2018.08.09

プレミアリーグ 18-19シーズン大展望!…昨季王者のシティを止められるチームはどこだ!?

今季のプレミアリーグは「ストップ・ザ・シティ」が合言葉だ [写真]=Getty Images
欧州フットボールをこよなく愛するライター/エディター

 マンチェスター・シティがアラブ資本に身を委ね、ロビーニョをレアル・マドリードから獲得して世を驚かせた2008年の夏から、今年でちょうど10年だ。その間に、紆余曲折はあったもののクラブは着実に歩を進め、ペップ・グアルディオラという最高の指揮官を手に入れて、ついに最高のチームを完成させた。2017-18シーズンのシティは、勝ち点、勝利数、総得点などあらゆるリーグ新記録を打ち立てて、圧倒的な強さでプレミアリーグ(以下プレミア)を制した。結果だけでなく、支配的で威圧的なパフォーマンスも最上級。プレミアの歴史に残る最強王者の誕生だった。

巨大な資本を背景に獲得した大物選手を、稀代の知将が巧みにコントロール。昨季のシティは、圧倒的な強さでプレミアを制した [写真]=Getty Images

 オーナーであるシェイク・マンスールは、10年前に「持続可能なクラブを作り上げる」と言った。新たな10年サイクルが始まる今季からは、その言葉の実現が目標になる。それはつまり、プレミアの王座を守り続け、ここから黄金時代をスタートさせることである。

 2006-07から2008-09シーズンにかけて3連覇を成し遂げたアレックス・ファーガソンのマンチェスター・ユナイテッドを最後に、プレミアでは連覇を達成したチームは出ていない。バイエルンやユヴェントス、パリ・サンジェルマンの1強、またはレアルとバルサの2強体制が確立する他国リーグと違い、いわゆる6強体制と言われる競争が激しいプレミアで黄金期を作るのは困難だ。新たなチャンピオンが生まれれば、ビッグ6の他クラブはさらにモチベーションを高め、チームを強化し、打倒王者の策を入念に練って、追いつき追い越せのメンタリティーをむき出しにして挑んでくる。その波を越えるのは決して簡単なことではない。実際、シティも2011-12、2013-14シーズンに優勝を果たしたが、いずれも翌年は2位で連覇を逃している。

 とは言っても、正直、今のシティには死角が見当たらない。昨季、2位ユナイテッドとの間にはリーグ歴代最多となる「19」もの勝ち点差があり、その差はライバルたちが奮起しても1年で埋められるものには見えなかった。この夏、主力選手の退団はゼロで、チームには優勝メンバーがごっそり残っている。かといってマンネリに陥る心配も少ない。レスターから獲得した新戦力のリヤド・マフレズが攻撃陣、ペップ肝いりの18歳フィル・フォーデンが中盤、そして今年1月に加入しさらにフィットするであろうアイメリク・ラポルテが守備陣と、各ラインの競争を活性化しうる選手もいて、レギュラー組も気が抜けない環境ができている。昨季の記録的な数字を上回ることは難しくても、やはり優勝候補の筆頭は間違いなくペップ・シティだ。

今夏にレスターから加入したマフレズ(左)、指揮官が期待を寄せるフォーデン(右上)、ディフェンダーながらパス能力にも優れるラポルテ(右下)らは、昨季のレギュラー組からポジションを奪うかもしれない [写真]=Getty Images

 あえて数少ない不安要素を挙げるなら、守備的ミッドフィルダーの層が薄いことと、ワールドカップの“二日酔い”くらいだろうか。2013年夏にシャフタールから加入以降、同じ期間でチームの誰よりもプレミアのピッチに立っているフェルナンジーニョも、気が付けば33歳。バックアッパーの不在はやや心配だ。ナポリからジョルジーニョを獲得できればベストだったが、彼はチェルシー移籍を決めた。

 また、リーグ最多16選手がワールドカップに出場した点も気がかり。ケヴィン・デ・ブライネやジョン・ストーンズなど終盤まで大会を戦った選手が多く、彼らのフィットネスが整わずスタートダッシュに出遅れる可能性はある。打倒シティを目論むクラブは、わずかではあるがそうした死角を突いて対抗したい。

 では、圧倒的な強さを見せた王者を止められるポテンシャルを持ったチームはあるのか。もちろん、その候補はビッグ6の中から探すことになるはずだが、昨季2位のユナイテッド、3位のトッテナムは補強による上積みがほとんどなく、チーム力はほぼ横ばいでやや心もとない。アーセナルとチェルシーはそれぞれウナイ・エメリ、マウリツィオ・サッリという新監督を迎え、新たなスタイルは楽しみを抱かせるものの、いきなり優勝できるほどプレミアは甘くない。現実的な目標はトップ4返り咲きだろう。そうなると、チャレンジャーの最有力候補は、自ずとリヴァプールになってくる。

 昨季のチャンピオンズリーグ(以下CL)決勝の舞台で、モハメド・サラーが、ロリス・カリウスが、そしてサポーターが悔し涙に暮れたリヴァプールは、その無念を払拭すべく、この夏プレミアで最も多くのお金を市場に投じた。ローマから引き抜いたアリソンは、積年の課題とされてきた守護神の問題を解決しうる最適解。中盤にはライプツィヒからナビ・ケイタ、モナコからファビーニョを獲得した。契約成立から加入まで1年も待ち焦がれたケイタは、ユルゲン・クロップの志向するゲーゲンプレスの強度を上げるとともに、得意のドリブルによる中央突破で攻撃にこれまでと違ったソリューションをもたらす存在だ。また、ボール奪取に長けたファビーニョが“6番”の位置で存在感を見せられれば、主将のジョーダン・ヘンダーソンを“8番”に戻すことも可能になり、昨季は故障者続出に苦しんだ中盤3センターの層が厚くなる。さらに、降格したストークから連れてきたジェルダン・シャチリもまた、サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノの強力3トップのバックアップとして申し分ない実力者。クロップも「理想の補強ができた」と満足の様子で、質・量ともに素晴らしい戦力が揃った。

「ゴールキーパー問題」の解決策になり得るアリソン(左上)、チームの攻撃に新たな力をもたらすケイタ(右)、ボールハント力が高いファビーニョ(左下)と、今夏の新加入組はいずれも即戦力として期待が持てる [写真]=Getty Images

 昨季のリーグとCLでシティから3勝を挙げていることからも分かるように、直接対決で王者に勝てる実力があることは証明済み。後はシーズンを通した“一貫性”を身につけ、取りこぼしを減らすことができれば……。今季こそ、1990年を最後に縁がなかったリーグ制覇を成し遂げられるのではないかと、ファンの期待は最高潮に達している。クロップにしても、もう「シルバーコレクター」と呼ばれるのはたくさんだろう。目指すはタイトルただひとつである。

 舞台は整った。あとはちょっとした運がアンフィールドの方に向きさえすれば、絶対王者シティの牙城を崩せるかもしれない。新シーズンは、新生リヴァプールの奮闘に注目だ。

文=大谷 駿

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