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【CL展望】新チームの ポテンシャルは未知数|リヨン

2020.02.26

[写真]=Getty Images

 2月15日に発売となった雑誌『SOCCER KING』3月号では、チャンピオンズリーグのラウンド16を完全プレビュー! 決勝トーナメントをより楽しむためのコンテンツをWebで一部公開します。

 現在のリヨンの姿は、シーズン開幕時の予想図からはかけ離れている。サンテティエンヌとのローヌ・ダービーで敗れたシウヴィーニョ監督は、開幕からわずか9試合で解任された。後任には昨年までライバルのマルセイユを率いていたリュディ・ガルシアが就いたが、チームの立て直しをしている最中に、年末のレンヌ戦でメンフィス・デパイとジェフ・レーヌ・アデレードが前十字靭帯を負傷してしまった。チームの中心選手2人が今シーズン絶望となり、一時は来シーズンのヨーロッパリーグ出場圏内も危ういとまで言われた。現在は持ち直したが、グループステージのリヨンとは別物のチームになっている。

 ガルシア監督のチーム作りは、核となる選手を決めることから始まる。マルセイユでは攻撃の軸であるディミトリ・パイェをキャプテンに指名し、攻撃のタクトを振るわせた。リヨンでもチームの全体像を把握した指揮官は、11月末にデパイをキャプテンに任命。ところがエースの負傷離脱で、補強を含めたチームの再構築を迫られることになった。

 ガルシア監督が好むのは4-3-3のシステムだ。マルセイユではパイェ、フロリアン・トヴァンという両ウイングが得点源だった。リヨンのシステムも4-3-3で、ウイングの突破能力や縦への推進力を前面に押し出したフットボールを志向している。

 今冬はビジャレアルからカール・トコ・エカンビをレンタルで獲得した。2シーズン前にアンジェで17得点を挙げてブレイクしたウインガーは、マクスウェル・コルネやベルトラン・トラオレとともに、サイドを疾駆するだろう。さらにアトレチコ・パラナエンセからはブラジル人のブルーノ・ギマランイスを獲得。DFの間を通すスルーパスと左右に散らすロングパスの精度が武器の守備的MFで、ウイングを生かせる選手だ。

 中央からは、ムサ・デンベレがゴールを狙う。昨シーズンに続きコンスタントに得点を重ねていて、ジャン・ミシェル・オラス会長も「彼は中心選手だ。手放さない」と話す。デンベレのほかにも、1トップには昨シーズンのマンチェスター・シティ戦で3ゴールを挙げたコルネを起用することもできるし、ラヤン・チェルキという秘密兵器もいる。クープ・ドゥ・フランスのナント戦で2得点2アシストと大暴れしたスター候補の16歳だ。欧州の舞台でも結果を残すことができれば、一気にスターダムにのし上がる可能性は十分にある。

 ユヴェントスが格上なのは間違いない。それでもガルシア監督が奇策に打って出ることはないだろう。マルセイユ時代にまれに5バックを採用したことはあったが、結果が伴ったことはない。ローマ監督時代の記憶もある。2015年3月のユヴェントス戦で守備的な選手を起用したが、退場者を出したうえに失点。それから猛攻を見せて何とか同点に追いついたものの、明らかな失策だった。今回のユーヴェ戦では、序盤から本来の攻撃的な姿勢を見せてくるはずだ。

 まずはウイングにボールが供給されないことには始まらない。強力な両翼を持つユヴェントスに押し込まれる時間帯もあるだろう。リヨンは中盤でどれだけ勝負できるか、どれだけカウンターを繰り出せるかが大きなポイントになる。期待したいのは新戦力のギマランイスと、アカデミー生え抜きのフセム・アワール。カウンターの起点を作る彼らが勝負のカギを握っている。

【PLAYER FOCUS】MF 8 フセム・アワール

アワール

[写真]=Getty Images

 共通点の多いナビル・フェキル(ベティス)に例えられた下部組織育ちの21歳。フランスの年代別代表の常連で、レギュラー格になって3年目を迎えた。機動力と運動量のある現代の攻撃的中盤で、グループステージのライプツィヒ戦ではボックス内左から右足でファーサイドへのゴラッソを決めた。

 現在は結果を出してきた左サイドではなく、インサイドハーフでの起用が多い。プレスでショートカウンターの起点を作ったり、ウイングの内側のレーンから飛び出してラストパスやシュートを打ったりするなど、厚みを持った攻撃をもたらすには不可欠な存在だ。

 今シーズンはキャプテンマークを巻く試合もあった。同じ生え抜き選手で1歳上のリュカ・トゥザールが来シーズンからヘルタ・ベルリンに移籍することが決まり、アワールはチームの中心となれるかが試されている。

 昨シーズンは、バルセロナとの決勝トーナメント1回戦2ndレグで先発から外れ、1-5の屈辱をベンチに座ったまま味わった。ラウンド16は、そのリベンジの舞台でもある。

文=西 達彦

『SOCCER KING』2020年3月号

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