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【インタビュー】カジヒデキ × プレミアリーグ「サッカーはいろんな幸せを感じられる」

2017.10.06

 シンガーソングライターのカジヒデキさんは、これまで珠玉のポップナンバーを数多く世に送り出してきた。そのひとつに『フットボールの無い土曜日』という楽曲がある。(2012年、アルバム『BLUE HEART』収録)

「フットボールの無い土曜日は退屈で」
「だんだん盛り上がる スタジアムの興奮は」

 その中で紡がれたこんな歌詞を見ればわかるように、彼は音楽界きってのフットボール・フリークなのである。とりわけ、シーズンチケットを保有していたというチェルシーへの愛情は格別。今回は愛するクラブやイングランド・フットボールとの思い出、音楽とサッカーのマニアックな関係や、プレミアリーグを含む欧州5大リーグを配信している『DAZN(ダ・ゾーン)』も視聴しているというカジさんの観戦スタイルなど、存分に語ってもらった。

取材協力=SPACE SHOWER MUSIC
写真=野口岳彦

■サッカーにハマった理由は英国の音楽

 基本的に観戦した試合はマッチデープログラムを買っていたので、ものすごくたくさんあるんです。これは2002年12月のアストン・ヴィラ戦のもので、この試合をスタンフォード・ブリッジに見に行ってから、よりチェルシーにハマりました。毎試合見に行っていたわけではないんですけど、実は4年くらいシーズンチケットも買っていました。ちょうど買った年に(ジョゼ)モウリーニョ監督がやってきて。こっちはその2004-05シーズンにチャンピオンズリーグでバルサと戦った時のもので、カーリング・カップ(現カラバオ・カップ)で優勝した直後でした。そのカーリング・カップ決勝のリヴァプール戦も見に行きましたよ。当時はウェンブリー・スタジアムが改装中だったので、カーディフのミレニアム・スタジアムでしたね。

――レプリカシャツはフランク・ランパードの8番、それにマフラーもお持ちいただきました。
 ランパードが一番好きなんです。あと、フットボールといえばやっぱりマフラーですよね。クラブのロゴが入っているやつもいいんですけど、僕は割とシンプルなものがいいなと思っていて。意外とシンプルなものは売っていなかったりするんですよね。これはチェルシーのもので、普段使いもできて重宝します。

――よく現地観戦していたのは、モウリーニョ政権第一期の頃ですか?
 ハマりだしたのが2002年頃で、08年くらいまではヨーロッパへ行くことが多かったんです。レコーディングでスウェーデンやデンマークによく行っていたので、観戦もこの時期が一番多いですね。

――それ以前からサッカーに興味はあったのでしょうか?
 ありました。いま50歳なので、年齢的に子供の頃は野球が好きだったんです。でも20歳を過ぎた頃、ポリスターというレコード会社のトラットリアというレーベルからCDを出し始めたのですが、そのトラットリアのスタッフがみんなサッカー好きで。それで、最初にサッカーを見に行ったのが1992年でした。国立でのキリンカップ、日本対アルゼンチン。さらにその翌年がJリーグ元年だったりしたので、自然とサッカーが好きになりました。

――これほどサッカーにハマった理由はどこにあったのでしょう?
 音楽がきっかけでした。『エル』というイギリスのレーベルから、昔のマンチェスター・ユナイテッドの曲など60~70年代の曲を中心としたサッカーのコンピレーション・アルバムが出ていて。それぞれの時代の流行を取り入れた曲がいっぱいあって、ボサノヴァのリズムだったり、当時のブリティッシュロックを取り入れた曲だったり、オシャレ心に溢れているアルバムです。元々そういう音楽が好きだったので、そこからサッカーにも興味を持ちました。すごく文化的なスポーツなんだなと思って。特に英国はサッカーの母国でもあるし、音楽も盛んな国なので。

