペイン代表FWジエゴ・コスタの完全復活を例に、フェリックスの加入効果を強調している。

「若干19歳の青年だが、溢れんばかりのクオリティと優れたパーソナリティにより、サポーターの希望の星となっている。類まれなパスだけではなく、精度の高いシュートでも相手を危険に陥れることができる。フェリックスがチームに及ぼす影響は極めて大きく、とりわけ最高のパートナーを得たジエゴは、偉大なゴールゲッターとしての姿を取り戻した。お互いを完璧に理解する両選手のホットラインは、アトレティコにとって強力な武器となるだろう」

 最高の形でプレシーズンを過ごしたチームだが、顔触れが大きく変わった陣容で、鉄壁のディフェンスを維持できるか、長丁場のシーズンを乗り切れるかなど、未知数の部分が多いのも事実だ。さらに、アトレティコは13日にプレシーズンで活躍したコスタが内転筋を損傷したことを明かすなど、開幕を前に不安材料も出てきている。

 それでも、得意とするカウンターの鋭さが増し、苦手とするポゼッションに改善が見られるなど、攻撃の万能性が増した新生アトレティコに掛かる期待は大きく、リーガ連覇中のバルセロナの対抗馬筆頭との評価も多い。フェリックスと同様に大きな武器となりそうなトリッピアーとロディの両SBなど、新戦力がフィットすれば6シーズン振りの優勝も十分に見えて来そうだ。

文=北村敦

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