FOLLOW US

降格が決まったサウサンプトン、“首相の声援”と“主将の奮起”もクラブ史上最低の成績に

2023.05.15

 イングランドのサウサンプトンが11シーズンを過ごしたプレミアリーグに別れを告げることとなった。

 今季プレミアリーグで最下位に沈むサウサンプトンは、13日のフルアム戦に0-2で敗れて4連敗。直近は11試合に勝てておらず、2試合を残して残留圏との差が8ポイントとなり、2部降格が決定した。サウサンプトンは2012-13シーズンよりプレミアリーグに昇格すると、同年夏には日本代表DF吉田麻也も加入。その後は安定した成績を残しながら、2016-17シーズンにはヨーロッパリーグ本大会にも出場した。

 しかし、近年は苦しい戦いを強いられることに。2シーズン連続で15位に入って何とか残留を果たしていたが、今季はとうとう降格の憂き目に遭った。では、なぜ彼らは降格することになったのか?サッカー情報サイト『90MIN』が降格の原因を挙げているので紹介しよう。

■経験値

ロメオ・ラヴィア、サミュエル・エドジー

共にマンCから加入したラヴィア(左)、エドジー(右)は経験が不足していた [写真]=Getty Images

 サッカーにおいて大事な要素とされる“経験値”は、とりわけ残留争いでは必要不可欠だ。普段では感じられないようなプレッシャーの中でプレーするわけだから、やはり経験が物を言うはずだ。その点において、サウサンプトンの補強は「経験値」を軽視していたという。

 2022年1月にクラブを買収した現オーナーは、今季リヴァプールを超える1億3200万ポンド(約200億円)もの軍資金を用意して14選手を完全移籍で連れてきた。だが、記事によると加入した14名はいずれもプレミアリーグで出場経験のない選手だったという。

 大半の選手を国外から連れてきたこともあるが、それだけではない。昨年夏、サウサンプトンはマンチェスター・Cからベルギー代表MFロメオ・ラヴィアとU-20イングランド代表FWサミュエル・エドジーといった有望株を獲得した。だが、前者は19歳、後者は20歳と若く、彼らはマンチェスター・C時代にプレミアリーグのピッチに立っていなかった。

 今季の新加入した選手のうち、唯一のプレミアリーグ経験者はアーセナルから“ローン契約”でやってきた25歳のイギリス人MFエインズリー・メイトランド・ナイルズだ。完全移籍で加入した選手に限定すると、全員がプレミアリーグの経験値が「ゼロ」だった。

■得点力

ジェームズ・ウォード・プラウズ

高いキック精度を武器に孤軍奮闘したウォード・プラウズ [写真]=MB Media/Getty Images

「攻撃は水物」と言われ、長期のリーグ戦を戦う上で重要なのは守備だと考えられているが、ある程度の攻撃力がないと何も始まらない。サウサンプトンは今季プレミアリーグで36試合を戦ってわずかに31得点。マンチェスター・C所属のノルウェー代表FWアーリング・ハーランドが1人で挙げた得点数(36ゴール)を下回っているのだ。さらに、オープンプレーに限定するとリーグ最少の14ゴール。これは爆発的な攻撃力を誇るマンチェスター・Cのオープンプレーの得点数(61)の四分の一以下だ。

 それでも、キャプテンとしてチームを支えるMFジェームズ・ウォード・プラウズが孤軍奮闘した。イングランド代表のワールドカップメンバーから落選してカタールに行けなかったミッドフィルダーは、今季プレミアでチーム最多となる全36試合の出場でチーム最多の8ゴール・3アシストを記録した。加えて、パス本数は当然のこと、タックル数やインターセプト数でもチーム最多を誇ったのだ。

 そればかりかウォード・プラウズは“究極の個人技”である直接フリーキックから、今季プレミアリーグで最多となる3ゴールを奪っているのだ。さらに今季サウサンプトンは最もセットプレーのゴールに頼っているチームで、全得点の三分の一以上がセットプレーから生まれているのだが、それを蹴っているのは、もちろんウォード・プラウズだ。

 とりわけ、ワールドカップ中断後はキャプテンへの“依存度”が異常だった。サウサンプトンはワールドカップ後の6試合で4ゴールしか奪えなかったのだが、その4点ともウォード・プラウズのゴールだった。ワールドカップ後のリーグ戦ではしばらくウォード・プラウズとアルゼンチン人MFカルロス・アルカラスしかゴールを奪えておらず、ワールドカップ後に3人目の“得点者”が生まれたのは3月18日のこと。それまでワールドカップ以降の13試合は2名しか得点者がいなかったのである。

