2018.08.19

【コラム】“史上最強”のアトレティコに膨らむ期待…新本拠地でビッグイヤーを掲げられるか

アトレティコ・マドリード
UEFAスーパーカップを制したアトレティコ・マドリード [写真]=Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

 真夏の夜の夢となるか。それとも、現実となるのか。UEFAスーパーカップを見たアトレティコ・マドリードのサポーターの大半は、後者になると考えているのではないだろうか。まだラ・リーガは開幕しておらず、時期尚早であることは分かっているし、道のりが途方もなく険しいことも知っている。ただ、頭ではそう理解できていても、ジエゴ・コスタの2ゴールを見てしまうと、そんな幻想を抱かずにはいられないだろう。ましてや得点だけでなく、現実として憎き地元のライバル相手に納得のいくパフォーマンスで勝利し、その夢を叶えるポテンシャルがあることを実証したのだから。

 アトレティコ・マドリードが延長戦の末にレアル・マドリードを破り、スーパー杯を制した。レアルは13試合連続で国際大会決勝に勝利していた。白い巨人がタイトルの懸かった国際舞台決勝で敗れたのは、2000年に東京の国立競技場で開催されたインターコンチネンタルカップ、ボカ・ジュニアーズ戦以来となる。地元メディアは勝利したアトレティコをラ・リーガ、そしてチャンピオンズリーグの優勝候補筆頭の一つだと声高に報じた。

アントワーヌ・グリーズマン

[写真]=Getty Images

 2018-19シーズン、アトレティコの前評判は高い。

 理由はいくつかある。一つは主力の残留だ。エースのフランス代表アントワーヌ・グリーズマン、守備の要であるウルグアイ代表ディエゴ・ゴディン、中盤の軸であるスペイン代表コケとサウール・ニゲス、そして守護神のヤン・オブラクもチームを離れなかった。どの選手もメガクラブから目を付けられていたが、誰も移籍しなかった。グリーズマンはスーパー杯後、地元メディアに「残留したのはクラブに偉大なプロジェクトがあるからだ。僕はクラブとチョロ(ディエゴ・シメオネ監督のニックネーム)を信頼しているし、勘違いなどしていない」とコメントした。古くはフェルナンド・トーレス、セルヒオ・アグエロ、ディエゴ・フォルラン、ダビド・デ・ヘア。最近ではラダメル・ファルカオ、ジエゴ・コスタなど、アトレティコで活躍した選手はタイトルが狙えるチームへの移籍が恒例だったが、今年のバロンドール筆頭候補であるグリーズマンとは年俸2000万ユーロ(約25億円)で契約を更新し、引き留めに成功している。経営の向上もあり、主力の流出をを回避できたのだ。

 二つ目の理由は新戦力だ。モナコから7000万ユーロ(約88億円)をかけてフランス代表トマ・レマルを獲得し、中盤にはビジャレアルからスペイン代表の未来を担うであろうロドリゴ・エルナンデスを2000万ユーロ(約25億円)で迎え入れた。さらにスポルティングからポルトガル代表ジェルソン・マルティネス、ミランからクロアチア代表ニコラ・カリニッチが加入した。

 残留した中軸と期待される新戦力。クラブ史上最高のメンバーが揃ったのではないか、と喧伝されたが、スーパー杯ではその大きな期待に応えるパフォーマンスを披露し、タイトルを勝ち取った。シメオネ監督は、スーパー杯後にこう語っている。

「(スーパー杯制覇という)結果の背景には、クラブのすごいハードワークがある。ヒル・マリンCEOから、エンリケ・セレッソ会長まで。クラブは成長し、新しいスタジアムを持ち、世界最高のクラブから去りたくないという中心選手たちが残留した。その理由は全員がとてもいい仕事をしているからで、全員が重要な役割を担っている」

 選手やスタッフだけでなく、経営面でもハードワークをしている役員、クラブ全職員の仕事があって、今のチームがあるとアルゼンチン人指揮官は強調する。アトレティコの年間予算は約4億ユーロ(約500億円)。約7億から8億ユーロ(約880~1000億円)と言われる予算を持つレアルとバルセロナとは依然として大きな隔たりがあるが、クラブ全員のハードワークでその格差を埋めようとしている。

ディエゴ・シメオネ

[写真]=Getty Images

 ロス・コルチョネロス(アトレティコサポーターの愛称)の悲願は、これまで3度決勝で敗れたチャンピオンズリーグ制覇だ。ましてや今シーズンの決勝舞台は、移転したばかりの新本拠地ワンダ・メトロポリターノだ。スーパー杯のパフォーマンスを見て、ホームスタジアムでビッグイヤーを掲げることも夢ではないと期待する。とはいえ、シメオネ監督の姿勢は、2011年1月から一貫している。

「今日は王者になったが、明日からは(ラ・リーガ開幕節)バレンシア戦のことを考え始めなければいけない」

 アトレティコの新シーズンが華々しく始まった。

文=座間健司

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