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チェルシーのスポンサーになって3年…横浜ゴムがファンのために「どうしても実現したい」こと

2018.11.22

[写真]=Getty Images

 2015年7月、日本のタイヤメーカー『横浜ゴム』はチェルシーとパートナーシップ契約を締結。世界有数のビッグクラブのユニフォームに『YOKOHAMA TYRES』が刻まれた。あれから3年が経過し、横浜ゴムの関口和義さんに話を聞くと「難しい…」と口にした。関口さんはクラブと直接やり取りし、販売促進から広報戦略などを行う部署「チェルシータスク」のリーダーだ。チェルシーとのパートナーシップは、海外市場において「横浜ゴム」の認知向上を第一目的としてスタート。さらに、ブランドイメージアップ、会社の増収増益へとつなげなければならなく、その過程で様々な困難に直面したという。

 それでもインタビューの最中、関口さんはどこか楽しそうだった。スポンサードはあくまでビジネスだが、純粋に“チェルシー”“サッカー”を楽しんでいるかのようだ。様々な現場で目の当たりにした光景、スポンサービジネスの裏側、「どうしても実現したい」と話す野望とは……。

直面した“難しさ”…最大の課題は「結果」

「チェルシータスク」のリーダーを務める横浜ゴムの関口和義さんは、2015年から販売促進から広報戦略などを行ってきた

――チェルシーと横浜ゴムがパートナー契約を結んで丸3年が経ちました。改めてどのような3年間でしたか?
「かなりの金額を投じているので、会社からは『結果出しなさい』と。これが一番難しいんですけどね。ただ、ブランド認知度については徐々に上がっていると感じていて、毎年弊社でも認知度調査をしていますし、チェルシーからも調査結果が上がってきます。それが売り上げにつながっているのか……、ということですね」

――そこが一番の課題ですか?
「になりますね、今後は特に。最初は『認知度を上げているところだから』という言い訳もできたんですけど(笑) 」

――とはいえ、『YOKOHAMA TYRES』の文字もすっかり定着した印象です。スポンサー契約したことに対する反響はかなり大きかったのではないでしょうか?
「過去にも多くの日本企業が海外のサッカーチームをスポンサードしてきましたが、現在のプレミアリーグのスポンサーフィーを考えると、タイヤメーカーが胸スポンサーになったので。そこは、色々な方に色々なことを言われましたね(笑) ポジティブなこともあれば、『本当に大丈夫なの?』ということも」

――そんな感じでスタートしたスポンサードですが、この3年間で変化はありましたか?
「一番の変化は販売施策をチェルシーと始めたことです。今までもタイヤ販売店のディーラーさんたちをスタンフォードブリッジへお連れしました。その条件としてキャンペーン中の目標を達成してもらう。そのようなことは海外の国々で行ってきました。今回は日本を入れた6カ国を選んで、チェルシーのレジェンド選手のドログバさんに各国へ赴いていただく。そこでイベントやファンサービスを行う。インド、フランス、スペイン、マレーシア、ベトナムで行います」

――すでにサッカー熱が高い国から、徐々に高まりつつある国まで様々ですね。
「そうです。東南アジアはタイやインドネシアでプレミアリーグが大人気なんですけど、今回はそこを選びませんでした。インドは一番人気のあるスポーツはクリケットで、スペインやフランスは自国のリーグが大人気ですが、敢えてそういった国で実施しようと。弊社が戦略的に攻めたい市場でもあったので。その5カ国では我々の直接的なお客様のタイヤディーラーさんやカーディーラーさん向けに夜のパーティーを、サポーター向けにはイベントの開催を予定しています」

――販売面以外でも大変なことも多かったのではないでしょうか?
「“効く国”と“効かない国”があることですね。イギリスでは、勝った翌日の新聞でチェルシーが新聞の一面を飾って、胸のYOKOHAMAロゴが大きく露出される。または、それまで横浜ゴムの製品を扱っていなかったお店が『チェルシーのスポンサーだから、横浜ゴムのタイヤも積極的に売るよ!』という話もいただきました。そんな感じでイギリスや東南アジアでは良いお話をいただきます。しかし、アメリカでは4大スポーツが主流で、インドにはクリケットがある。フィリピンではバスケットボールが人気ですよね。そういったスポンサードした効果がなかなか表れない国があります。とはいえ、かなりの金額を使っているので、『チェルシーを活用しよう』となるんですけど、難しい地域は難しい……。試しにやってはみるんですけど、プレミアリーグの人気によって効果の違いはありますね。例えば、タイのお客様とフィリピンのお客様では反応も違って」

――“熱量の違い”ってことですね。
「そうです。一般的なタイヤビジネスをする中で、目標達成に応じた海外旅行のプレゼントなども行っている国もありますが、その一環のような感じで“チェルシー”という付加価値を捉えづらいという国もあるようです。それがタイのお客様なら、『スタンフォードブリッジに行ける!』ということで喜んでいただけるんですが、フィリピンのお客様ではあまり……。そこは難しいですね。それはどこのクラブにも当てはまることかもしれません。3年間スポンサードして感じることです。あとは、プレミアリーグが大人気の地域では、それぞれご贔屓のチームがある。特にイギリスは。タイではお店にチェルシーのユニフォームを飾っていただくことは普通ですが、ノースロンドンでそんなことをしたら大変なことになります(笑)」

勝てば喜び、負ければ落ち込み…チェルシーの優勝は“会社の誇り”

