2019.02.08

アラベス加入の乾貴士……現地報道から探る起用法とは?

乾貴士はアラベスで輝きを取り戻せるか。

 この冬のマーケットでベティスからアラベスへとローン移籍した日本代表MF乾貴士。3年間過ごしたエイバルに別れを告げ、レベルアップを目指してアンダルシアを代表する人気クラブのベティスに加わったのも束の間、わずか半年でバスク地方の小クラブに舞い戻ることとなった。

 とはいえ、ここまで22節を消化したリーガ・エスパニョーラで、7位のアラベスは6位のベティスと勝ち点32で並んでおり、順位上では遜色ないチームへと移籍した格好だ。ベティスでは周囲の期待に添えず不遇の時を過ごした乾だが、アラベスでの復活を予想する声も少なくない。急展開で決定した今回のローン移籍は、果たして状況好転のきっかけとなるだろうか。

■チームでの役割

イバイ・ゴメスはアラベスを上位に押し上げた立役者だった。

 乾がアラベスで求められていることははっきりしている。ずばり、アスレティック・ビルバオに移籍したMFイバイ・ゴメスの穴を埋めることだ。実際、『ムンド・デポルティーボ』紙が「アラベスはイヌイをイバイの理想的な後任として見ている」と評したのを筆頭に、スペインの各メディアは、チームの前半戦の大躍進を牽引したスペイン人サイドアタッカーと同様の役割が要求されるとの見方を示している。

 また、アベラルド・フェルナンデス・アントゥーニャ監督も、乾の攻撃面での貢献を見込んでいる。

「イヌイは私好みの選手だ。テクニック面で非常に優れており、ポゼッションや縦への推進力においてチームに多くをもたらしてくれるだろう。新天地への適応もスムーズに行くはずだ。彼はリーガ・エスパニョーラを知っているからね」

 アラベスはイバイ・ゴメスが退団して以降、リーグ戦で3試合連続完封負けを喫しており、乾には得点力不足解消の切り札として期待が寄せられている。

■任されそうなポジション

フランクフルト時代(左)もエイバル時代(右)も、乾の主戦場は左サイドだったが……。

 フランクフルトやエイバルでは主に左サイドのアタッカーとしてプレーしてきた乾だが、アラベスではイバイ・ゴメスが務めていた右サイドに入ると見られている。MFホニー・ロドリゲスを右サイドハーフに移し、空いた左サイドハーフに乾を置くという選択肢もあるが、現時点では可能性が低そうだ。実際、アベラルド監督は、乾の起用法について次のように示唆している。

「エイバルでは左サイドでプレーしていたイヌイだが、右サイドもこなせるだけの引き出しを持っている。日本代表でもプレーしたことがあるようだし、システムが異なるとはいえ、ベティスでも右サイドに入る機会はあった」

 また、アラベスの地元紙『ノティシアス・デ・アラバ』も、乾の右サイドでの起用を予想している。

「アベラルド監督は、イヌイが右サイドハーフに入ることにより、イバイがアスレティックに移籍するまで着実に機能していた4-4-2のシステムを取り戻せると考えている」

■アラベスでインパクトを残せるか?

ベティスでは慣れないシステムや戦術に苦しんだ。

 ベティスでの乾は、サイドハーフを置かない3バックシステム、ボールポゼッションを軸とする戦術の下、狭いスペースでの決定的な仕事が求められたため、なかなか持ち味を発揮できなかった。だが、サイドハーフを置く4バックシステム、カウンターを軸とする戦術のアラベスでは、比較的スペースがあるサイドで攻撃の起点になるという、エイバル時代と同様の仕事に専念できそうだ。

 一方、右サイドでのプレーには未知数な部分があり、『ノティシアス・デ・アラバ』紙も、前任者であるイバイ・ゴメスと同じ課題をクリアする必要があるとの見解を示している。

「イヌイは右サイドハーフに適合しなければならない。それは、アベラルド監督によって左サイドから右サイドにコンバートされたイバイが辿ったプロセスとまさに重なる」

 利き足が右の乾にとって右サイドでのプレーは、縦へのドリブル突破は威力が増す一方、中へ切り込んでのシュートは難度が高くなる。それだけに、ハーフスペースでも危険な存在になれれば、エイバル時代をも上回るパフォーマンスが見られそうだ。

 クラブの規模や地域性など、エイバルと重なる部分が多いアラベスは、乾にとって仕事がしやすい環境と言えるだろう。本人が「アラベスが僕のプレーを評価し、求めてくれたことに答えるために、全力を尽くしたいと思います」とInstagramで語った通り、慣れ親しんだバスクの地で輝きを取り戻し、ベティスからは復帰を、アラベスからは完全移籍を請われるほどの活躍に期待したい。

文=北村敦
写真=Getty Images

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