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【インタビュー】ジェラール・ピケ「今の目標はバルサで引退すること」

2017.07.26

 改めてインタビューを読み返すと、ちょっと優等生っぽい内容だな、と思う。こちらが用意した質問に対して、ジェラール・ピケは誠実に、分別のある大人の回答をしてくれた。たびたびメディアを騒がせてきたような、遠慮のないストレートな内容を期待していた方は、少し肩透かしを食ったような気持ちになるかもしれない。

 7月中旬に来日したピケは、自身の着用するスパイク「ティエンポ」のPRや、バルセロナのオフィシャルスポンサーとなった楽天の会見など、さまざまな活動を精力的にこなした。一流のフットボーラーでありながら、複数の会社を経営する実業家でもある彼は、そういったピッチ外の“仕事”の重要性もよく分かっている。
 実際のところ、ピケは本当にナイスガイだ。インタビューは慌ただしい来日スケジュールの合間を縫って行われたが、そのごくわずかな時間ですら、彼の明るく気さくな性格を理解するのには十分だった。

 「人生はエンジョイすること、そして愛することが一番大切だ」とピケは言う。知的で、フレンドリーで、バルサの選手らしい情熱も持っている。笑顔を絶やさず、淀みなく取材に応じる姿に接すると、彼がロッカルームに欠かせないムードメーカーだということがよく分かる。どんな監督であっても、チームに一人は彼のような選手がいてほしいと思うだろう。そんな彼のキャラクターが、バルセロナというチームをピッチ上でも、ピッチの外でも支えてきたのだ――そう考えても、あながち間違いではないと思う。

インタビュー・文=坂本 聡
取材協力・写真=ナイキジャパン

「取材に応じたり、テレビに出演することも楽しんでいます」

――ピケ選手のインスタグラム、いつも楽しく見てるんですけど、今年のオフは世界各国を訪れていて、まさに世界一周という感じでしたね。
そうですね。とても有意義なオフを過ごしています。その中でも東京が一番好きですよ。

――あ、東京が一番ですか?
日本にも友達がたくさんいるので、彼らに会えることが何よりもうれしいです。あとはクラブの新スポンサーである「楽天」の記者会見もあるので、そこに出席することも今回の目的ですね。

――なるほど。胸に「Rakuten」と入った新しいユニフォームの印象はどうですか?
いいですね。すごく気に入ってます。

――バルサのユニフォームに日本企業の名前が入るというのは、僕たちのような日本のサッカーファンにとっても特別なニュースです。
僕は楽天の代表である三木谷(浩史)さんと以前から仲良くさせていただいてます。その友情の中からいろいろと新しいものが生まれ、そして楽天がバルサのトップスポンサーになりました。本当にうれしく思っています。

――ユニフォームだけじゃなく、スパイクも新しくなりました。先月発表されたばかりの『ナイキ ティエンポ レジェンド 7』の印象はどうでしょう?
もう履いてみましたが、革がとても柔らかくて、すぐに足になじんでくれる。プレーをしていても非常に快適で、履き心地も素晴らしいです。本当にいいスパイクですね。

――ピケ選手はずっと『ティエンポ』シリーズを履いていますけど、何か特別な理由があるんですか?
まず、僕は「ナイキ」が好きなんです。そしてスパイクは履き心地がいいものが好きです。この点で、『ティエンポ』はベストですよ。デザインも気にしますが、いいプレーをするためにはデザインよりも機能性のほうが大切です。もちろん、デザインも気に入っていますけどね(笑)。

――さらに何か注文をつけるとしたら、どうしてほしいですか?
何もないです。というのは、選手というのはスパイクが新しくなるたびに、細かいオーダーをたくさんするものなんですよ。ナイキはそういったオーダーにすぐ応じてくれるので、もう特にリクエストすることがないんです。僕に言えるのは、いつも良いスパイクを作ってくれてありがとう、ということだけです(笑)。

――忙しいシーズンオフのようですが、この時期もフットボールのことを考えたりしますか? それとも完全に忘れてしまうタイプ?
シーズンオフはもう、完全にフットボールのことは切り離しています。家族と一緒に海に行ったり、友達と食事したり。リラックスして、自分のやりたいことを楽しむようにしています。

――この取材の前に、インターネットテレビ番組に生出演されましたね。こうしたイベントや取材もエンジョイできるタイプなんですか? 選手の中には、フットボール以外の仕事を敬遠する人もいますよね。
僕もまずは家族を優先するんですが、その合間に取材に応じたり、テレビに出演することも楽しんでやっています。やっぱり、何でも楽しむことが大切ですからね。僕の考え方として、人生はエンジョイすること、そして愛することが一番大切だと、そう思っているんです。

「バルサのスタイルは変わらないし、変える必要がない」

――新シーズンから、エルネスト・バルベルデ新監督が指揮を執ります。彼のもとで、バルサはどういったスタイルのフットボールを目指すと思いますか?
そこはあまり気にしていません。確かに新しい監督になりましたが、これまでに僕たちがやってきたプレー、バルサのスタイルが崩れることはありません。誰が監督になっても、最終的にプレーするのは選手ですからね。そして、何よりも勝ち続けること、タイトルを取ることが常に重要です。バルベルデ監督はうまく選手のモチベーションを上げてくれるでしょうから、あとは僕たち選手がそれに応えなければいけません。

――誰が監督になっても、バルサのパススタイルは変わらない、ということですか?
今までも、監督や選手が変わってもバルサはパスを大事にするフィロソフィーを貫いてきました。それは変わらないし、変える必要がない、とも言えます。

――バルサは世界で最もパスワーク、ポゼッションを重視するチームだと思いますが、その中でプレーするというのは特別な意識が必要なんですか? ピケ選手はイングランドでもプレーしていましたが、他のクラブでプレーするのと、バルセロナでプレーするのでは何が違いますか?
まず、バルセロナというチームではミスが許されない。そのプレッシャーが全く違いますね。プレースタイルについて言うと、ご存知のようにバルセロナでは後方から攻撃が始まりますから、DFもボールタッチが多いですし、パスを出す回数も多い。他のクラブでは、DFはまずしっかり守備をすることが求められるので、そこは大きな違いです。

――ピケ選手だけでなく、バルサのDFはボールを動かすタイミングが非常に早いですよね。後方でボールを持った時、どんなことを考えているんですか? 考えるよりもオートマティックに身体が動く感覚ですか?
ボールを持つ前から、常にフリーの選手を探しています。実際にパスを出す段階では、そのパスの次にどんな展開になるのか、誰がどこに動くのかをはっきりイメージできています。これはもう、僕が本当に小さい時から学んできたバルサの哲学なので、自分にとってはごく自然なことですね。小さな子供からトップチームまで、バルサのフィロソフィーは全く変わりませんから。

――バルサのアカデミー時代に学んだ、一番重要だったことは何だと思いますか?
今から振り返ると、アカデミーにいた頃は、仲の良いチームメイトたちと純粋にサッカーを楽しんでいたように思います。本当の意味でプロフェッショナルの意識が身についたのは、2004年に17歳でイングランドへ渡ってからですね。その時のタフな経験が今でも生きていると思います。

「仲間のために力を尽くす選手だった、と思ってほしい」

――ピケ選手は今までにリーガ、チャンピオンズリーグ、ユーロ、ワールドカップでも優勝しています。あらゆるタイトルを手にしても、まだフットボールに対するモチベーションは衰えないのでしょうか? モチベーションを保つのが難しいと思うことはないですか?
それは簡単なことで、やっぱり勝つこと。勝ちたい、負けたくないという気持ちはずっと変わりません。それと、バルセロナでずっとプレーし続けること。これが大きなモチベーションになっています。

――バルサのトップチームで9シーズンもプレーしていても、いまだに「バルセロナでプレーする」というのは特別なことなんですか?
僕の場合は子供の頃からずっと、バルセロナでプレーするという夢を描いてましたからね。できる限りバルセロナでプレーし続けたいと思っていますし、最終的にはバルセロナで引退することが今の目標になっています。

――では、引退後はバルサの監督になる、というプランもありますか?
監督という仕事が自分に向いているとは思いません。将来的には監督ではなく、バルサの会長になることが夢です。いずれにしても、引退後も愛するクラブのために何かしたいと思っています。

――では、例えばピケ選手がFIFAの会長になったら、フットボールの何を変えたいですか?
レフェリーのシステムを変えたいですね。彼らは試合中に非常に大きなプレッシャーを感じながら仕事をしているように感じます。ミスジャッジをなくしたり、ジャッジを巡る無意味な論争をなくすためにも、テクノロジーを取り入れる形で、レフェリーがよりフェアなジャッジをできるように環境を変えられればいいと思いますね。

――つまり、昨シーズンはジャッジに不満があったと?
まあ、そうですね……ジャッジに納得がいかない試合もあったと思います。もう忘れてしまいましたけど(笑)。すぐに新しいシーズンが始まるので、意識は完全に切り替わっています。ネガティブな気持ちはありませんよ。

――今回の来日でも、行く先々でたくさんのファンに囲まれていますよね。世界中にいるバルサファンに、「ジェラール・ピケ」はどういう選手だったと記憶されたいですか?
仲間のために力を尽くす選手だった、と思ってほしい。僕は毎試合、「必ず勝つ」ということを信じて、すべてのチームメイトの力を信じて、ファンの人たちにいいゲームを見せたいと思ってプレーしています。その気持ちが自分にとっては重要なので、それがファンの人たちに伝わればうれしいですね。

――具体的なプレーで言うと、どういうところを一番見てほしいと思いますか?
僕はDFですが、実は攻撃も見てほしいんです。自分でゴールを決めることは少ないですが、いいパスを出したり、ゴールにつながるプレーは常に狙っていますからね。そういうところもぜひ見てほしいと思います。

――では最後に、日本のファンにメッセージを。
日本には何度も来ていますが、ファンの皆さんがヨーロッパのサッカー、そしてバルセロナのサッカーを本当に愛してくれている、応援してくれていることを肌で感じます。今回、こうして来日できたことも、すごくうれしく思います。スペインのサッカーも、日本のサッカーも、ともに盛り上がっていくことが僕の望みです。皆さんも一緒に、サッカーをもっともっと楽しいスポーツにしていきましょう!

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