[写真]=Getty Images

――たしかに、イングランドではカサビアンならレスター、オアシスならマンチェスター・シティ、ブラーならチェルシーなどお馴染みのカップリングがあって、サッカーと音楽の親和性が高いイメージがあります。
 現地でものすごくそれを感じました。僕はブラーがすごく好きだったんです。彼らがデビューした頃に僕はちょうど20歳くらいで、当時はイギリスの新しいロックやダンスがすごく好きだったんです。それでデーモン(アルバーン)が普通にチェルシーのユニフォームを着て雑誌に載っていたり、他にもプライマル・スクリームのボビー(ギレスピー)なんかもサッカーのユニフォームを着てライブをやっていたりして、それがカッコいいなと思っていました。
 実際に向こうのスタジアムに行ってみると、試合前から音楽がかかっていますよね。たとえばチェルシーのウェストロンドンは、50年代にカリブの移民の人々が移り住んだ地域なんです。そういうカリブ文化が入っているから、スカを流したりする。『The Liquidator』という必ず流れるチャントも、地域にすごく根付いた音楽なんです。
 一方で下町っぽいイーストロンドンのウェストハムならちょっと昔のパンクロックが流れたり、フルアムへ行けばクラッシュが流れたり、マンチェスター・Uだとジョイ・ディヴィジョンが流れたり。チャントの数も恐ろしいくらいあって、時期によって再ブームがきて昔の曲がまた歌われたりすることもあります。お馴染みのメロディーの曲なら、その場で替え歌が生まれることもある。スタジアムで見ているとそれを間近で感じることができて、本当にすごい文化だなと感じます。特にイングランドでは、下部リーグの試合でも必ず同じような雰囲気なんです。

――イングランドでは特に、試合の流れによって観客のテンションや歌が変わりますよね。
 そうですね。別に歌う人が決まっているわけでもなく、自発的にその場の雰囲気で歌が始まる。選手がそれに応えるのもすごく好きです。チェルシーでいうと(ディディエ・)ドログバがそうでした。彼はわざと転んだりすることもあって、イングランドのファンはそういう部分は嫌いなので味方でもブーイングすることもあるんですが(笑)、一方でドログバはすごく熱いハートを持っていたので、ファンに愛される存在でした。

――カジさんはどの辺りで観戦していたんですか?
 僕のシーズンチケットはゴール裏(北側)の「マシュー・ハーディングスタンド・ローワー」というところでした。みんなが一番歌う場所で、そこから「East stand give us call !(東スタンド、オレたちにコールを送ってくれよ!)」みたいに歌うと、イーストスタンドの人たちも立ち上がって「チェルシー!」って歌ったりする。でも、ウェストスタンドの人たちは「west stand give us call !」とやっても絶対に応えない(笑)。西側はスタンフォード・ブリッジでは最も高額な席で、落ち着いて見たいお金持ちが多いので。そういう雰囲気って、現地で見ないとわからないですよね。

[写真]=Getty Images

――シーズンチケットは人気でなかなか手に入らないと聞きますが……。
 そうですね、自分もたまたま買えたのでよかったです。モウリーニョが優勝した後の05-06シーズンに買おうとしたら、おそらく買えなかったと思います。04-05シーズンは前のシーズンがまだ(クラウディオ・)ラニエリ監督で2位でしたし、モウリーニョが就任すると決まっても、丁度ポルトでCLの優勝を決めたとはいえ、まだまだ知名度はそれほどありませんでしたからね。モウリーニョが来る前のインタビューでは、(ジョン・)テリーやランパードも不安がっていて。でも、モウリーニョはハートのある人で、すぐに選手の心を掴みましたよね。だから1年目でいきなり優勝できたのだと思います。
 監督のいうことを聞けばなんとかなる、みたいな気持ちが選手たちにあったんでしょうね。モウリーニョはインタビューも面白かった。試合前のインタビューで相手に仕掛けるじゃないですか。あれはドラマティックだった。試合後も強気に発言して、ちょっと揉めたりだとか(笑)。エンターテイメントとして、すごく盛り上がっていた印象です。サッカーを知らない人が見ていても、何か起こっていてきっと面白いぞ、と思うような。モウリーニョはそういう意味でイングランド・フットボールを変えた人だと思います。

■サッカー自体にインスピレーションがたくさんある

――現在、モウリーニョはマンチェスター・ユナイテッドを率いていますが、どんな気持ちですか?
 やっぱり羨ましくはあります(笑)。すごく好きな監督なので……。でも今年のマン・Uの試合を見ているとモウリーニョらしさが出ていて、やっぱりハマった時は怖いなってすごく思いますね。

――チェルシーは昨シーズン優勝しましたが、見ていて楽しかったんじゃないでしょうか?
 そうですね。実は、昨シーズンは序盤のうちはあまり期待せずに見ていたところがありました。でもシーズン途中から(アントニオ)コンテが3バックにしてからのハマり方はすごかった。見ていて本当に面白かったですね。モウリーニョが解任されたシーズンは調子が悪かった(エデン)アザールも、(ネマニャ)マティッチも、ジエゴ・コスタもみんな本来の調子に戻って。
 ただ、ちょっと悪そうなジエゴ・コスタは、実はあまりチェルシーらしくないかなと思っているんです(笑)。点を取ってくれるのはいいと思うんですけど……。チェルシーの選手にはキャラクターがある気がしていて。あまりマッチョな選手はいなくて、やっぱりランパードのようにシュッとしていて、スマートで紳士的な感じ。ドログバにしても、顔は怖いけどスマートで品がある感じがするじゃないですか。そこはすごくチェルシーっぽいなと思います。だから今年加入した(アルバロ)モラタはすごく“らしい”選手だと感じています。ちゃんとゴールも決めていますし、今年は彼が大活躍してくれると、優勝争いに加われるなと思っています。