 ちなみにサウサンプトンは今季プレミアリーグでシュートの距離が最長だという。平均にしても18ヤード以上(ペナルティエリアの外)となっており、なかなかゴールが決まらないのも納得だ。
 

■史上2番目に負ける監督

ネイサン・ジョーンズ

1勝7敗という成績でクラブを去ったネイサン・ジョーンズ元監督 [写真]=Getty Images


 今季は2018年からチームを率いるラルフ・ハーゼンヒュットル体制で開幕を迎えるも、なかなか結果が出ずにワールドカップ直前に同指揮官を解任。後任に、昨季2部リーグで年間最優秀監督に輝いたネイサン・ジョーンズをルートンから引き抜いたのだが、今振り返るとこれが致命傷だったのかもしれない。

 ジョーンズは、11月からプレミアリーグ8試合でチームを指揮して「1勝7敗」という散々な成績。わずか3カ月で解任されることになったのだ。記事によると、プレミアリーグで暫定監督を除いた正式な指揮官の中で、ジョーンズの敗戦率「88%」を超えるのはフランク・デ・ブール氏の「100%」しかないという。オランダの英雄は、2017年にクリスタル・パレスの監督に就任するも開幕4連敗を喫してわずか2カ月でクラブを去った。

 ちなみに、ジョーンズの唯一の勝利は1月14日のエヴァートン戦。敵地で2-1の勝利を収めたのだが、その時に全2点をマークしたのがウォード・プラウズ。2点目はイングランド代表GKジョーダン・ピックフォードが一歩も動けない完璧な直接フリーキックだった。
 

■ホームで最低

リシ・スナク氏

フルアム戦に駆けつけたリシ・スナク首相 [写真]=Getty Images

 どのチームも成功の秘訣は「ホームの強さ」にあると思うが、今季のサウサンプトンのホームゲームでの成績は目も当てられない。今季ホームで18試合を戦ってわずかに勝ち点10(2勝4分け12敗)。これはリーグ最少であるとともに、1966年に初めてトップリーグに昇格して以降でクラブ史上最低のホームゲーム成績だという。

 昨年10月に最年少で第79代の英国首相に就任したリシ・スナク氏も、愛する地元クラブが“奇跡の残留劇”を成し遂げることを信じ、冒頭のフラム戦に駆け付けた。だが、首相の声援もむなしく、チームは0-2で敗れて降格が決まってしまった。
 
 無論、アウェイゲームで素晴らしい結果を残せたという話でもない。アウェイでの成績は4勝2分け12敗。ホームとアウェイを合わせて今季プレミアリーグで「24敗」も喫しているのである。これはサウサンプトンにとってトップリーグでのクラブ史上最多敗戦数だった。

 サウサンプトンは、主将が孤軍奮闘し、首相も声援を送ったものの、成績を見ると落ちるべくして落ちたと言えるだろう…。

(記事/Footmedia)

【PR】プレミアリーグ観るなら
U-NEXT「SPOTV NOWパック」で!

U-NEXTが提供する「SPOTV NOWパック」とは、U-NEXTと契約することでSPOTV NOWが視聴できるお得なプランになります。

U-NEXT「SPOTV NOW」パック

ポイント利用で実質月額800円に!

月額2,000円ですが、U-NEXT会員には毎月1,200ポイント(1,200円相当)が付与されるため、ポイント利用によってU-NEXTのコンテンツと合わせてお得に楽しむことができます。

プレミアリーグセリエAのほか、U-NEXTが提供するラ・リーガなど注目リーグの試合を視聴可能です。

  1. U-NEXTの「SPOTV NOWパック」なら広告なし! TV視聴も可能!
  2. 見放題のエンタメ作品数NO.1を誇るU-NEXTでプレミアリーグ&エンタメを堪能!
  3. U-NEXT&「SPOTV NOWパック」ではラ・リーガやセリエAなども楽しめる!

【PR】「ABEMA」なら
プレミアリーグが無料視聴可能!

ABEMA

「ABEMA」とは、好きな時間に好きな場所で、話題の動画を楽しめる新しい未来のテレビ。登録不要でプレミアリーグを含む様々なコンテンツが無料で視聴できます。

ただし、プレミアリーグの無料配信は一部(毎節3試合予定)のため、しっかり堪能するなら「ABEMAプレミアム」月額960円(税込)への加入がおすすめ。

  1. ABEMAプレミアムなら注目カードが確実に視聴可能!
  2. 追っかけ再生、見逃し配信などうれしい機能が充実!
  3. 初めてABEMAプレミアムに登録する方は2週間無料!

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO