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レアルのある選手が凱旋パレードでピケへの悪質なチャントを扇動か

2017.05.23

リーグ制覇を喜ぶモラタ(左)カルバハル(中央)ナチョ(右) [写真]=Getty Images

 永遠のライバルであるバルセロナの3連覇を阻み、史上最多となる33回目のリーガ・エスパニョーラ制覇を達成したレアル・マドリードだが、タイトル決定直後に行われたパレードで物議を醸す問題が起きてしまった。

 21日に行われた最終節でマラガを2-0で下し、5シーズン振りのリーグ制覇を決めたR・マドリード。歓喜に揺れるチームは敵地ラ・ロサレダを後にすると、その足でマドリードに戻って凱旋パレードを行った。

 マドリード市東部のバラハス空港に到着した時点で翌22日の午前1時を回っていたチームは、本拠地サンティアゴ・ベルナベウに戻ってパレードをスタート。パレード恒例の終着地点であるシベーレス広場に辿り着いたのは午前2時半過ぎとなったにも関わらず、5万人近くのファンが詰めかけた。

 自身初となるリーグ制覇に喜びを爆発させたスペイン代表MFイスコが感極まって主将の同代表DFセルヒオ・ラモスにキスをしたり、シーズン後の退団も噂されている同代表FWアルバロ・モラタが万感の思いの涙を流すなど、選手の印象的なシーンが数多く見られたレアル・マドリード。その一方で、シベーレス広場に集結したファンからは、「ピケ、糞野郎、王者を歓迎しろ!」とバルセロナの同代表DFジェラール・ピケを罵る大合唱が起こった。

 レアル・マドリードを揶揄する発言を度々行っているピケが、相手サポーターから罵詈雑言を浴びせられるのは自業自得でもある。それゆえ、今回のチャントは決して良い行為ではないものの、このようなお祭りの場では防ぎようがないとも言える。しかし、今回問題視されているのは、レアル・マドリードのある選手がこのチャントを行うようファンを扇動したことだ。

 ゴシップ好きのお国柄のスペインとあり、当然ながら犯人捜しは各メディアによって行われた。そして、バルセロナ寄りの『SPORT』紙からR・マドリード寄りの『AS』紙に至るまで、ファンに向けてチャントを促した拡声器の声から、スペイン代表DFダニエル・カルバハルを容疑者として断定している。

クラブではしのぎを削り合うジェラール・ピケダニエル・カルバハル [写真]=Getty Images

 この悪質なチャントは、バルセロナが2004-2005シーズンにリーグ制覇を達成した際の本拠地カンプ・ノウでの優勝セレモニーで、元カメルーン代表FWサミュエル・エトーが発した「マドリー、糞野郎、王者を歓迎しろ!」との暴言に端を発しており、それ以降頻繁に両チームのサポーターによって流用されている。しかし、日本語では「糞野郎」との訳に収まってしまうスペイン語の「cabron」という言葉は、愛情を込めて冗談で使われる場合を除き、極めて差別的な用語となる。

 レアル・マドリードのサポーターからの非難や野次は慣れっこであり、セルヒオ・ラモスとの挑発合戦もお約束となっているピケだが、相手の人格を踏みにじるような発言は行ってはいない。また、ここまで侮辱的な行為はしたこともなければされたこともない。

 ピケとカルバハルはスペイン代表のチームメイトであり、来月行われるワールドカップ(W杯)欧州予選に影響しかねない。また、来年夏のW杯を最後に代表から引退することを表明しているピケが、今回の一件が原因でその時期を早めてしまうのではないかと心配する声も上がっているようだ。中立的なスペイン代表のサポーターとしては、両選手の間に遺恨が生じないことを祈るばかりだろう。

スペイン代表ではディフェンスラインを支え合うチームメイトのピケとカルバハル [写真]=Getty Images

 文=北村敦

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