2013.10.22

戦術空回り…批判浴びるマンUモイーズ、身内は擁護も正念場へ

モイーズ
今季からマンチェスター・Uを率いるモイーズ監督 [写真]=Man Utd via Getty Images
ロンドン在住のサッカーライター。

文=藤井重隆

 プレミアリーグ第8節で日本代表MF香川真司の所属するマンチェスター・Uは、ホームで同DF吉田麻也、FW李忠成の所属するサウサンプトンと1-1で引き分け、連勝を築けずにまたしても足踏みした。試合内容を見ると、マンUはクロスバーを2度叩くなどの不運に見舞われたが、シュート数(12-18)、 ボール支配率(46%-54%)では、ラインを高く保ち前線からの素早いプレスを仕掛けたサウサンプトンが上回った。

 マンUは同試合でも再三の決定機を作ったが、デイヴィッド・モイーズ監督が主体とするサイド攻撃は手詰まりした。90分間でマンUがサイド攻撃を仕掛けたのは全体の82%にも上ったが、肝心のクロスの精度はサウサンプトンの成功率が30%であったのに対し、マンUは18%と下回り、チーム戦術の空回りを露呈した。

 不調を極めているモイーズ監督は、同試合前日に契約を5年延長した18歳の新星MFアドナン・ヤヌザイに加え、FWロビン・ファン・ペルシーやMFナニら攻撃陣の個人技に頼っている感も否めない。前指揮官のアレックス・ファーガソン体制下では、こう着した状況でFWハビエル・エルナンデスやMFポール・スコールズらを投入することで戦術に変化を加え、均衡を破る「第2の選択肢」を擁していたが、モイーズ監督は同試合の後半途中からベテランMFライアン・ギグスとFWダニー・ウェルベックを投入するも戦術は変えず。終盤残り5分ではFWウェイン・ルーニーとDFクリス・スモーリングを交代させるという消極的策が裏目に出て、同点ゴールを許してしまった。

 一方、モイーズ監督がメディアの批判を受け続ける中、スポットライトは同試合をスタンドから観戦したファーガソン前監督に向けられている。ファーガソン氏は14日、マンチェスターのトラフォード区から区民栄誉賞を受け、本拠地オールド・トラフォードの前にある「ウォーターズ・リーチ」という小道が「サー・アレックス・ファーガソン・ウェイ」と改名されるなど、いまだに巷の話題となっている。

 さらにファーガソン氏は、13日にハンガリーの首都ブダペストで行われたUEFAコーチング・ライセンスの講義で教壇に立ち、メディアが同氏の代名詞として使っていた「ヘアドライアー=選手を怒鳴り散らして叱ること」という行為をキャリア終盤で「しなかった」と明言。「現代のサッカー選手は30年前より心が脆いため、実際はあまり怒らなかった」と話した。さらに同氏は「マンUでは20カ国の代表選手をまとめなければならないため、彼らの文化を理解し、快適な環境づくりに気を配る必要があった」とも説いている。

 26年間で38個もの栄冠を手にしたファーガソン氏も、1986年の就任当初は自身のチームを作り上げるのに苦労し、初の栄冠となるFAカップ を手にするのに4年を要した。そうした自身の背景を踏まえてか、同氏はマンU公式TV『MUTV』の中で「デイヴィッド(モイーズ)は過去20数年間にこのクラブが築き上げてきたものを維持しなければならない。栄冠獲得は容易ではない。彼が今季1つでも栄冠を手にできれば偉業だ」と自らが後任に指名したモイーズ監督を擁護した。

 大手メディア『スカイスポーツ』の看板解説者で元マンU主将のギャリー・ネヴィル氏も、モイーズ監督を弁護するかのように次のように話している。

「サー・アレックス(ファーガソン)が引退した昨季は一つの世代の終わりだった。彼が語るように一つの世代は3、4年で終わりを迎える。改革が求められる時期にデイヴィッド・モイーズがチームを引き継いだという事を周囲は気づいていない。サー・アレックスが今季のチームを指揮していたとしても、同じように苦しんでいたかもしれない」

 さらにネヴィル氏は、今後のチームの改善点としてマイケル・キャリックとセントラル・ミッドフィルダーを組む、新加入のマルアーヌ・フェライニの成長を挙げ、「彼がかつてユナイテッドの中盤を支えたスコールズや(ロイ)キーンのようにピッチ中央で確実にボールを保持し、目の前の敵をかわして前方へのパスを供給できるようになれば、好機は増えるだろう」と解説した。

 マンUは23日にチャンピオンズリーグでレアル・ソシエダ、26日にリーグでストーク、29日にリーグ杯でノリッジをホームに迎えて対戦するが、6日で3戦という格下相手の過密日程をいかに乗り切れるか。モイーズ監督は 様々な意味で正念場を迎えている。

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