28日に行われたリーガ・エスパニョーラ第21節で、致命的なミスを犯してしまったセビージャのスペイン代表GKセルヒオ・リコに、思いもよらぬ所から励ましの声が届いた。
本拠地サンチェス・ピスフアンにヘタフェを迎えた同試合、1点を先行したままアディショナルタイムを迎えたセビージャは、誰の目にもそのまま逃げ切るかに映った。ところが、ヘタフェがゴール前に入れたロングボールをセルヒオ・リコがまさかのキャッチミス。こぼれ球を相手FWアンヘルに押し込まれ、セビージャはよもやの形で手中に収めていた白星を逃した。
それほど難しいボールではなかったにも係らずキャッチングに失敗したことや、相手DFカラが競りに来ていたにも係らずパンチングを選択しなかったことに、多くの批判が寄せられているセルヒオ・リコ。だが、これまでチームのピンチを何度も救ってきた守護神には、クラブOBである元スペイン代表GKのアンドレス・パロプ氏が「ファンには彼をじっと見守ってあげて欲しい」と述べるなど、その一方で擁護の声も顕在している。
そんな中、セビージャの宿敵であるベティスのスペイン人GKアントニオ・アダンも、ツィッターを通じてセルヒオ・リコを激励した。
「街のもう片側より、ピッチでは永遠のライバルだが同じ仕事に就く君へ。僕は常に君の味方だ。最も報われることが少ないけれども、フットボールの面白さが詰まったポジションを、君には満喫し続けて欲しい。必ずや太陽は雲間から再び輝く」
“セビージャ・ダービー”はスペインで最も激しいダービーと言われるなど、セビージャとベティスの間には極めて強烈な対抗心がある。それだけに、ゴールマウスを守る辛さも喜びも知るアダンのセルヒオ・リコへの心遣いは、健全なライバル関係として価値が高いと言えるだろう。
文=北村敦