――昨年はフランク・ランパードさんが来日してイベントを行いました。
「昨年は弊社が100周年の節目の年でした。そこで、プレシーズンマッチでチェルシーに来日してもらおうという計画がありました。それが色々な理由で実現できなくて。代わりにチェルシー主導でランパードさんを呼んだイベントを行うことになりました。当初は『レジェンドとはいえ、現役じゃない方を呼んで盛り上がるのかな?』という心配はありました。でも、期待を大きく裏切ってくれて、大盛況でしたね(笑) 日本にもこれだけチェルシーを愛する方々がいるんだと、うれしかったですね」

――そして、今年はドログバさんが来日します。イベントではどのようなことを期待されていますか?
「まずはファンが集まること。平日の夕方ということで、来られないファンの方もいるかもしれませんが、是非来ていただきたいです。あと、ドログバさんはネガティブな印象も含めて日本で知名度が高いと思うので(笑)」

――ブラジル・ワールドカップですね(笑)
「そうです(笑) 彼が日本に来ることで、4年目に入ったチェルシーと横浜ゴムのパートナー契約をさらに認知させたい。『横浜ゴムがプレミアリーグで優勝するようなクラブをサポートしている』と。テレビ番組も含めて色々と計画しています。特に日本では”認知の質を上げる”ということにも取り組んでいます。ただ横浜ゴムを知っているだけではなくて、良い印象を持っていただく。横浜ゴムのファンになっていただき、やはり最後はヨコハマタイヤを選ぶ気持ちになっていただけるように、チェルシーと一緒に取り組んでいきたいですね」

――関口さん自身にも色々と変化があったのではないでしょうか?
「“青”を身に付けるようになりました。「赤はダメ」ということはないんですけど、何となく避けています(笑) ライバルチームの色ですし」

――当初は横浜ゴムのロゴが赤だったことも、サポーター間では話題になりました。チェルシーもあまり積極的に赤色を取り入れないチームなので。
「1年目は成績が悪かったので“横浜の祟り”とかも言われましたね(笑) でも、2年目にはしっかりリーグ優勝してくれて良かったです」

――自社の名前が刻まれたチームが優勝杯を掲げた瞬間は、どのような心境だったのでしょうか?
「2016-17シーズンにプレミアリーグを優勝したとき、全世界のヨコハマグループの従業員で優勝をお祝いする写真を撮って、それぞれの国のSNSに投稿しました。ファンの方と喜びを分かち合う目的だったのですが、この時にみんな誇りに感じていたと思います。自分が勤めている会社のロゴをまとったクラブが、プレミアリーグでチャンピオンになる。こんなにすごいことはないですからね」

――逆にチームの調子が悪いときは落ち込むこともありますか?
「社員向けにチェルシーの情報を発信するブログを書いているんですけど、負けた後は書きづらいですよね(笑) 週末の試合で負けて、月曜日に書く際の勢いが違います。出社したときのエレベーターでも色々と言われるので、階段で6階のオフィスまで上がることもありました(笑) でも、今シーズンはまだ無敗なので!」

――勝って喜び、負けて落ち込むのも、チェルシーという存在が社に浸透した証ですね!
「そうです!」

――今後も色々なことを計画されていると思います。今後の野望を聞かせてください。
「やっぱりプレシーズンには、チェルシーに日本へ来てほしいです。ずーっとチェルシーにリクエストしていることで、昨年も色々なやり方でお願いしたんですけど叶わなくて。私もコブハム(チェルシーの練習場)まで行って、アントニオ・コンテ監督(当時)に直談判しました」

――あのコンテに!?
「はい(笑) コンテさんが日本で試合をすることに難色を示しているとのことだったので。彼が求める練習場が日本になかったそうです。でも、やはり日本には来てほしい、どうしても実現したいです。エデン・アザール選手のようなスターが日本で試合をすることが、日本のファンにとっても、横浜ゴムにとっても、嬉しいことですね。昨年は中国でプレシーズンマッチを行いましたが、ものすごい盛り上がり方だったので、それを日本でも実現したいです。いずれにしても、今回のドログバさんの来日は、チェルシーファンの方や、多くのサッカーファンの方に楽しんでもらえると大変うれしく思います」

インタビュー=サッカーキング編集部
写真=小林浩一

ディディエ・ドログバ
来日イベント開催!

 横浜ゴムはオフィシャルシャツパートナーを務めるイングランド・プレミアリーグのチェルシーとの共催で、ファンイベントを開催。スペシャルゲストとしてディディエ・ドログバが登場する。開催日は11月26日(月)で、場所は六本木ヒルズアリーナ(東京都港区)。入場は無料となっている。

 このイベントでは昨シーズンのFAカップの覇者であるチェルシーが、優勝トロフィーをステージ上でお披露目するほか、フリースタイルフットボーラーによるパフォーマンスショーなどのエンターテインメントも予定している。メインイベントとして、チェルシーのレジェンドで、横浜ゴムのアンバサダーを務めるドログバ氏が登壇し、Q&Aセッションを含めたトークショーを実施する。

 また、チェルシーと横浜ゴムのSNSアカウントを通じてドログバ氏への質問を募集し、当日は会場のファンに加え、募集した質問の中から選りすぐりのものを本人に質問する。


イベント詳細


●開催日:2018年11月26日(月)
●会場:六本木ヒルズアリーナ
●入場:無料(指定席なし)
●タイムスケジュール(仮)※予告なく変更することがあります 
15:30~ イベントスタート/16:00~ ディディエ・ドログバ氏トークショー

詳細はこちら!

▲昨年のイベントの模様と、フランク・ランパード氏の独占インタビュー!

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