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【コラム】CL決勝も代表戦も「DAZN」で観る時代に…視聴環境の変化が日本サッカー界に及ぼす影響

2019.06.01

CL決勝とコパ・アメリカはDAZNが独占配信 [写真]=Getty Images

 さあ、いよいよファイナルだ。

 2018-19シーズンの欧州王者を決するチャンピオンズリーグは、明朝4時に頂上決戦のキックオフを迎える。スペインの首都、マドリードのワンダ・メトロポリターノで対峙するのはいずれもイングランドのトッテナムとリヴァプール。トッテナムにとって史上初、リヴァプールにとって14年ぶり6度目のタイトルを懸けた同国対決は、世界中の予想が大外れするほどの信じられないドラマに満ちていると期待したい。

 皆さんはどんな“態勢”でこの一戦を見届けるだろうか。自宅で一人きりで観る? 友人を招いて観る? サッカーが好きな息子と早起きをする? 街に繰り出してスポーツバーで観戦する? いずれにしても、時差7時間の日本からこのビッグゲームを見届ける僕らにとっては、最高のゲームを万全のコンディションと態勢で迎えるちょっとした工夫が必要だ。決勝だけにあるあの特別な興奮を、やはりライブで味わいたい。

 ちなみにこの決勝戦は、DAZNによって独占配信される。もっとも、1カ月間の無料トライアルが適応されるため、(大きな声では言えないが)1カ月以内にで退会してしまえば実質的にはタダ。ここ数日間で繰り返し流された「独占配信!」のテレビコマーシャルを見て、慌てて入会手続きを済ませた人も少なくないだろう。

 ちなみに、6月14日にブラジルで開幕する代表チームの南米王者決定戦「コパ・アメリカ」には日本も参戦するのだが、この大会の中継もDAZNが独占配信する。(大きな声では言えないが)例えば、今日DAZNに入会すれば、もれなくコパ・アメリカのベスト8まで無料で楽しめるというわけだ。ところでこの記事はDAZNそのものの宣伝でも“無料視聴のススメ”でもない。趣旨は「時代は変わりましたね、皆さん」というオールドファン向けのノスタルジック・コラムであり、視聴環境の変化が日本サッカーにどのような変化をもたらし、それが未来にどんな影響を及ぼすかというコラムである。

 さて。まずは歴史を振り返りたい。

 筆者自身は1979年生まれ今年40歳の誕生日を迎えるのだが、Jリーグが開幕した中学2年当時、25年後の未来にこんな時代が来るとは想像すらできなかった。Jリーグ“以前”のJSL(日本サッカーリーグ)はほとんど地上波での放送がなく、NHKでたまに放送される程度。つまり、小野伸二や稲本潤一、高原直泰や小笠原満男、遠藤保仁や中田浩二といった僕と同学年の黄金世代は、特に小学生時代にはテレビでサッカーを観るチャンスなんてほとんどなかった。

 かの有名なテレビ東京系『三菱ダイヤモンド・サッカー』は“大人の番組”で、少なくとも僕の周りで夢中になっていた子供はいなかったと記憶している。1991年にはWOWOWが「WOWOWスーパーサッカー」という番組名でイタリア・セリエAを放送し始めたが、衛星放送の視聴は当時の一般家庭にはまだまだハードルが高く、これを日常とするのは簡単ではなかった。

 だからこそ、Jリーグの開幕による爆発的なサッカー人気に当時のサッカー少年は救われた。あの頃に満たされた“観たい欲”はそのまま“やりたい欲”につながり、サッカー少年たちの足をグラウンドに向かわせたに違いない。最も多感な中学2年時にあの興奮を味わえたことが、その後の“黄金世代”を作り出す特大ブーストとなったことは間違いない。

 ちなみに、筆者はカズ(三浦知良)のジェノア移籍が発表された瞬間に両親に(泣きながら)頭を下げてWOWOW加入を勝ち取った。同時期にはCX系『セリエAダイジェスト』がスタートし、すべてを録画して食い入るようにむさぼり観た。1994年。当時中学3年。初めて観たセリエA、というより当時における世界最高リーグの衝撃はあまりにも非日常的かつ特別で、“やること”と同じくらい“観ること”に興奮した。

 2002年以降は日韓W杯を全試合中継したスカパー!が一気にサッカーファンの市民権を獲得し、その拡大によって視聴環境はますます整っていく。現在の日本サッカー界の中核を担う20代、30代のプレーヤーが40代、50代と比較してこれほど技術的、戦術的に飛躍的な進化を遂げた背景には、スカパー!によって“世界のサッカー”を広く見渡せたことが大きく影響しているに違いない。30代は育成年代にブラジル代表ロナウジーニョの奇想天外なプレーを何度も目撃し、20代は同じく育成年代にリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの圧倒的な技術とスピードに触れた。もしそれを知らずに育ったら、世界との差はもっと大きく開いていたに違いない。

 “観る”ことによる刺激は、サッカーファンの目を肥えさせ、サッカー少年の足をグラウンドに向かわせ、サッカーでメシを食おうとする世代の現実的な目標を世界へと向かわせる。だから、世界のサッカーを動かしている核心地から遠く離れている日本人は少なくとも“観る”ことから離れてはいけない。

 DAZNによるインターネット中継の影響はいろいろなところに及んでいるが、これをうまく使えば、サッカーの文化はもっと広くもっと深く浸透するに違いない。チャンピオンズリーグをインターネットで、しかも(大きな声では言えないが)無料で観られるこの環境を、未来に活かさない手はないのである。

 だから、今日は早く寝よう。明日は早く起きてチャンピオンズリーグ決勝を見よう。この試合が世界中の予想が大外れするほどの信じられないドラマに満ちているほど、ここ日本にも、それを刺激として走り出したくなる子どもたちがいるはずだ。

文=細江克弥

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By 細江克弥

1979年生まれ。神奈川県出身。サッカー専門誌編集部を経てフリーランスに。サッカーを軸とするスポーツライター・編集者として活動する。近年はセリエAの試合解説などでもおなじみ。

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