――今のお話と通じるかもしれませんが、カジさんはどんなタイプの選手がお好きですか?
 ランパードも好きですが、(エイドゥル)グジョンセンもすごく好きでした。ルックスがよくてスマートで、それでいてガムシャラにゴールを狙ったり、すごくハートのあるプレーをする。そういう選手はすごく好きですね。現地で観戦していた頃もグジョンセンの印象はすごく強かった。2002-03シーズンは(ジャンフランコ)ゾラ、(ジミー・フロイド)ハッセルバインク、グジョンセンというFW陣だったんですが、グジョンセンは特にカッコよかった。この頃は(イェスパー)グレンケアも好きでしたね。北欧系の選手はチェルシーっぽい感じがします。僕が初めてプレミアリーグを観戦したのは1998年だったのですが、スウェーデンでトーレ・ヨハンソンというプロデューサーと一緒に自分のサードアルバムをレコーディングして、その最中にCSのサッカー番組のプロデューサーからプレミアリーグのテーマ曲を書いて欲しいと依頼を受けたんです。その時にプレミアの試合観戦に誘ってくださって。ご褒美みたいな感じで、スタンフォード・ブリッジでのチェルシー戦と、アンフィールドでのリヴァプール戦を見に行きました。当時のチェルシーにはトーレ・アンドレ・フローというノルウェーのFWがいて、なんとなくカッコいいな、と。その頃から、北欧の選手にはどこか惹かれるところがあります。

[写真]=Getty Images

――サッカーを見たり楽しんだりすることで、音楽活動や曲作りに影響する部分はありますか?
 スタジアムの高揚感は、ライブや楽曲の中の高揚感とすごく結びつく感じがします。そういうところでのインスピレーションはありますね。僕は10代の頃からイギリスの音楽やカルチャー、ファッション、アートがすごく好きで、サッカーもそういう文化のひとつだと感じていて。サッカー専用スタジアムで、バーンと広がる緑の芝生を見た時の感動は大きいですよね。だからチェルシーに限らず、いろんなスタジアムを見に行っていました。たとえばハイバリー(アーセナルの旧本拠地)は歴史が刻まれてきた感じがすごくしました。フルアムのクレイヴン・コテージも好きです。テムズ川沿いにあって、駅から川沿いに歩いてスタジアムに行ける。サポーターは毎週これを経験しているのかと思うと、とても幸せだなって思います。

――幸せを届けるのは、音楽もサッカーも一緒かもしれないですね。
 サッカーはいろんな幸せを感じられる。スタジアムにはいろんな音楽が流れていて、70年代のパンクだったり、もっと古いロックだったり、レゲエやスカみたいな異文化も含めて、いろんな時代のいろんな音楽が、ちゃんと意味を持って流れている感じがして、すごくいいなと思います。ただ最新の曲が流れているわけではなく、ちゃんと選ばれている。だからこそ様々な歴史を感じられるし、地元意識も根付くと思うんです。音楽のルーツを調べて見るのも面白いですよ。僕もヒストリーやルーツを含めて曲を作ったりしますし、そういう意味でもサッカー自体にインスピレーションがたくさんあると思います。

――日本ではDAZNなどで観戦することも多いということですが、最後に映像観戦の楽しみ方やこだわり、スタイルを教えてください。
 画面に向かって独りごとを言うので、僕は一人で見る方が好きですね。生で見ていてもそうですが、レフェリーの判定に腹が立つことが多くて、つい“Fワード”を使ってしまったり。そういうところは他の人に見せられません(笑)。
 テレビだと、選手の表情やゴールシーンがちゃんと見られますよね。特にプレミアリーグ中継は、すごく近い位置からダイナミックに撮るショットが多い。試合の流れもスピーディーだし、カメラでああいう風に追ってくれるのはすごくいい。それに現地だと、たとえばゴール裏で見ているとみんな立ちっぱなしだったりするので、小さいと見えないことがあるんですよね。イギリス人は大きいので、自分もそうでした(笑)。解説者の方がいて、リアルタイムで情報を聞きながら見るのもすごく面白いと思います。それに、音声の中からチラッとスタジアムのチャントが聞こえてきて、「今こんな曲を歌っているんだ」とわかると、それも楽しかったりしますしね。

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