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バルサ、モドリッチからの“逆オファー”を断った過去…元スカウトが明かす

2016.12.09

メッシ(右)と競り合うモドリッチ(左)。チームメイトになっていた可能性も… [写真]=Getty Images

 3日に行われたリーガ・エスパニョーラ第14節、今シーズン初の“クラシコ”で、バルセロナは本拠地カンプ・ノウで“負けに等しい”引き分けに終わった。宿敵レアル・マドリードを相手に1-0とリードしながら、終了間際にスペイン代表DFセルヒオ・ラモスに同点ゴールを決められてしまった。

 S・ラモスのゴールをアシストしたのは、クロアチア代表MFルカ・モドリッチだった。実はバルセロナは、同選手を獲得するチャンスを自ら放棄していた過去があったという。

 2011年夏までバルセロナでプレーし、現在はストークに所属するFWボージャン・クルキッチの父親で、息子に自身と同じ名を付けたボージャン・クルキッチ氏が、モドリッチについての“事実”を明らかにした。旧ユーゴスラビア出身のクルキッチ氏は、スペインのラジオ局『カデナ・セール』の番組でのインタビューで、バルセロナのスカウトを務めていた時期にモドリッチの代理人から“逆オファー”を受けていたことを明らかにした。

「我々はモドリッチ側からの売り込みを受け、何度かクロアチアに足を運んだ。また、私の元には彼のディナモ・ザグレブやクロアチア代表でのプレーを収めたDVDが次々と送られてきた。私はかつてのミランとクロアチア代表の主力であるズボニミール・ボバンにも意見を求めたが、『いずれ、世界トップクラスの選手になる』と太鼓判を押された」

 バルセロナへの移籍話を「モチベーションに繋がる」と喜んでいたモドリッチだが、2008年夏にトッテナムへ移籍した。当時を回想するクルキッチ氏は、自身としては獲得に乗り気だったものの、クラブの都合により実現しなかったことを説明した。

「我々にはモドリッチの獲得においてアドバンテージがあった。しかし、実際にオファーを出さなかったのはバルサ側の問題だった。ジョゼップ・グアルディオラ監督の初年度となったあのシーズン、中盤にはシャビ、アンドレス・イニエスタ、ヤヤ・トゥーレ、セルヒオ・ブスケツがおり、クラブは補強という選択肢を持ち得ていなかったんだ」

 クルキッチ氏は一方、当時22歳のモドリッチが現在の姿を彷彿させる成熟さをすでに見せていたことを、感慨深げに振り返った。

「我々はモドリッチのことをもっと知ろうとバルセロナに招待した。プリンセサ・ソフィア(カンプ・ノウ近くのホテル)で、彼の恋人も交えてカフェをしながら色々と話をした。その時の彼の印象は、英語を流暢に話し、知的で教養のある落ち着いた好青年という素晴らしいものだった。また、メディアへの派手な露出をあまり好まない慎重かつ謙虚な選手であることも分かった。それは彼がレアル・マドリードで見せている通りだ」

 バルセロナがモドリッチの獲得を敬遠した理由としては、わずか1歳上のイニエスタがすでに台頭していたことが大きいと思われる。だが、もし実際に迎え入れていれば、今頃はイニエスタとモドリッチによる魅惑のハーモニーが見られていたことだろう。逆に、中盤のクオリティー低下が指摘されているチームとしては、大魚を逸していたことを今となって後悔しているかもしれない。

文=北村敦

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